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承認欲求をなくす方法「自分の本音を確認する」

承認欲求をなくす方法「自分の本音を確認する」③

コラム①では、承認欲求について解説していきました。具体的な対処法としては、「①肯定的ストローク」「②自分の意見を大切」「③昇華で力に変える」「④コミュニティに所属」にする4つでしたね。

今回は、「②自分の意見を大切」について解説していきます。

他人軸から自分軸へ

承認欲求が強い人は、他人に認められることを基準にしているため自分の本音がわからないという人が多いことがわかっています。

まずは、小塩 (2001)が青年を対象に質問紙評価で行った研究を見ていきましょう。この研究では、自己愛傾向と自尊感情が友人関係にどのように影響するかについて調べています。ここでは、承認欲求を賞賛欲求として見ていきます。

賞賛欲求、自己像の不安定性と日常の自尊感情変動性の関係

賞賛欲求、自己像の不安定性と日常の自尊感情変動性の関係(小塩,2001一部改変)結果は「賞賛欲求」が「自己像の不安定性」にそして日常の自尊感情変動性に正の影響を与えることが示されています。

つまり

・賞賛欲求≒承認欲求が強い人は、
 自分であるという感覚の不安定性が強い。

・不安定性が強い人は、
 自尊心が不安定になりやすい。

ということです。他人の意見を基準にしている人は、自分の意見や感覚が不安定になるというのも当然ですよね。 

仕事や学業、プライベートにいたるまで他人軸の目標設定は設定できます。目標はモチベーションのひとつにもなるので悪いことではありません。しかし、本音を置き去りにして他人を基準で行動すると、いつまでも承認欲求を満たすことができません。

例えば

・SNSで“いいね”が欲しいから海外旅行に行く
⇒本音:本当は国内旅行がすき

・賢いと思われたいからTOICEで高得点を目指す
⇒本音:本当は英語に興味がないし、勉強は苦痛

・すごいと思われたいから評判の会社、部活に入る
⇒本音:本当は好きな事が別にある

このような状態では、マズローの欲求階層説の承認欲求段階から抜け出すことができないのはもちろん、ストレスも抱えることになってしまいます。まずは自分の本音を確認することで、強い承認欲求を解消していきましょう。

承認欲求 なくす

内発的動機づけとは

内発動機づけとは、自分の内面から起こる動機づけのことです。具体的には、報酬や賞罰に左右されず、自分の興味や関心から動機づけされる状態です。

Deci & Ryan(2002)は「内発的動機づけ」と「自己決定度」の関係について調べています。そこには3つの活動の種類が示されています。下の図は、縦軸が上に行くほど「自己決定度」が高く、横軸が右に行くほど「内発的動機づけ」の高さを示しています。

①個人的に意味を持つ活動
例)楽しい・興味があるから勉強する

②承認を目的とした活動
例)認められたいから勉強する

③報酬を目的とした活動
例)怒られるから勉強する

この結果、「①個人的に意味を持つ活動」は自己決定度が高いということがわかります。

一方、「②承認を目的にした活動は」は、人に認められたいというのが基準になってしまい、それほど自己決定が強くないということがわかります。

このことから、他人に認められたい承認欲求よりも、自分の興味・関心を重視した活動の方が自己決定力があるということです。自分の興味・関心が高まる内発的動機付けを重視することで、他人に左右されずに行動ができるといえるでしょう。

では、承認欲求に左右されることなく、内発的動機づけを重視した行動をしていくにはどのような方法があるでしょうか?

ミラクルクエスチョンとは

強すぎる承認欲求に対して、内発的動機づけを使った対処法を紹介していきたいと思います。それは、ミラクルクエスチョンという方法です。主に心理カウンセリングで使われる方法で、問題解決後の状況を具体的にイメージしていく技法を使います。

ミラクルクエスチョンとは、一見すると非現実的な質問をクライエントに投げかけることで、他人の意見に左右されず、自分の本音を重視した目標を設定する質問方法です。

具体的には
「奇跡が起こり、あなたの問題がすべて解決したとします。その場合、問題が解決した理由はどんなことがあったからだと思いますか?」という質問を投げかけていきます。

