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愛着障害と成人してから上手く付き合う方法③

愛着障害と成人してから上手く付き合う方法③

コラム②では、子どもの「愛着障害を予防する方法」について解説しました。だっこして歩くことが重要なぽイントでしたね。今回は、成人の「愛着障害と上手く付き合う方法」について解説します。

大人になって愛着ということばが気になったという人の中には、人間関係の難しさを感じているという方がいらっしゃるかもしれません。なぜ人間関係の難しさに愛着が関係あるのか?まずは、愛着が安定して形成されなかったときに注目して不安定な愛着の根底にあるものはなにかということについてご説明します。

不安定な愛着の根っこに見捨てられ不安

安定した愛着の基本は、子ども時代に特定の養育者から継続的なかかわりを通して培われます。良いときは褒められ、悪いことをしたときには叱られ、良いときも悪いときもありのままの自分が受け入れられることで

・安心感/信頼感
・自信
・他人との関係性を築くベース

などになっていきます。

安定した愛着が築けなかった人は、他者とのコミュニケーションに問題が出ることがわかっていますが、その根底には、

・良い子でなければだめだという思い込み
・人を信頼することに時間がかかる
・いつも自分に自信がない

などが思考や行動に現れ、その根底には「自分は見捨てられるのではないか」という見捨てられ不安があると考えられています。

成人の愛着スタイルを振り返ろう

コラム①では成人の愛着スタイルを4つご紹介しましたね。

愛着障害 治る

それぞれの特徴は以下のようになります。

安定型
不安が低く、回避もしない、もっとも理想的なタイプです。悩みを周囲に打ち明けたり、相談をしたりなど他人を信頼して関わることができるし、親密な関係を構築することもできます。自分自身も他者に依存することもなく、安定していると言えます。おそらく円滑な対人関係を持てていると言えるでしょう。

見捨てられ不安型
人と仲良くなることには積極的ですが、見捨てられ不安を持ちやすいタイプです。親密でいたい、仲間外れにされたくない思いから、周囲にしがみついてしまいます。自分がどう評価されるかを気にするあまり、拒否されたり、見捨てられることを余計に考えてしまいます。自分自身も疲れてしまいますし、相手にとっても負担に感じられることが多くあります。

関係構築回避型
不安が少なく、他者と一定の距離を置くタイプです。基本的に人のことは信用しておらず、感情表現を抑えて、自分を出さないようにします。日常生活では、ある程度適応的に機能することもありますが、親友と呼べる存在がいないという悩みを抱えていることがしばしばあります。

引きこもり型
不安が強く、他者との関係を回避するタイプの人たちです。「人が怖い」「自分は嫌われるに違いない」「どうせ、みんな私を見捨てて去っていくだろう」と考えて、親密な関係を回避します。過去のトラウマ体験などの心に大きな傷を抱えた人などに見られます。なかなか親しい関係を持てずに、対人関係で悩みやすい傾向にあります。

各愛着スタイル4つの行動パターン!

さらに、日本における研究では、以上であげた4つの愛着スタイルを持つ人の行動パターンの違いが研究されています。

中尾・加藤(2006)では、大学生378名を対象に2種類の質問紙で愛着スタイルを測定しました。そして、各愛着スタイルと愛着を表現する行動パターンの違いを明らかにしました。その結果が、以下の図です。

愛着障害 大人

すねた伝達とは、ダイレクトに愛着を表現するのではなく、冷たい態度を取ったり、あえて突き放すような態度を取ったりして、間接的に愛着行動を行うことを意味しますです。グラフを見ると、見捨てられ不安型の方が安定型よりも伸びていることがわかります。

つまり、見捨てられ不安が高いほど、愛着を直接的に伝えず、振る舞いやしぐさなどの曖昧なメッセージを使って相手に伝えようとするということですね。このように愛着スタイルによって、行動パターンが変わってくることが心理学の研究によって分かっています。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

1.安定型の行動パターン
安定型の人は、不安になったり困ったときなどに他者に対し、素直に気持ちを伝える行動がほかの型よりも高いという結果でした。また、間接的愛着行動がほかの型よりも低いことがわかります。安定型の人は、直接相手に素直な自分の気持ちを伝えていることがわかります。

