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メタ認知能力を鍛える

メタ認知能力を鍛える「メンタライゼーション」②

コラム①では、メタ認知について概観していきました。具体的なトレーニングとしては「①メンタライゼーション」「②マインドフルネス療法」「③イライラを改善,認知療法への応用」の3つでしたね。

今回は、「①メンタライゼーション」をご紹介していきます。

メンタライゼーションとは?

メタ認知が低く、「自分がどう考えているか、どう感じているか」という点を今まで意識してこなかった方という方は、メンタライゼーションが有効です。

メンタライゼーションとは、1990年代にイギリスの精神分析家であるフォーナギーが提唱した概念で、簡単に言えば以下のような意味があります。

① 身の周りに起こった出来事に対して
②心理的な背景を読み取る能力である

とされています。「自分は何がしたいのだろう・・・」「自分の適職は何だろう・・・」「どんな時に自分は充実感があるのだろう・・・」と自分の感情や価値観を考えることがメンタライゼーションの基本となります。少しわかりにくい概念ですが、メタ認知を鍛える上で非常に重要な概念です。

メンタライゼ―ションの具体例で説明したいと思います。

例1 日常での気づき
メンタライゼーションは日常生活での気づきです。例えば、仕事をした後、数日間疲れがたまっていたとします。それでも仕事に取り組み、とうとう倒れてしまったします。この時、「私は仕事ばかりを考えていて、自分自身を大切にしていないかもしれない」と気づく。これがメンタライゼーションです。

例2 相手の考えや価値観に気が付く
メンタライゼーションは自分だけではなく、相手の心理の読み取りも含みます。顔をしかめて仕事をしている相手がいたとします。この時、
「きつそうだなぁ・・」
と察することがありますよね。これは相手の心理に気が付いています。これもメンライゼーションになります。このように、行動に対して、自分の考えをメタ認知したり、相手の気持ちを察したりする作用がメンタライゼーションなのです。

メタ認知と面たらゼーション

カウンセリングの場面では、近藤ら(2013)がメンタライゼーションの視点を通して、自分の価値観を明確にできたという事例報告もなされています。

人間関係で行き詰まった時、「自分の価値観は?考えは?どう感じていたのか?明確に言葉で話せる」とメタ認知できるようになると、アイデンティティを確立しやすくなります。

自分を知る

図のすると、以下のような感じですね。

メンタライゼーションができる人はメタ認知が高く、振り返りをきちんと行い、価値観ややりたいことに気づけたり、発見することができます。この作業を繰り返していくとメタ認知が鍛えられ、人間関係が円滑なっていくのです。

メンタライゼーションにチャレンジ

メンタライゼーションとメタ認知の関係性、なんとなく理解できましたでしょうか?ここではもう少し踏み込んで具体的なやり方を解説します。

具体的には
①出来事を客観的に書きだす
②行動や振る舞い方を書きだす
③価値観・思考を書きだす
という、3つのステップで考えていきます。まずは例を見ていきましょう。

例文
タロウさんは職場の同僚ジロウさんと飲みに行きました。ジロウさんは、とても活発な同僚で、おしゃべりです。食事なども「タロウさんさん、次の料理は、これがいいですよね」と終始、場の主導権を握っています。タロウさんは必死にその場についていきました。終わってみると、何となく振り回された感じで、帰りの電車でふぅーとため息をついてしまいました。

①出来事を客観的に書きだす
⇒活発なジロウさんと飲みに行った。終始ジロウさんのペースでひたすらしゃべって、ジロウさんがどんどん注文する。何をするのもスピーディー。

②行動や振る舞い方を書きだす
⇒話についていくのに必死。疲れがどっと出てきた。

③価値観・思考を書きだす
⇒本当は注文したい料理もあった
 自分も色々ジロウさんに聞いてほしいこともあった
 私は、もっと積極的になりたいのかも!

このように、あくまで自分の価値観、思考と明確にしていくということにのみを集中してください。この例では最終的に、「積極的になりたい」という気持ちにつながっていますね。

ここで大事なことは正解、不正解にこだわることではなく、メタ認知を通して、自分を発見していくことなのです。結果的に自己理解が促進されます。

練習してみよう

今度は皆さんの番です。以下の下書きを元に自分の価値観や思いに気が付いて、それを一度確認したり、考え直してみたりしましょう。

①出来事を客観的に書きだす

②行動や振る舞い方を書きだす

③価値観・思考を書きだす

本当の自分とは

自分を大切にアイデンティティ確立

今回はメンタライゼーションでメタ認知を鍛える方法を解説していきました。日常生活の出来事から自分の価値観や考えを振り返ることで、メタ認知が活性化され、自分の新しい側面に気づくことができますよ。

タロウさんの事例のように、自分への気づきは普段の生活の中にいくつも転がっているものです。当たり前の日常は、当たり前のように見えて、実は新しかったりするのです。ぜひ、常に自分の内側にアンテナを立てながら生活してみてくださいね。

次回は「②マインドフルネス療法」についてご紹介します。

★ 自分へのメンタライゼ―ションでアイデンティティを見つめ直そう

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目次

①メタ認知能力-概観
②メンタライゼーション
③マインドフルネス療法
④「認知療法への応用」

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Erikson.E.H(1950) Childhood and society. New York: Norton.(仁科弥生(訳)1977,1980 幼児期と社会1・2 みすず書房)
谷冬彦(1997) 青年期における自我同一性と対人恐怖性心性 教育心理学研究 45号3巻 254-262
岡本祐子(1994)成人期における自我同一性の発達過程とその要因に関する研究 風間書房