ばかばかしい質問なのですが、重要なことはミラクルクエッションは、普段の生活をいったんわきに置くことで、普段は気が付かなかった自分の欲求に気が付くことができるのです。内発的動機づけを高める効果が期待できます。

承認欲求を満たした事例

具体的な例で見ていきましょう。

事例
<大学生ケンタさんのプロフィール>
・1か月前から就職活動を始めた
・小さい頃から父親に認められたい思いが強い
・本当にやりたいことが分からない

ミラクルクエスチョンで承認欲求を緩和する

就職活動を始めたケンタさんですが、厳格な父親は大手の金融機関への就職を期待しています。Bさんも父親に認めてもらうため、金融機関を中心に就活を進めています。一方で、「本当は違うことがやりたいのでは?」という思いもあり悩んでいます。そこで、ケンタさんはミラクルクエスチョンを使ってみることにしました。

・ミラクルクエスチョン
奇跡が起こり、あなたの強い承認欲求から起こる問題がすべて解決したとします。その場合、問題が解決した理由はどんなことがあったからだと思いますか?

ケンタさんの回答
⇒いつも父親の評価を気にしていたけれど、自分が好きなことの評価は気にしていなかった。

⇒鉄道の趣味は他の人に言えなかったけど、鉄道好きの友達と楽しく話ができた

⇒金融関係の会社説明会は面白くないと感じたが、鉄道関係の会社説明会は時間があっというまに過ぎていた

 

ミラクルクエスチョンで本音を出したケンタさんは、次の事に気付きました。

・鉄道がすき
・趣味が同じ友達と楽しく過ごせる
・鉄道関係の仕事に就くことを目標にする

ケンタさんは、ワークをしているとすごくわくわくしたり、ほっとした気分になりました。父親に認めてもらいたい思いはありますが、自分の好きな鉄道関係の仕事がしたいと父親に相談することにしました。

それでは今度は自分自身について、ミラクルクエスチョンで答えてみましょう。ケンタさんのようにわくわくしたり、ほっとするような感情が出ていると上手くいっている証拠です!

ミラクルクエスチョンのワークには、紙とペンを使用します。リラックスして軽い気持ちでやってみてくださいね。

ミラクルクエスチョン練習

それでは今度は自分自身について、ミラクルクエスチョンで答えてみましょう。ケンタさんのようにわくわくしたり、ほっとするような感情が出ていると上手くいっている証拠です!

ミラクルクエスチョンのワークでは、紙とペンを使用します。思いついたことをリラックスした軽い気持ちで書き出してみてくださいね。

ミラクルクエスチョン
奇跡が起こり、あなたの強い承認欲求から起こる問題がすべて解決したとします。その場合、問題が解決した理由はどんなことがあったからだと思いますか?

 

何個でもokです。
思いついたことを書き出してくださいね。

 

気づいたこと



目標設定で承認欲求を緩めよう

自分の本音で解消!

自分へのミラクルクエスチョンはいかがでしたか。ミラクルクエスチョンへの回答を考える過程で、興味関心の理解を深めて内発的動機づけを高めることができます。

人から認められたい思いが強く、自分の本当の目標を失っている人は、本音やポジティブな感情が湧き出る目標を探してみましょう!内発的動機を重視することで、他人に合わせすぎていることを修正することができます。

次回は、「昇華で承認欲求を力に」を解説していきます。

★目標設定で承認欲求を満たす!自分の感情を起点にしよう

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心理学講座

目次

①承認欲求なくす方法-概観
②「肯定的ストローク」とは
③「自分の本音を確認する」
④承認欲求を力に変える「昇華」
⑤複数のコミュニティに所属

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
尾原和啓(2017)モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)
小塩真司. (2001). 自己愛傾向が自己像の不安定性, 自尊感情のレベルおよび変動性に及ぼす影響. 性格心理学研究, 10(1), 35-44.
伊藤拓. (2009). ソリューション・フォーカスト・アプローチの 4 つの質問がクライエントへ与える効果–セラピストへの面接調査による検討. ブリーフサイコセラピー研究, 18(1), 13-28.
Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2002). Overview of self-determination theory: An organismic dialectical perspective. Handbook of self-determination research, 3-33.