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コミュニケーション能力を伸ばすコツを解説

コミュニケーション能力-心理①認知行動療法とは何か

前回のコラムでは、コミュニケーション能力の定義や問題、コミュニケーション能力とは何か?など、最低限抑えておきたいコミュニケーション能力のポイントについて解説しました。今回からは、コミュニケーション能力を高める具体的な方法について分かりやすくご紹介していきます。

今回は「認知行動療法」を練習問題を交えながら解説します。認知行動療法は広く知られている心理療法の1つで、うつ病や不安障害に対しての科学的効果の立証も多数報告されています。

認知行動療法は、日常生活の様々な場面で活用できるため、コミュニケーション能力向上に欠かせないスキルともいえます。しっかり理解してコミュニケーション能力を高めていきましょう。コミュニケーション能力を高める認知行動療法を解説しています

認知行動療法とは?

認知行動療法は、「認知(考え方)の歪み」を修正することで症状の改善を目指す療法です。

1960年代アメリカの精神科医アーロン・T・ベック氏が提唱した認知療法に由来しており、1980年代イギリスのクラークらが認知療法に行動療法を組み合わせ生み出されました。

例えば、
コミュニケーションがうまくいかない場面では、

・相手に自分は嫌われた…
・相手に不快な思いをさせた…

などネガティブな考え方に悩まされることがあります。

1950年ころに、この考え方(認知)がコミュニケーション能力に大きな影響を与えることがわかり、認知療法では「考え方(認知)を変える」ことで、うつ病などの精神疾患の治療を行い世界的に知られることとなりました。そして、より効果のある療法として研究が進み、20年ほど歳月をかけ認知行動療法が確立されました。認知行動療法はコミュニケーション能力に影響する考え方を捉え直す方法認知行動療法は、コミュニケーション能力に大きな影響を与える考え方(認知)を見つめなおすことで、ストレスを軽減しコミュニケーションでの問題に冷静な対処ができるよう手助けする療法です。

精神疾患の治療はもちろん再発予防に効果があることから、主に精神医療の現場で用いられてきましたが、最近は学校での生徒指導・企業での社員研修など、コミュニケーション能力が必要とされる様々な場面でも用いられるようになっています。

コミュニケーション能力UPのカギ!自動思考とは?

考え方(認知)には、事実に対して瞬時に考えるイメージがあります。

例えば、
「好きな異性にメールを送ったけど返信がこない…」このような場合

・嫌われてしまった…
・メールの内容が良くない…
・返事をくれないなんて腹が立つ

など、色々なイメージがとっさに頭に浮かぶびます。この瞬時に考えるイメージのことを「自動思考」といいます。

自動思考=思考のクセ

この自動思考は、私たちに色々な感情を引き起こしコミュニケーション能力に影響を及ぼしています。

コミュニケーション能力に影響する自動思考についての解説

ゆがみ思考をチェック!コミュニケーション能力UPのポイント

コミュニケーション能力を高めるには、自分の自動思考(考え方のクセ)にまずは気付くことが大切です。

自分の考え方のクセに気づくことができれば、自分をふり返り、気持ちを整理するきっかけをつかめます。そして、適切な働きかけをしていくことで、自分のコミュニケーション能力で感じていた不安やストレスを和らげることができます。

考え方の中でも、自動思考の歪み=ゆがみ思考に気付くことはコミュニケーション能力を高めるポイントとなります。代表的なゆがみ思考は次の通りです。

白黒思考
あいまいない状態で考えることができず、物事を白か黒、良いか悪いかで極端に捉えようとする考え方です。例えば、ちょっとしたミスで注意をされた時に「全てが完璧にできていないから、自分はダメだ…」と捉えてしまいます。

悲観的な予測
多くの可能性があるにも関わらず、「○○かもしれない…」など、未来に悪い予測を立ててしまう考え方です。例えば、恋人から1日メールの返信が無いだけで「私たちの関係はもう終わるにちがいない」と落ち込んでしまうような捉えてしまいます。

深読み
相手の気持ちをネガティブに推測して「相手は○○と考えているに違いない」と相手の気持ちを決めつけてしまう考え方です。例えば、会話中に相手が眠そうにしたら「自分の話したつまらないと思っているにちがいない」と考えてしまったりします。

べき思考
現実を見ずに「○○すべき」「○○しなければならない」など、思い込んでしまう考え方です。例えば、「新人ではないから、もうミスは許されない」と考えて自分を責めてしまったりします。

思い込み・ラベリング
十分な根拠がないにも関わらず「いつも○○だ」「必ず○○になる」など、ネガティブな思い込みをしたり「自分はダメな人間だ」とラベリングをします。

自己批判
よくないことは自分が原因と考えて自分を強く批判してしまう考え方です。うまくいかないことばかりに注目するのが特徴で、成功したことは忘れてしまいます。例えば、プロジェクトがうまく行かなったときには「自分のせいだ」考えて自分をせめてしまいます。

コミュニケーション能力を高める思考の特徴

いくつか当てはまる思考はありましたか?

