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楽しい仕事時間はフロー心理学で

楽しい仕事にするコツ「フロー心理学」②

コラム①では、楽しい仕事をテーマに、仕事に強いストレスを抱く人の統計やポジティブ感情の歴史やメリットを紹介しました。今回は楽しい仕事にするコツのひとつ「フロー心理学」について解説します。

楽しい仕事にするコツフロー心理学とは

仕事に強いストレスを抱く期間が長く続くと、無気力状態になることがあります。無気力にはいくつか種類があり、仕事による無気力感は

①学習性無力感型
②退屈・モラトリアム型

が絡み合って、引き起こされる場合が多いです。まずは、ぞれぞれの特徴と改善ポイントを見ていきましょう。

①学習性無力感型

仕事に強いストレスを抱く期間が長く続くと、「努力しても結果がでない」「何をやっても無駄だ」という感覚をもってしまうことがあります。このような感覚がある方は、セリグマン(Martin E. P. Seligman)が提唱した「学習性無力感」にあてはまるかもしれません。

・勉強しても偏差値が上がらない
・事業で失敗続き
・失恋が続いている

こんな状態の時に陥りやすいと言えます。挫折が続き、自信を喪失している場合は学習性無力感が強くなりやすく、特に完璧主義や失敗過敏がある方が陥りやすい症状です。

・原因は過度の目標設定?

無気力感が起きる要因について、ミハイ・チクセントミハイの研究から見ていきましょう。

ミハイ・チクセントミハイは自分のスキルや作業の難易度によって、無気力になってしまうことを示唆しています。以下の図をご覧ください。縦軸が「仕事の難易度」、横軸が「スキルの高さ」です。

ミハイ・チクセントミハイのフロー体験図

やや複雑な図ですが、無力感になりやすい方は「スキルが低い」にも関わらず、「難易度が高い」チャレンジをする傾向があることが分かります。無気力になりやすい方は、ある意味ですごく頑張り屋なので、結果が出ない状態が長く続き結果的にやる気を失ってしまうのです。

・心の問題「失敗過敏」に注意

学習性無力感によくある心の問題を見ていきましょう。

学習性無力感がある人の特徴に「失敗を過度に気にする」点が挙げられます。これは、心理学では失敗過敏と呼ばれることがあり、メンタルへルスに悪影響を与えることが分かっています。

斎藤ら(2003)は、大学生474を分析対象に、質問紙を使って失敗過敏とその他メンタルへルスの関連について調べました。以下が結果をまとめた図です。

失敗過敏と「対人不安」「無力感」「問題回避」は正の相関があることが分かりますね。問題回避は、問題が発生した時に、それを解決しよとせずに先延ばしたり、棚上げにして回避することです。

自己志向的完全主義の特徴

つまり、無気力から失敗を過度に気にすると、対人場面が嫌いになったり、無力感にさらされたり、先延ばしをしてしまうなどが考えられます。

・特効薬は「小さな成功体験」

学習性無力感を改善する有効な方法は「小さな成功体験」です。この症状で楽しい仕事ができない人は、高い目標設定をしすぎて、苦しむ頑張り屋さんが多いです。少しづつでOKです。小さな成功体験を積み重ねていくことで楽しい仕事で充実した日々が送れるでしょう。

②退屈・モラトリアム型

「楽しい仕事ができない」「目標をない」「何をすればいいのかわからない」「成長している気がしない・・・」こんな感覚がある方は「退屈・モラトリアム型の無気力症候群」になっているかもしれません。

ミハイ・チクセントミハイの図をもう一度見てみましょう。

右下の「退屈・モラトリアム型」ゾーンは、「スキルが高く」「仕事の難易度が低い」状態です。

ミハイ・チクセントミハイのフロー体験図モラトリアムは、簡単に言えば目標を見失っていて、どこにエネルギーを向けていいのかわからないような状況です。退屈・モラトリアム型の方は、自分のエネルギーのぶつけ所がなく、飽きた!という心理状態になりやすくなります。

・特効薬は「目標設定」

退屈・モラトリアム型の方は、新たな目標設定がカギとなります。高い能力をもっているので、目標を見つけると驚くような改善をすることもあります。自分と向き合い、新しい行動をすることで楽しい仕事で日々を充実させることができるでしょう。

フロー状態で楽しい仕事時間を増やす

無気力状態で楽しい仕事ができない時には、フロー状態を目指すことが改善に有効です。

ミハイ・チクセントミハイが提唱したフロー理論(Theory of Flow)では、フロー状態を”高度に没頭する活動に伴う精神的な状態”と定義しています。簡単にいうと、集中しすぎて周りに意識が回らず、時間が経つのも忘れるような経験です。

たとえば
・夢中で本を読む
・映画に夢中になって時間を忘れた
・夢中で話をして電車で乗り過ごした

このように時間的な感覚が無くなるほど、夢中で没頭している状態をフローといいます。

楽しい仕事時間を作るフロー状態とは

このフロー状態で仕事をしているときは人は充実感に満たされるため、楽しい仕事ができたと実感できます。また生産性も高くなるため、成果も出やすくなります。

フロー状態を目指すことで楽しい仕事時間を増やすことが可能と言えます。

・フローの要素とは?

楽しい仕事をするために、職場でフローになる条件とは何でしょうか。

まずはこちらの、チクセントミハイの図をご覧ください。横軸が「能力レベル」で縦軸が「チャレンジレベル」です。

ゾーンA=不安、ゾーンB=フロー、ゾーンC=退屈

チャレンジと能力フローゾーン

フロー状態になるために必要なのは第一にチャレンジであることが分かりますね。自分の持っているスキルや能力を高めていくような適切なレベルのチャレンジがフローになる要素となります。

つまり、頑張ればできるという適切なレベルのチャレンジがフローになる要素です。手持ちのスキルよりややチャレンジが楽しい仕事には必要と言えそうです。

楽しい仕事を目指そう

今回は、楽しい仕事のコツとして無気力を改善する「フロー状態」についてご紹介しました。自分のスキルに合ったやや難しい挑戦をする中で楽しい仕事時間を増やしていってくださいね。

★フロー状態で楽しい仕事時間を増やそう

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・桜井茂男・大谷住子 1995 完全主義は無気力を予測できるのか 奈良教育大学教育研究所紀要,31, 171–175.
・対人援助職従事者におけるバーンアウトと感情労働の関係性について 49 事例分析を通した検討
・ミハイ・チクセントミハイ著,今村浩明訳:フロー体験 喜びの現象学,新思索社,2000