>
>
>
見捨てられ不安を克服する「脱中心化」

見捨てられ不安を克服する「脱中心化」とは④

コラム①では、見捨てられ不安について概観していきました。コラム⑤からは克服方法についてより深く解説しています。軽くおさらいすると、「①脱中心化」「②限界設定」「③複数のコミュニティに所属」でしたね。

今回は、①脱中心化について解説していきます。

マインドフルネスとは

まず、マインドフルネスとは、もともと東洋の瞑想で用いられていた言葉で、主な定義は以下の3つです。

定義①:Kabat-Zinn(1994)
「今ここでの経験に、
評価や判断を加えることなく、
能動的に注意を向けること 」

定義②:心理学辞典(1999)
「積極的にカテゴリーに注意を向け、
それを創出している心的状態をいう」

定義③:北川(2013)
「すべてのことを迎え入れ、
それをあるがままにしておく」

つまり、今ここで起きている事柄に対して、「好き/嫌い」などの判断をせずに、観察して放っておくことという意味で捉えられます。マインドフルネスが日本でも本格的に浸透してきたのは2000年ぐらいからです。

マインドフルネスを応用した心理療法は、世界的に不安障害やうつ病に対して効果があることが示されています。(Hofmann et al., 2010)。

脱中心化・自動操縦

脱中心化とは

マインドフルネスの中でも重要なキーワードになるのが「脱中心化」と言う概念です。脱中心化とは

「思考や感情を、自分自身や現実を直接反映したものとして体験したり、解釈するのではなく、それらを心の中で生じた一時的な出来事として捉えること」

と定義されています(Teasdale et al., 2002; 田中ら(2013)より)。つまり、自分が考えたり感じたことに巻き込まれないということです。

例えば、見捨てられ不安が現れた時に、「皆、自分から離れていってしまう!!!」と現実的に捉えるのではなく、あくまでも「いまは心が不安になっているな…」という様子で認識するのです。

自動操縦とは

「自動操縦」とは、感情に巻き込まれて本来やるべきことができない状態です。見捨てられ不安が強い時は、ついついその感情に自動操縦されて、やるべきことを見失いがちです。

例えば、見捨てられ不安が強く、相手のそっけない態度が気になって、「自分は嫌われた!」と過剰反応するなどです。

マインドフルネスの脱中心化で焦燥感を緩和する

例題で理解を深めよう

簡単に例えてみます。
あなたは付き合って2か月の恋人がいます。ある日、
ラインをしても、一向にメールが返ってきませんでした。。
嫌われたに違いない、迷惑なことを言っちゃったかな、
と気になって仕方がありません。

・自動操縦の場合
ここであなたが見捨てられ不安に巻き込まれていたら、「なんとか誤解を解かなきゃ!」と20分に4回など過剰にラインを送ってしまいます。仮に嫌われてなかったとしても、自動操縦されることで、相手を不快な気持ちにさせてしまう恐れがあります。

・脱中心化の場合
ここであなたがしっかりと脱中心化できていれば、「不安を感じているな」と冷静に観察しつつ、「気長に待ってみよう」と客観的に対応することができます。自分の感情にこだわりを持ちすぎないことで、自動操縦されることが少なくなり、落ち着いて行動することができるようになるのです。

マインドフルネスは本格的にやると、2~3週間の訓練が必要なのですが、当コラムではお試しの簡単なやり方を紹介します。

焦燥感を緩和する3つの方法

マインドフルネス施行法

ここからは、実際にマインドフルネス・トレーニングの手順を使って、脱中心化を行っていきましょう!

①見捨てられ不安の確認
まずは自分が現状どんなことに見捨てられ不安を持っているか確認しましょう。

②心地よいイスに腰掛ける
呼吸に集中しやすくするための環境づくりをします。できれば明るすぎない、静かな場所で、座り心地の良いイスに腰掛けましょう。固い椅子よりは、クッションを入れた柔らかい椅子の方がよいです。

また、ベッドの上に座るのも良いですし、座布団にリラックスした姿勢で座るのも良いでしょう。
*物理的にできない環境の場合は立ったままでもOK

③呼吸に注意を向ける
1分ほど、息を吸って吐くことにだけ意識を集中させましょう。吸って、吐いて、いつも通りのペースで呼吸します。空気が入ってきて外に出ていく感覚を味わってください。
*時間がない時は10秒でもOK

④心に浮かんできた事を大切にする
不安、恐怖、焦り、ネガティブな考えが浮かんできたら、それらを「観察」してみましょう。

その感情を持つことは自然なことと考え、心に浮かんできたことをそのまま観察する姿勢を保ってください。良し悪しなどの評価はしないことが肝心です。このようにまずは「呼吸」と「観察」を基本として脱中心化します。

⑤観察しながらやるべきことをやる(応用)

最後は仕上げとして、不安を観察しながらやるべきことをやります。なかなか難しい言い方になってしまうのですが、「見てられ不安」に自動操縦されて、行動するのではなく、「見捨てられ不安」から脱中心化してやるべきことに集中するのです。

レーズンエクササイズ

マインドフルネスは様々な手法があります。レーズンエクササイズという手法を動画で解説しています。興味がある方はご覧ください。

*監修の川島(精神保健福祉士)が動画でも解説しています。
 チャンネル登録くださると励みになります!

見捨てられ不安を脱中心化

施行法とワークはいかがでしたか。マインドフルネスは、呼吸に注意を集中させることによって、見捨てられ不安からくる焦りや衝動性から解放されるための方法です。

いろいろな気持ちや雑念が浮かんでもそれらに巻き込まれない、脱中心化に至ることが大切です。練習を繰り返すことによって、焦りにくい自分に変わっていけるはずです。

次回は、限界設定に解説していきます。

★見捨てられ不安を客観視して冷静な対応を!

次のコラムへ進むボタンはもう少し下にあります。コラムだけでなく心理の専門家の講義を受けてみたい!という方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。私たちが講義をしている講座となります。

目次

①見捨てられ不安-概観
②愛着理論の関係性
③メンタルへルスへの影響
④「脱中心化」でマインドフルネス
⑤「限界設定」で冷静な対応
⑥「複数のコミュニティ」に所属

助け合い掲示板

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

出典・参考文献
Hofmann, S. G., et al. (2010) The effect of mindfulness-based therapy on anxiety and depression: A meta-analytic review. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 78, 169-183.
Kabat-Zinn, J. (1994). Wherever you go, there you are: Mindfulness meditation in everyday life. New York: Hyperion Books.
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
北川嘉野・武藤崇(2013)マインドフルネスの促進困難への対応方法とは何か. 心理臨床科学, 3(1), 41-51.
田中圭介・神村栄一・杉浦義典 (2013) 注意制御, マインドフルネス, 脱中心化が心配へ及ぼす影響. パーソナリティ研究, 22 (2), 108-116.