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仕事が辛いから抜け出す「仕事量の見直し、主張」⑤

仕事が辛いから抜け出す「仕事量の見直し、主張」⑤

コラム①では、仕事が辛いについて概観していきました。コラム③からは具体的な対処法について解説していきます。軽くおさらいしておくと、「①ストローク上手に」「②ソーシャルサポート」「③仕事量を見直し、主張」「④会社の制度を使おう」の4つでしたね。

今回は、「③仕事量を見直し、主張」について解説していきます。

ステップ① 仕事量の見直し

仕事が辛い!という方の中には、現実的ではない仕事量を課せられているというケースが良くあります。心理学の調査では、自分の許容範囲を超えた目標設定は、「無気力」につながることが分かっています。

ミハイ・チクセントミハイ(2000)は自分のスキルや作業の難易度によって、無気力になってしまうことを示唆しています。縦軸が「難易度」、横軸が「スキルの高さ」になります。以下の図の水色のエリアをご覧ください。

学習性無力感とは、「自分は無力なんだ」と学習して、無気力になっている状態を指します。つまり、自分には課題をこなす能力がないんだ…と仕事が辛くなってしまう状態ですね。

自分の「スキル」に見合った「仕事量」でないと、難易度が高すぎてしまいモチベーションが上がらなくなってしまいます。そこで、自分の領域を超える膨大なタスクを抱えている場合は、仕事量を見直していく必要があるでしょう。

自分の能力で「少し頑張れば」達成できる仕事量にできればベストです。

ステップ② 上司に相談

どこまで仕事量を減らすか検討したら、上司に自己主張していきましょう。しかし、「上司に意見をするのは抵抗がある」「仕事が多いのは皆同じだ」などと自分の意見を伝えるのを踏みとどまってしまう方も多いでしょう。

そこで、活用できるのが「アサーション」という自己表現の方法です。アサーションとは、その場にふさわしい方法で、自分の気持ちを正直で素直に表現するコミュニケーションスタイルになります。

相手もOK自分もOKという精神で、お互いに意見を主張する権利があると考えます。話し合いの中で、譲ったり譲られたりしながら納得いく結論を出すことができます。

会社にもメリットがあることを伝え、お互いがプラスになるように議論していきましょう。

仕事が辛い!を克服した事例

それでは、仕事量の見直しとアサーションを活用して、仕事が辛い状態を克服したAさんの事例を見ていきましょう。

Aさんは、某大手出版社の編集者として働いています。繁忙期になると、職場に寝泊まりするのが当たり前な労働環境でした。働けど働けどタスクが終わる見込みが立たず、仕事が辛い状態が続いています。そこで、Aさんは仕事量を見直し、上司に相談することにしました。

ステップ① 仕事量の見直し
まず、Aさんは今抱えている仕事をすべて書き出しました。

・月刊誌、実用書の企画
・記事のライティング
・記事の構成・校閲
・作家との打ち合わせ
・執筆のための取材

今の自分のスキルでは難しいと考え、
以下のように見直しました。

・月刊誌の企画
・記事の構成・校閲
・記事のライティング

Aさんは文章を書くのは得意でした。
そのため、ライティング系のタスクのみに
集中しようと考えました。

仕事が辛い 克服

ステップ② 上司に相談
次にアサーションを使って上司に相談します。
Aさん
「実は今、仕事量が多く仕事が辛いと感じています。
ここまで仕事量を減らしていただけないでしょうか。」

上司
「皆、膨大な仕事量のなか頑張っているんだ。
もう少し頑張ってくれないか。」

Aさん
「そうですよね。ただ、私はライティングが得意ですので、
執筆系のタスクに注力した方が、会社全体の効率もUPすると
思います。」

上司
「そうだな。取材や打ち合わせはBさんが得意だから、
適材・適所で配分するともう少し能率も上がるかもな。」

その後、Aさんの作業効率はグンと上がり、仕事が辛い状態も少なくなっていきました。
締め切りも余裕をもって守れるようになり、現在もイキイキと働いています。

このように、アサーションでは相手もOK自分もOKの姿勢で自己主張し、建設的な話し合いを進めていきます。

もちろん、Aさんのようにスムーズに事が進むとは限りませんが、試してみる価値は十分にあるでしょう。仕事が辛いと伝えるだけでも、現状を変えるきっかけになるかもしれません。

また、仮に上司が応じてくれなくても、否定せずに受け入れましょう。相手の言い分もしっかりと聞き入れ、お互いが納得できる結論を導き出すことが大切です。

仕事量の見直しで仕事が辛い克服

練習問題はいかがでしたか?自分の能力を超える量のタスクを抱えている場合、どうしても仕事が辛い状態に陥ってしまいます。その結果、モチベーションや意欲が低下し、会社全体のパフォーマンスが低下することも十分考えられます。

作業量が多すぎる・・・仕事が終わる目途が立たない・・・という場合には、仕事量を調節し上司に相談していきましょう。量そのものは変えられなくても、得意分野のタスクを多めしてもらうのも1つの方法です。ぜひ、積極的に主張していきましょう。

次回は、仕事が辛いの対処法「④会社の制度を使おう」について解説していきます。

★仕事が辛い場合は、仕事量を見直して主張!

目次

①仕事が辛い-概観
②診断でチェック
③人間関係のストローク
④ソーシャルサポート
⑤仕事量の見直し、主張
⑥支援サポートの利用

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
・ミハイ・チクセントミハイ著,今村浩明訳:フロー体験 喜びの現象学,新思索社,2000