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意味や定義を理解!

見捨てられ不安と愛着理論の関係性②

コラム①では、見捨てられ不安について概観していきました。コラム②からは、見捨てられ不安とは何かについてより深く解説しています。少しおさらいをすると、「①意味や定義」「②愛着理論との関係」「③メンタルへルスへの影響」の3つでしたね。

今回は、②愛着理論との関係について解説していきます。

愛着とは何か

見捨てられ不安は、幼少期のころにどれだけ愛着形成が行われたかによって大きく影響されます。そもそも愛着はどのような意味なのでしょうか。いくつか定義を見ていきましょう。

定義①Bowlby, J. (1969)
愛着とは、生物学的な適応のための養育者への近接性(Proximity)を背景に、特定の人と人との間に形成される、時間や空間を超えて持続する情緒的な結びつき

定義②心理学辞典(1999
多くの赤ん坊は生後6.7か月になると、ほかの人が部屋を出ていっても平気なのに、母親が部屋に出ていくと泣きさけんだり、泣いているにほかの人がいくらあやしても泣きやまないのに、母親が受け取るとぴたりと泣きやむ、というような行動を示すようになる。

これは赤ん坊が母親という特定の対象に対して特別の感情を抱くようになったからにほかならず、このような特定の情緒的な結びつき(affectional tie)をボウルヴィ(Bowlby, J.1969)はアタッチメント(attachment)と名付けた。日本語訳としては愛着という用語が定着している。

つまり、幼児期に育ててくれる人との間に形作られる愛情ベースの関わりという解釈で良いでしょう。この関わりがしっかりと構築できていないと、見捨てら不安になりやすい状態になります。

見捨てられ不安と安全基地

幼少期と見捨てられ不安

健全な愛着形成は幼少期の体験がベースとなります。赤ちゃんは世話をしてくれる母親に対して甘えます。自分のことを守ってくれる存在だとホッとし信頼するのです。そしてその健康的な愛着で守られた環境を「安全基地」にして赤ちゃんや子どもはさまざまな冒険をスタートし成長します。

1人で立って歩いたり、公園に行ってみたり、大人の真似をしてみたり…親からの安心感を手に入れた子どもたちは、「自分は大丈夫だ」という自信を獲得し、パワフルに育っていきます。

愛情を注いでくれる母親やその家族、関わりのある人など前向きな気持ちが信頼することができれば、これから成長しても同じように他人を信頼することができます。そうすれば、素直に自分を表現し、健康的にコミュ二ケーションを取れるよつになるのです。

安心をみつけて情緒不安定を緩和

母子関係の失敗の影響

一方で母子関係の失敗が続くと、幼児は愛着不安を持つようになります。お母さんがいつか私がいなくなってしまうのではないか…という危機感を覚え、これが見捨てられ不安の原型になるという考え方もあります。この原型は成人になっても解決できないこともあります。

丹羽(2005)は、大学1年生628名を対象に、大学入学時の「対人関係不安」と見捨てられ不安に近い概念である「愛着不安」について調査を実施しました。

具体的には、
・愛着不安高い群
→親などとの重要な他者と情緒的に支えられていいない愛着不安の高い群

・愛着不安低い群
→他者から情緒的に支えられてる愛着不安の低い群

に分け、それぞれ大学にうまくなじめているかを調査しました。その結果は以下のような特徴があることがわかりました。

対人不安と愛着(丹羽(2005)の研究の一部を掲載)

①入学時に不安が大きい
愛着不安高い群のほうが低い群より対人不安が強い。愛着不安がある人は、入学時に友達ができるか?という不安が大きく、愛着不安が少ない方は、友達ができてうまくやっていけるという感覚を持っていると解釈できそうです。

②3か月後も不安の大きさは継続
どちらも対人関係不安は下がるが、愛着不安が高い群は高い対人関係不安を示しています。得点としては3ヶ月経過後で、やっと低い群の入学時期の得点にやっと近づいています。

大学という新しい環境で、愛着不安の低い人の方が、友達などを作って慣れるスピードが早いと解釈できるのです。このように、愛着は実際に社会適応の土台になっていると考えられます。*今回は論文の一部を抜粋し加工しています。詳しくは出典をご確認ください。

愛着障害 克服

自分の愛着スタイルを知ろう

大人の愛着スタイルをみていきましょう。大人の場合は、「見捨てられ不安」と「関係構築回避」に着目します(中尾,加藤2004を参考に記述)。

愛着障害 タイプ

それぞれの特徴は以下のようになります。

安定型
不安が少なく、回避もしていない、一番健康なタイプです。困った時は悩みを打ち明けたり、相談をしたりなど他者を信頼して関わることができるし、親密な関係をもつこともできます。自分自身も安定していると言えます。おそらく充実した対人関係を持てていると言えるでしょう。

見捨てられ不安型
人と関わることには積極的なものの、見捨てられ不安を持ちやすいタイプです。親密でありたいと強く願い、しがみついてしまいます。他者からどう評価されるかということがとても気になり、拒否されたり、見捨てられることを過度に心配しています。自分自身も疲れてしまいますし、相手にとっても負担に感じられることがしばしばあります。

関係構築回避型
不安は低く、他者と距離を置くタイプの人たちです。人のことは信用しておらず、感情表現を抑えて自分を律しようとしています。日常生活では、ある程度適応的に機能することもありますが、親密な関係をプライベートで持つという点に課題を持っていることが多いようです。

引きこもり型
不安が高く、他者との関係を回避するタイプの人たちです。「他人は怖い」「きっと嫌われるに違いない」「どうせ人は私を見捨てて去っていくだろう」といったことを予期して、親密な関係を回避します。トラウマなどの傷つき体験を抱えた人などに見られます。あまり親しい関係を持てずに、対人関係が、ストレスとなってしまうことが多いでしょう。

安全基地の作り方

人は「安全基地」があると、リラックスして対人関係を送ることができます。幼い子供にとっては母親の存在、大人にとっては恋人や親しい友人、家族といる時に安心感を感じるかもしれません。

カウンセリングをしていると見捨てられ不安な人は、こうした安全基地がない人がとても多いです。安全基地がないと、不安を強く感じやすくなり、見捨てられ不安が高まります。

*心から信頼できる友人がいない
*自分の素を出せる場所がない
*いつも表面的に振る舞う
*家族と話していても落ち着かない

上記に当てはまる人は要注意です。拒絶されないか?変な言動がないか?と考えることが多い方は、後半のコラムで対処法も記載しました。参考にしてみてください。次回は、メンタルヘルスへの影響について解説していきます。

★見捨てられ不安の意味や定義を理解!

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目次

①見捨てられ不安-概観
②愛着理論の関係性
③メンタルへルスへの影響
④「脱中心化」でマインドフルネス
⑤「限界設定」で冷静な対応
⑥「複数のコミュニティ」に所属

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
丹羽智美(2005) 青年期における親への愛着と環境移行期における適応過程 パーソナリティ研究 13 156-169 名古屋大学
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
Bowlby, J. (1969). Attachment and Loss, Vol. 1: Attachment. Attachment and Loss. New York: Basic Books.