強い承認欲求をなくす肯定的ストローク②
コラム①では、強い承認欲求から引き起こされる問題と3つの原因、その解決策をあげました。具体的には「①自分への肯定的ストロークを増やす」「②自分の意見を大切にする」「③内発的動機付けを高める」ことをご紹介しましたね。
今回は、強い承認欲求の問題を解消する1つ目「自分への肯定的ストロークを増やす」を解説します。
肯定的ストロークとは?
強い自己否定を改善するためには、自分に肯定的なストロークを送ることが有効です。ストロークとは、心理学の概念で 「関わり方」や「人との接し方」を意味します。つまり肯定的なストロークとは、肯定的な関わり方や人付き合いということです(中田、1999)。
いまここにいる自分の存在や価値を認めることができるため、強い自己否定を緩和することができます。
肯定的なストロークは、次の2つに分けられます。
条件付きの肯定的ストローク
何か達成できた、うまくいったときに自分を褒める
無条件の肯定的ストローク
どんな条件であっても、自分を褒める
大きく異なるのは条件がついているかついていないかという点です。
肯定的ストロークは、いずれもうれしい愛情です。しかし、条件を付けすぎると本当の意味で自分否定を緩和することができません。
例えば、
・テストで100点取ったから自分を褒める
・社会的な評価が高い会社に入ったから自分を褒める
・営業成績がよかったから褒める
このように条件付きの場合、条件がなくなると肯定できないという特徴があるため、条件付きストロークだけを受け取ることは心の安定につながりません。
日常生活は、いいことばかりじゃないですよね。なかなか結果が出ない時、うまくいかないときも多いものです。また、いつも頑張り続けるのも辛い時もあります。
無条件の肯定が自己否定を緩める
自己否定を緩めるには、無条件の肯定的ストロークが効果的です。結果が出ていなくても頑張ってなくてもOK!どんな時でも肯定されているという感覚を持つことが大切です。
例えば、
・勉強したのにテストで50点だった
⇒今回結果が出なくても勉強した分は無駄にはならない。よく頑張った!
・大きな出来事も起こらず平凡な毎日
⇒大きなことが起こらないのは頑張っている証拠だ。
〇〇だからという理由はいりません。どんな状況でも肯定的なメッセージを送ること重要です。無条件に自分に肯定的なストロークを送っていきましょう!
他人が評価が気にならなくなった大学生Aさん
ここで、無条件の肯定ストロークで承認欲求を緩めることができた、大学生Aさんの事例を見ていきましょう。
<大学生Aさんのプロフィール>
・人に認められたい気持ちが強い
・大学でゼミのプレゼンに参加
・プレゼンでBさんより良い結果を出したい
プレゼンの結果、Bさんの方が教授に褒められていました。承認欲求が強かったAさんはその結果に落ち込んでしまいました。
そこで、落ち込んでしまう自分を改善するために、無条件の肯定的なストロークを送ることをやってみました。
ポイントは以下の2点です。
①結果に関わらず良い面を認める
②普段からできていることを認める
Aさんは早速2点のポイントを参考にしながら自分に肯定的ストロークを送ってみました。
①結果に関わらず良い面を認める
⇒自分の納得いく資料を最後まであきらめずに作ることができた
⇒自分もしっかり練習したから次の課題が見えてきた
②普段からできていることを認める
⇒ 自分が自信を持てるプレゼンを期限内に完成させることが出来たのはすごいことだ
⇒時間に正確なことはいろいろなことをコントロールできている証拠。当たり前じゃなくすごいことだ
Aさんは、自分に無条件の肯定的ストロークを送ったことで、自分自身で認めていくことで他人の評価を気にすることが少なくなり、承認欲求を緩めることができるようになりました。
実践!肯定ストロークを身につけよう
ここからは実際の練習問題に取り組んでみましょう。
練習問題
自分の承認欲求が強いと感じた場面をひとつあげ、以下の2つの質問に答えてみましょう!
<状況>
⇒
質問1:状況の結果に関わらず良かった点を挙げましょう
⇒
質問2:状況について普段からできている事について挙げましょう
⇒
すべての質問に答えたら肯定的ストロークを自分に送ってくださいね!
自分を認めて承認欲求を改善!
練習問題はいかがでしたか。自分自身へ無条件の肯定的ストロークを送ることによって、他者への関心が低くなり、結果だけではなく過程に注目できるようになり、自己否定を緩めることができます。
自分自身に肯定的なストロークを送ることで強い承認欲求を改善して、気持ちを楽にしてくださいね。まずは例題を参考にして自分自身へ肯定的ストロークをたくさんおくってみてください!
次のコラムでは、強い承認欲求の問題を解消する2つ目「人自分の意見を大切にする」について解説します。お楽しみに!
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
- 社会心理学会会員
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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*出典・参考文献
中田つかを. (1999). 「対話を継続維持する」 ためには肯定的ストロークが必要不可欠であるという研究. 鈴鹿国際大学短期大学部紀要, 19, 23-47.