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仕事が辛い時の対処法「認知療法」

仕事が辛い!認知療法で心のバランスを保つ④

コラム①では、仕事が辛いについて概観していきました。コラム③からは具体的な対処法について解説していきます。軽くおさらいしておくと、「①ストローク上手に」「②ソーシャルサポート」「③認知療法」「④仕事量を見直し、主張」「⑤会社の制度を使おう」の5つでしたね。今回は「③認知療法」について解説していきます。

極端な思考を緩めよう

仕事が辛い時こそ、平常心を保ち現実的な解決策を見つけることが大切です。しかし仕事が辛い時には、冷静な判断ができず、物事を極端な思考で捉えてしまうものです…。

仕事が辛い時の考え方のクセこのような、極端な思考を柔軟に変える方法に「認知療法」があります。認知療法とは、“自分の受け止め方のクセ”や信念に焦点を当て、それらを変えることで問題を解決する療法です。極端な思考を改善して、自分の思考が現実的かどうかを振り返ることで、適応的な思考に変えることができます。

ABC理論とは?

認知療法から、論理療法「ABC理論」をご紹介します。仕事が辛い時に陥る、非現実的な思考を現実的な視点で整理するのに役立ちます。ABC理論は、出来事をどのように捉えるかで、感情が変わってくる、ということを解いています。ABCの具体的な意味は次の通りです。

A=Activating event
出来事

B=Belief system
信念(捉え方)

C=Consequence
結果(沸き起こる感情)

ABC理論では、人間の感情は「A:出来事」→「B:信念」→「C:結果」段階を踏んでいくと考えます。

ABC理論とは?

たとえば、
A:出来事
プレゼンでミスをした
B:信念
プレゼンは絶対成功ではない
今後上司から期待されることはないだろう
C:感情
仕事が辛い
やる気が出ない

ABC理論では人間の心理はこのような段階を踏んでいくと考えます。このような「極端な考え方をついついしてしまう…」という人は、物事の捉え方が仕事が辛い状況を作っている可能性があります。

信念を前向きに

信念(B)には、には大きく2つの考え方があります。

・イラッショナル・ビリーフ
不安や落ち込みにつながるような考え方
・ラショナル・ビリーフ
現実的で前向きな考え方、逆境を成長の糧にするような考え方

たとえば、先ほどの例ではイラッショナル・ビリーフの考え方から、仕事への意欲が減退・仕事が辛い状況に陥ってしまいました。一方でラショナル・ビリーフの考え方で「プレゼンではミスもあったが、できることは十分やった。結果はどうあれ、この経験を次の仕事に生かそう!」と考えたらどうなるでしょうか。仕事が辛い状況一転、やる気がみなぎってくるかもしれません。

ABCのうち、出来事(A)は変えることができません。しかし、信念(B)は変えられます。出来事は、とらえ方次第で、沸き起こる感情は全く別のものになるということです。

仕事が辛い!3つの思考のクセ

ABC理論では、イラショナル・ビリーフをいかにラショナル・ビリーフに書き換えられるかを重視します。ここでは、仕事が辛い状況に抱きやすいイラショナルビリーフの主な捉え方を確認していきましょう。

①“絶対~なければならない”

「絶対~ない」などの言い回しはイラショナル・ビリーフにつながりやすいのです。「絶対に成功しなければならない」などの信念を持っていると、ちょっとした失敗でも大きなピンチのように感じられ仕事が辛い状況を作りやすくなってしまいます。「~であるに越したことはない」「~もいい」といった言い回しを使うと、前向きな捉え方ができるでしょう。

②破滅と考えない

破局的な考え方は、気分をもっと暗くしてしまいます。仕事で思い通りにいかない時は、誰でも嫌な気持ちになり落ち込んでしまうこともあるでしょう。しかし「もう終わりだ!!」のような、破滅的な考え方に陥ると仕事が辛い状況になってしまいます。「今はどん底だけど、もう少し先にはいいこともあるだろう」といった考え方ができると、苦しい状況を乗り切ることができるでしょう。

③白黒思考

白黒とつけたがるような考え方は、イラショナル・ビリーフにつながりやすいです。「仕事でミスしたらダメ」「上司の依頼は断ってはいけない」など、白黒つけるような極端な言い回しでは、仕事が辛い状況を減らせません。「仕事ではミスすることもある」「上司に相談しながら仕事は進められるといい」といった考え方ができるといいでしょう。

仕事が辛い時に多い考え方のクセ

実践!心理トレーニング

ここでは仕事が辛い状況を、ABC理論で改善する、心理トレーニングに取り組んでみましょう。

練習問題1
A(出来事)
会社の新規事業を任されたAさんば、やる気をもって取り組んでいました。結果がなかなか出ない状況ではあったが、自分なりに努力をしていました。しかしある日、上司から支店への転勤を命じられ新規事業も別のスタッフに任せることになりました。

B(信念)
もしAさんが「イラショナル・ビリーフ」をするとどのような考えになりますか。

C(結果)
結果、どのような感情が沸き起こりそうでしょうか?

 

解答例
B(信念)
⇒会社から期待されることはないだろう。希望しない転勤なんて…出世できないにちがいない。(破滅思考、白黒)
C(結果)
⇒仕事へのモチベーションが下がる。仕事が辛い・・・。仕事が辛い人の特徴

練習問題2
練習問題1のAさんの信念を、ラショナル・ビリーフを使って逆境を成長の糧にするように言い換えましょう。



・            

解答例
・十分頑張った。支店で新たなことにチャレンジしよう
・引き継ぎをしっかり行って、事業のこれからの成長を応援
・新規事業で得たことをこれからの仕事に生かそう
などが挙げられます。ここでこの解答例は多ければ多いほど、ストレス耐性が高いといえます。仕事が辛い時を乗り切るために、たくさん書き出す練習をするのもおすすめです。

仕事が辛い時こそ柔軟な思考を

認知療法から、ABC理論をご紹介しました。出来事は変えられなくても、信念を変えることで、沸き上がる感情をプラスにすることもできます。現実的な視点で状況を整理して、幸福につながる考え方をしていきましょう。次回は、仕事が辛い時の対処法4つめ「④仕事量を見直し、主張」について解説していきます。

★仕事が辛い時は信念を変えてみよう!認知療法で柔軟な考え方を

次のコラムへ進むボタンはもう少し下にあります。コラムだけでなく心理の専門家の講義を受けてみたい!という方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。私たちが講義をしている講座となります。

目次

①仕事が辛い-概観
②診断でチェック
③人間関係のストローク
④ソーシャルサポート
⑤認知療法で心のバランスを保つ
⑥仕事量の見直し、主張
⑦法律・公的機関の利用

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・木村真人 2004 論理療法のABC理論による対人不安の検討. 東京成徳大学研究紀要, 11,51-60.
・橋口英俊編著 1973 新臨床心理学入門 建帛社