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あがり症の克服方法「認知の歪み」を改善⑥

あがり症の克服方法「認知の歪み」を改善⑥

あがり症は偏った極端な考え方が原因だと言われています。例えば、「ミスをしたら嫌われるに違いない」といった、非現実的な推測が不安を高める要因になります。こうした考え方を心理学では認知の歪みと言います。今回はこの「認知の歪み」を修正する方法について解説していきます。

本番が苦手

 

失敗過剰思考があがり症の原因

有光(2001)はあがりの原因として考えられることを、7つの要因に分けて分析をしています。
①失敗不安
②責任感
③性格・感情
④不足感
⑤他者への意識
⑥新奇性
⑦劣等感

そのうち①失敗不安は「結果が悪かったらどうしよう」と、失敗に対する過剰な思考があります。試験の本番や、試合の大事な場面で「失敗はできない」と考えるのは誰しもがあることです。しかし、失敗できないと強く考えすぎて、不安を大きく募らせてはかえって失敗してしまいます。失敗に対する過剰な考えが、より不安を強くさせてしまいます。

こうした、失敗に対する過剰な思考は、認知療法の考えを使って改善することができます。まずは、改善しやすい思考の歪みに注目して、修正していきましょう。

認知療法であがり症を改善

認知療法とは、1960年代にアメリカで発展した心理療法です。認知とは、ものの受け取り方や捉え方のことを指します。その認知が非合理的だったり、偏ったりすると不適応を起こしてしまいます。その不適応的な考え方を修正して、適応的な認知に変えていくのが認知療法です。

あがり症もこの認知療法の考え方を使って、失敗不安を修正していくことができます。以下の4つのステップに沿って説明していきます。

STEP① あがり症の強さを確認
STEP② 失敗過剰思考を確認
STEP③ 過剰な思考を修正
STEP④ あがり症の改善をチェック

という4つの手順で進めていきます。例題などを交えながら解説をしていきます!

 

STEP1 あがり症の強さを確認

【事例】Aさん
・入社半年で商品企画のプレゼンを任せられた
・もともとあがり症で人前が苦手
・「失敗はできない」と思うと余計手が震える

認知療法では始めに、あがってしまう状況について把握します。例えば、Aさんは以下のように分析をしました。

「先輩や役員の人がいる前でプレゼンするのはとてもプレッシャー。このプレゼンは次の担当部署に関する評価にも影響するため失敗できない。失敗できないことを考えると、不安でいっぱいになる。」

そんな状況に関して感情を数値化していきます。数値化することで、客観的かつ具体的に感情を分析することができます。

例えば、
あがり度 80%

といった感じで、あがってしまった状態をパーセンテージで表してみます。

 

STEP2 失敗過剰思考を確認

感情を具体化したら、次に「認知」を確認します。ポイントとしては、ただ確認するだけではなく、「過剰になっている考え方」を探していきます。例としては、

プレゼンで失敗したら評価が下がる
手が震えてみっともない
顔が赤くなって恥ずかしい

といったものが挙げられます。過剰な考え方を見つけることで、あがり症に対して自分がどう考えているのかを分析できるようになります。

 

STEP3 過剰な思考を修正

ここまでのステップでだいぶ客観的に不安を分析できたかと思います。次に余裕がある場合は、「過剰な思考」を修正してみることも大事です。

修正のポイントとしては、失敗に対するハードルを下げることです。

見直し前
「プレゼンで失敗したら評価が下がる」

見直し後
「多少の失敗は大丈夫。人前で話せること自体が自分にとって大きな成長だ!」

こんな感じで、自分の気持ちが楽になるように考え方を修正していくことが大事です。

 

STEP4 あがり症の改善をチェック

過剰な思考を修正したら、もう一度、感情をパーセンテージ化してみます。

あがり度 60%

STEP1と比べてあがり症の感情が低下していたら、大成功です(^^)
失敗の過剰思考が修正されれば、あがり症も改善されていきます!

あがり症の考え方を認知療法で修正

 

あがり症の認知の歪みは分析できましたか? このように、感情を頭の中から外に書き出すことを認知行動療法では、「外在化」と言います。外在化することで、不安や緊張を一歩引いて視点から観察することができます。

不安だからとあがり症をすべてなくす考えではなく、自分の考え方に気づいて気持ちを楽にしていく考え方を探していくことが大事です。

次は周りの評価を気にしてしまう、「公的自己意識」の対処法について解説をしていきます!

本番に弱い

あがり症の対策は思考の修正も必要!

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目次

①あがり症とは? ​
②あがり症になりやすい傾向とは?
③あがり症の生理的なメカニズム
④あがり症の心理学的な研究
⑤あがり症の無料診断
⑥克服方法「認知の歪み」を改善
⑦克服方法「自己意識」を改善
⑧克服方法「森田療法」を活用
⑨克服方法「段階的に不安を解消」
⑩克服方法リラックス上手であがりを改善
⑪あがり症の治療ー薬物療法
⑫あがり症の治療ー漢方

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
有光興記(2001) 「あがり」のしろうと理論 : 「あがり」喚起状況と原因帰属の関係
社会心理学研究17第1号,1-11