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愛着障害の予防法「子どもをだっこして歩く」

愛着障害の予防法「子どもをだっこして歩く」②

コラム①では、愛着障害の特徴や症状に関する心理学の概要をお伝えしました。特徴は、極端な対人関係を表現してしまうということでしたね。今回は、子どもの「愛着障害を予防する方法」について解説します。目次は以下の通りです。

  • 愛着は子どもと一緒に築く
  • だっこして歩く効果
  • 子どもも親の子育てに協力!?
  • ストロークと愛着
  • 無条件の肯定が大切!
  • まとめ

愛着は子どもと一緒に築くもの

コラム①で愛着障害の特徴は極端な対人関係を表現してしまうということとご紹介しましたね。ボウルビィの理論では、母性的な養育の体験が欠けていると子ども達には、

・情緒面の問題を現す傾向
・成長の遅さや体調不良

などの問題も見られることが多かったということでした。子どもは生まれてからすぐに感情のコントロールはうまくできません。そのため養育者や周囲の人が子どもが泣いたときにあやしたり、なだめたりして落ち着かせることで、だんだんとひとりでも感情をコントロールできるようになります。

この周囲の人があやしたり、なだめたりすることが大切であることは多くの人が経験的に知っていた事だと思います。しかし近年子どもをだっこすることでリラックスし安定することが科学的に証明されています。

愛着障害 治し方

だっこして歩くと赤ちゃんはリラックス!

赤ちゃんの心拍数は、安静時の心拍数は1分間に大体140 回です。心拍数は、正常な人でも呼吸や環境の変化、気分などにより多少変動します。そのため、古くから心身の緊張状態やストレス状態の指標にも使われてきました。ここで赤ちゃんのリラックスについて研究したデータを見ていきましょう。

Esposito(2013)の研究では、生後6か月の子どもを持つ母親13組を対象に母親が赤ちゃんを腕に抱いて約30秒ごとに「座る・立って歩く」という動作を繰り返し、心拍数を測定しました。その結果を以下に図示します。

赤ちゃんをだっこ

母親が歩いている時は、座っている時に比べて赤ちゃんの心拍数が約10分の1に、歩き始めて約3秒程度で顕著に低下することを見いだしました。興奮状態からリラックス状態に変化していると言えます。

愛着障害 母親

また、自発的な動きが約5分の1に減少することを証明しました。心拍数や自発的な動きが減少するということは赤ちゃんがリラックスしたという証拠です。

この結果から、Esposito(2013)らの研究グループでは、赤ちゃんが泣いたときに抱いて5分間歩くことがおすすめされています。

子どもも親の子育てに協力している!

さらに、Esposito(2013)の研究では、今度はマウスを使って子育ての実験を行っています。ほ乳類が子育てをするときによく見られる行動に、口で子どもを加えて運ぶ「輸送反応」があります。この動きを実験者がまねて、子どもマウスの首の後ろをつまむと人と同様に泣き止み、

・心拍数の低下
・自発的行動の減少
・体を丸める

という反応が見られ、人間同様リラックスしていることがわかりました。体を丸める反応については、親が運びやすいように子どもが子育てに協力している表れだと解釈しています。

この体を丸める反応をするには、脳の小脳皮質で

・首の後ろの皮膚の感覚
・運ばれているときの感覚

を感じることが必要になります。また、しっかり体を丸めるには子どもも練習が必要で親が何度も運んでくれるに従って上手く体を丸めて運ばれる姿勢を取れるようになるということです。つまり、子育てが上手くいくには、親も子も反復的な練習をして上手く

「育てる」
「育てられる」

行動が取れるようになり、そのプロセスが安定した形成につながるのです。

愛着障害 予防

ストロークと愛着障害

さて!さっそくですが、愛着障害の予防法を知るために、心理療法の1つであるストロークという概念を紹介します。ストロークとは「人との関わり方」を意味します。あいまいな概念なので、解説を読みながら感覚をつかんで頂けると幸いです。

ストロークは

条件付き肯定的ストローク」
無条件の肯定的ストローク」

の2つに分けられます。まずは「条件付きストローク」について説明します。条件付きの肯定的ストロークの例を挙げます。

・100点を取ったから褒める
・片づけをしから褒める
・勉強したから褒める

これらはすべて「条件付き」ストロークですね。条件付きでも肯定的ストロークは嬉しいものです。褒められるポイントがある場合は相手に伝えましょう。しかし、条件付きにはデメリットがあります。。それは

「条件付きのストロークはそこまでうれしくない」

という点です。例えば、テストで100点取れるなんて!素敵!とお子さんを褒めたとします。もちろん全くうれしくないわけではないのですが、腑に落ちないところがありますよね。

条件付きストロークで育てられた子どもは「100点取れなかったら、僕のことを好きになってくれないんだ・・・」と両親の期待を満たすためだけに生きるようになるかもしれません。
孤独になるのなせ

無条件の肯定が最高の予防法

これに対して「無条件の肯定的ストローク」は存在自体を肯定するため、「僕はここにいていいんだ」という感覚を育てることができます。無条件の肯定的ストロークには条件が不要です。

「どんな時でもあなたと私は肯定されている」

という感覚です。どんな時でも・・・というのがカギですね。何か特別なことしなくても良いのです。〇〇だから・・△△だから・・・という理由はいらないのです。無条件に「人と自分は同じく愛される存在だ」という気持ちを育てることが愛着障害を予防してくれます。

愛着と指しゃぶり

ここで典型的な無条件のストロークと条件付きのストロークを列挙してみます。参考にしてみてください

無条件の肯定的ストロークの例

・感謝
小さなことでも
ありがとうと伝える

・存在の肯定
抱きしめる
うなづく
だっこ

・非言語の褒める態度
微笑む
相手の目を見る
二の腕に触れる

・傾聴態度
論理的に正しくなくても
相手の話をひとまず聞く
相手の話を受け止める

・価値観の尊重
頭ごなしに否定しない
なるほど〇〇という考えがあるのか
あなたはそう感じているのね。

条件つき肯定的ストロークの例

・条件つき感謝
助けてくれた時のみに感謝する
何もしてくれない時は感謝しない

・条件付き存在の肯定
ちゃんと片づけをした時だけ
ニコニコ接する
人によって反応が変わる

・条件つき非言語
手伝ってくれた時だけ頭をなでる
勉強した時だけ相手の目を見る

・傾聴態度
論理的に正しいことだけ肯定する
間違っていたらすぐに反論する

・価値観の尊重
相手の考えを尊重しない
論理的な正しさのみ肯定する

このように無条件のストロークは懐が深く、条件付きのストロークは狭く、愛着障害になりやすいと抑えておきましょう。

まとめ

今子供の愛着障害を予防する方法としては

・何度もだっこ
・無条件のストローク

この2点がまずは基本となります。是非参考にしてみてくださいね。

★ 愛着障害を予防「無条件のストローク」を実践してみよう

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Esposito, G., Yoshida, S., Ohnishi, R., Tsuneoka, Y., del Carmen Rostagno, M., Yokota, S., … & Venuti, P. (2013). Infant calming responses during maternal carrying in humans and mice. Current Biology23(9), 739-745.