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コミュニケーション能力向上のコツを確認

コミュニケーション能力‐心理②アサーティブコミュニケーション

コミュニケーション能力-心理①では、コミュニケーション能力向上に欠かせないスキル「認知行動療法」をご紹介しました。まずは、自分の思考のクセ「自動思考」に気付く事からはじめて、2つの基礎をポイントにコミュニケーション能力向上を図っていきましょう。

今回は「アサーションコミュニケーション」について練習問題を交えながら解説します。適切な自己表現に役立つスキルで、コミュニケーション能力を高めていきましょう。アサーティブを使ってコミュニケーション能力を高める

アサーションとは?

アサーションは、自分と相手を大切にする表現スキルです。

アサーション(assertion)の意味が「断言」「断定」「主張」のため、強い自己主張をイメージするかもしれませんが、アサーションは、自分も相手も大切にする自己表現です。自分の意見を相手に押し付けるような表現ではありません。

アサーションの歴史

アサーションは、Salter(ソルター)が1949年に出版した「条件反射療法」に由来します。

Salterは、人間は本来活動的な生き物にもかかわらず、社会的規範や躾(しつけ)によって抑制的になってしまうと考えました。そのため、本来の活動性をとり戻す意味で、アサーション(自己主張)の必要性を主張しました。

その後、アサーションは精神医学の世界で行動療法や対人関係療法の一部として発展し、アサーショントレーニングが開発されます。そして、1970年代に入ると、アメリカでアサーションに関する本「Your Perfect Right」が出版されベストセラーとなります。この本は、当時の人種差別や性差別の問題に大きな影響を与えることとなりました。

ちなみに日本では、1980年代になってから平木典子先生が中心となりアサーションの概念が広がり、コミュニケーション能力の一部とし定着していきました。

コミュニケーション能力を伸ばすスキル

現在アサーションは、学校や企業でのコミュニケーション能力を伸ばすための研修で使われることが増えています。

教育現場では、いじめの問題に対処するためのコミュニケーションスキルとして、企業研修では、パワハラ、セクハラへの対処、職場での鬱(うつ)などに効果を発揮します。

そして、友人関係や親子、夫婦、地域での人付き合いなど身近な対人関係で必要となるコミュニケーション能力にもアサーションのスキルは活かすことができます。アサーションはコミュニケーション能力に欠かせないスキル

自己表現3つのタイプ

アサーションを用いたコミュニケーション能力のトレーニングの前に、自己表現のタイプについてみていきましょう。

まずは、アサーション基礎を築いた精神科医のジョセフ・ウォルピが主張した自己表現のタイプを3つ紹介します。

1:攻撃的なタイプ
相手の気持ちを無視し、自分の主張を押し付けるタイプです。また、自分勝手な行動で相手を操作しようとすることもあります。

このタイプは、「あなたはダメ」「私は一番」という気持ちが根底にあるため、相手より優位に立ちたい気持ちが強く、勝ち負けで物事を決めたりすることもあります。

2:非主張的なタイプ
自分の意見をはっきり伝えることができないタイプです。意見を伝えなかったり言い方があいまいだったり、言い訳がましい時もあります。

このタイプは、「どうせ言ってもわかってもらえない」 という気持ちが根底にあり、相手に対しては恨みっぽい気持ちが残りがちです。

3:アサーティブなタイプ
自分の気持ちを素直に表現できるタイプです。状況にあった自己表現やコミュニケーションが適切にできます。

このタイプは、意見がぶつかることがあっても、互いに意見を出し納得がいくまで結論を出そうとします。3つの中では一番理想的なコミュニケーション能力が備わっているタイプといえます。

あなたはどのタイプ?自己表現をセルフチェック

ここで、自己表現のタイプを質問に答えてセルフチェックしてみましょう。自分のコミュニケーションのタイプを知ることは自己受容するうえでとても参考になります。ぜひやってみてくださいね。

次の質問に当てはまる場合は○、当てはまらない場合は×です。A・B・Cぞれぞれの○の数を控えてくださいね。

自己表現のセルフチェックでコミュニケーション能力を診断

さて、A・B・Cの質問で○はいくつありましたか?自己表現セルフチェックの結果を見ていきましょう!