私たちは、その人なりの自動思考のパターンをもっていますが、慣れ親しんだ考え方のため、自分だけのクセだと気付かないことも少なくありません。当コラムで改めて、自分の考え方の特徴に気付くことからはじめて、コミュニケーション能力のストレスを軽減させていきましょう。

白黒思考の傾向があるからといって「白黒思考が強いから、私はダメだな…」と考える必要はありません。「私は白黒思考の傾向があるんだなぁ-」と捉えて、冷静に自分を見つめる事ができればOKです。自分の思考のクセに気付くだけで、思考の歪みがネガティブな方向へ暴走しそうになった時の抑止力にもなります。

そして、思考のクセ=自分の個性と捉えることができれば、コミュニケーション能力を大きく伸ばすことにもつながると思います。

認知行動療法の2つの基本

ここからは、認知行動療法を取り入れたコミュニケーション能力を向上させるトレーニング方法について、練習問題を交えながら紹介していきます。

トレーニングのポイントは、2点です。

1:認知と感情を分ける
2:認知を現実的に捉え直す

コミュニケーション能力が必要となる様々なシーンで使えますので、しっかりと理解していきましょう。

コミュニケーション能力を高めるトレーニング

1:認知と感情を分ける

まずは、出来事に対して「認知」と「感情」を分けるクセをつけましょう。

例えば
「友人にメールを送ったが返信がこない」場合

・嫌われているかもしれない
・忙しくて返事が遅れないのかもしれない
・メールが届いていないのかな

など、いろいろな考え方ができると思います。

おきてしまった「事実」(=メールの返信がこない)について、どのように受け取ったかが「認知」です。そして、認知によって発生した気持ちが「感情」となります。

嫌われているかもしれない(認知)
悲しい、辛い、イライラ(感情)

忙しくて返事が遅れないのかもしれない(認知)
不安、寂しい、ハラハラ(感情)

メールが届いていないのかな(認知)
少し不安、比較的穏やか(感情)

このように、認知しだいで様々な感情が生まれるのがわかりますね。

私たちの思考は、感情を変えることは難しくても認知を変えることはできます。「認知」「感情」を分けることで、目の前の問題を落ち着いて考えることができます。

2:認知を現実的に捉え直す

事実から捉えた「認知」が「感情」を大きく変えてしまうため「認知」を健康的で現実的な範囲で捉えることができれば、ストレスを大きく軽減できます。

例えば、
「初対面の人と話をすると緊張する」場合

緊張を止めるのは現実的に難しいかもしれません。しかし「緊張するのは仕方ない、ぎこちなくても自分なりに話をしてみよう」と捉え直すことは可能です。

このように、認知を捉え直す事で、感情をいくらか楽にすることができます。

2つの基本を実践!コミュニケーション能力UPを

それでは、ここで2つのポイントを練習問題で確認してみましょう。

問題
Aさんは、友達に誘われた飲み会に参加しました。いつもうまく話せないため、相手がつまらなさそうでとても不安になります。自分は友達も少ないし、とても孤独な人間だ。なんだか寂しい気持ちになる。

①まずは、Aさんの状況を「認知」と「感情」を分けて捉えてみましょう。

認知→

 

感情→

 

解答例
認知→いつもうまく話せない・相手がつまらなそうにしている・自分は友達が少ない

感情→不安・寂しい・ハラハラ

 

②Aさんの認知とは別に考えられる現実的な可能性もあげてみましょう。

 

 

解答例
・発話はぎこちないけど、しっかり話は聞けた
・相手は緊張していたのかも
・友達の数は少ないけど、飲み会に誘ってくれる仲の良い友達がいる など

コミュニケーション能力UPの練習問題

練習問題では、別の可能性を考えることができましたか。

現実的な認知をいくつか考えることができると、さまざまな出来事の対処が柔軟になります。

認知は放置すると、暴走してしまうこともあるため、別の可能性はないかな?と考える姿勢をみにつけておくと、日常生活でのコミュニケーション能力がぐっと伸びてきます。

繰り返し練習をすることで、身につけていきましょう。

認知行動療法でコミュニケーション能力を伸ばそう!

今回は、コミュニケーション能力を向上させるスキルの1つ「認知行動療法」をご紹介しました。

まずは、考え方のクセ「自動思考」のパターンに気付くことから始めてくださいね。自分の思考のクセがわかれば、思考の歪みがネガティブな方向へ暴走しそうになった時の助ける力にもなります。ご紹介した、代表的なゆがみ歪みを参考に、自分の思考のクセにまずは気付いていきましょう。

そして、認知行動療法のトレーニングでは2つのポイントがありましたね。

・認知と感情を分ける
・認知を現実的に捉え直す

練習問題も参考に、捉え方のコツを身につけてコミュニケーション能力を伸ばしていきましょう!

次回のコミュニケーション能力コラムは、アサーティブコミュニケーションをご紹介します。次回もお楽しみに!



認知行動療法でスキルアップを目指そう