Aの○が一番多かった人
→攻撃的タイプ

Bの○が一番多かった人
→非主張的タイプ

Cの○が一番多かった人
→アサーティブタイプ

みなさんはどのタイプになりましたか、参考にしてみてくださいね。

理想の自己主張でコミュニケーション能力UPを

ここからは、コミュニケーション能力を高める「アサーション力」を付ける具体的な方法についてみていきましょう。

アサーションでは、自分の感情を誰かに告げる「アサーション権」、自分の気持ちを相手に伝える権利と伝えないという選択肢を持つこともできます。アサーティブコミュニケーションを上手に行うための、3つの方法をご紹介します。

1:Iメッセージで自己主張
2:タイプ別でNOを伝える
3:感情を知り受け入れる

アサーティブなコミュニケーション能力を伸ばしていきましょう。

コミュニケーション能力を伸ばす3つのコツ

1:Iメッセージで自己主張

人に要望を伝えるときには「Youメッセージ」と「Iメッセージ」の2つがあります。

例えば、
「書類が散らかっているから整理してほしい」と伝えたい場合

Youメッセージ…
あなた(YOU)が、散らかっている書類を整理しなさい

Iメッセージ…
私(I)は、散らかっている書類を整理してほしい

このように、YOUメッセージで伝えると、批判的・命令的な発言になりやすくなります

アサーティブなコミュニケーション能力を伸ばすには「Iメッセージ」で伝えることが大切です。主語を「あなた」から「私」に変えて、自分の要望を伝えていきましょう。

練習!アサーティブなコミュニケーション能力を

ここで、Iメッセージの練習問題を取り組んでみましょう。

練習問題
次の言葉をIメッセージに変えてみましょう。

①「あなたは忘れ物がとても多い」

②「あなたは話を聞いてくれない」

③「あなたは仕事にもっと責任を持ったほうがいい」

 

いかがでしたか?

 

解答例
①「あなたは忘れ物がとても多い」
→忘れ物のせいで困ていないか・・(私は)心配です
②「あなたは話を聞いてくれない」
→(私は)あなたに話を聞いてもらえるととてもホッとする。聞いてもらえないとちょっと寂しい気持ちになる
③「あなたは仕事にもっと責任を持ったほうがいい」
→(私は)仕事に責任を持つ姿になることを期待している。

2:タイプ別でNOを伝える

アサーティブなコミュニケーション能力を発揮するには、相手に言いにくいことや断りたいときにはしっかりと「NO」と伝えることも大切です。

しかし、自己主張のタイプによっては、はっきりと気持ちを伝えることができなかったり、その場しのぎで気持ちを我慢することがあるかもしれません。しかし、相手との関係で無理が出てきたり 人と付き合うことが億劫になることも考えらるためおススメできません。

コミュニケーション能力の中でも「断ること」とても難しいと思います。アサーティブなコミュニケーション能力を身につけるために、上手な断り方を身に付けておくと便利です。

上手に「NO」と断るときのポイントは3つあります。

① 自分の気持ちや状況を伝える
② 相談してみる
③ 譲歩案を出してみる

例えば、

「納期が迫った業務が立て込んでいるため、他の案件を受ける事はとてもできません。(状況)今お受けしている業務の納期を調節していただければ他の案件も受けることができると思いますが(譲歩案)納期の調節は可能でしょうか(相談)」

まずは自分の状況を伝えて、相談+譲歩案で構成すると良いでしょう。

コミュニケーション能力がある断り方

3:感情と行動の一致

人間はどのような感情も持つ権利があり表現してもOKです。しかし、自分の本当の感情と矛盾を抱えたまま過ごしてしまうこともあります。

例えば
「辛い気持ちに気付きたくない…」

そんな時には、無理にポジティブに考えて明るく振舞ることもあるかもしれません。しかし、このようにごまかしてしまうと、悲し気持ちや辛い気持ちを強めてしまったりします。

人間の心と体はつながっています。どんな感情も自分の自然な感情と捉えて、適切に表現するようにしてみましょう。

常に、「感情」と「行動」の一致させ矛盾を作らない!適度な表現をすることがアサーティブなコミュニケーション能力の向上につながります。

失敗をしてもOK!責任が大事

最後に、アサーションの「失敗してもいい権利」について解説します。例えば、仕事で失敗をした時には「自分だダメだと…」と感じることがあるかもしれません。これは「失敗してはならない」という意識が根底にあるために生まれます。

失敗を反省することはもちろん大切です。しかし「~してはならない」という意識が強すぎると、必要以上に自分を否定してしまい、自信を無くしてしまいます。

コミュニケーション能力を学んでいくとわかりますが、失敗からも多くの学びがあります。

人間は誰でも失敗をします。失敗したときに責任さえもてばOK!ゆったりとした気持ちで行動するようにしてみましょう。

アサーティブを取り入れてコミュニケーション能力を伸ばそう

アサーションでコミュニケーション能力を伸ばそう

コミュニケーション能力を伸ばすスキルの1つ「アサーショントレーニング」について、歴史やセルフチェック、3つの自己表現タイプなどを紹介してきました。いかがでしたか。

アサーションは相手も自分も心地よい自己表現をするためのコミュニケーション能力です。コツやトレーニング方法を実践して、伸ばしていきましょう。

次回は、コミュニケーション能力コラムは「対人不安の軽減」について解説します。次回もお楽しみ!