・安定型の人にありがちなトラブル
基本的には、他者と素直なコミュニケーションができる安定型の人でもときに体調が優れないときや他の物事で行き詰まっていると感じているときに物事を悪い方に考えて思ってもない事を口走ってしまうこともあるでしょう。

・改善方法
安定型の人は、普段は相手と直接素直なコミュニケーションが取れることが多いのですが、感情が不安定な時は、相手の顔色や考えていることが気になったりすることもあるでしょう。他者への懸念が高まったままでの関わりはとげとげしい物言いや態度になりがちです。まずは、いつものペースを取り戻すために深呼吸をして少し落ち着いてみましょう。

それには丹田呼吸法がお薦めです。以下のコラムを参考にしてみてください。

マインドフルネス呼吸法を行う方法

落ち着きを取り戻して相手と関わることで安定型の人の良い部分が普段通りに生かせるでしょう。

2.拒絶型の行動パターン
拒絶型の人は、不安になったり困ったときなどに他者に対し、他の型と比較して直接的愛着行動が一番低く、間接的愛着行動では、他者への懸念が強いことがわかります。他者への懸念が強いために素直な行動をとりづらくさせているのでしょう。

・拒絶型の人にありがちなトラブル
日常生活の中で拒絶型の人にありがちなトラブルを挙げます、例えば、ある日友人と出かける約束をしていたのですが、当日友人の体調が悪くなり結果的にドタキャンになったという状況で考えてみましょう。拒絶型の人は、自分と出かけるのが嫌なんだろうか?昨日のやり取りの中で何か変なことを言ってしまったのかなど1人でぐるぐる考えてしまいます。そんなときの感情や思考、行動は、以下のようなものが考えられます。

感情;ドタキャンされてさみしい。退屈。
思考;自分は嫌われているのかもしれない。
行動;詳しい状況は自分から聞かない、自分からは約束はしないようにする。

・改善方法
他者への懸念が強く、直接素直なコミュニケーションが少ない拒絶型の人は、まずは少しずつ自分の思いを相手に伝える機会を増やしましょう。直接伝えることが難しいのであれば、まずはメールなどで「残念だったなぁ」相手のことを「心配している」ことなど気持ちを少しずつ伝えることを意識してみて下さい。ひとつでもいつもと違う行動をことで極端な考えや回避的な行動も減ってくるでしょう。

3.不安型の行動パターン
不安型の人は、不安になったり困ったときなどに他者に対し、自分の気持ちを相手に素直に伝える行動は高いのですが、他者への懸念も強いことがわかります。親密な相手には回避はしないが、不安は強いという特徴ゆえに相手を試すようなすねた行動も多く、葛藤が大きいのかもしれません。

・不安型の人にありがちなトラブル
不安型型の人は、他者のことを気にしすぎる傾向にあります。上記同じ友人と出かける約束をしていたのですが、当日ドタキャンになったという状況で考えてみましょう。不安型の人は、自分と出かけるのが嫌なんだろうか?と懸念が強いのは拒絶型の人と同じなのですが、さみしい気持ちや残念な気持ちをすねた行動で表現してしまいます。そんなときの感情や思考、行動は、以下のようなものが考えられます。

感情;さみしい、がっかり
思考;出かけて楽しみたかった。
行動;「どうせ行きたくなくなったんでしょ?」
「あなたがいけないんだったら別の人と楽しむ」
など心にもないことを感情的に伝える。

・改善方法
直接素直なコミュニケーションはあるのですが、他者への懸念が強く、すねた表現をしてしまうとらわれ型の人は、まずは自分の気持ちを自分で受け止める機会を増やし、相手に適応的な表現で伝えるコミュニケーションを増やしましょう。すぐに相手に感情をぶつけてしまうとすねた表現になってしまうことも考えられるので、まずは、ノートなどで自分の嫌だったことや、残念に思った気持ちを書いて落ち着きましょう。その後、素直に相手に「次回を楽しみにしているね」など落ち着いてから本音を伝えましょう。一呼吸置くことで相手とのトラブルが減ってくるでしょう。

4.恐れ型の行動パターン
恐れ型の人は、不安になったり困ったときなどに他者に対し、相手に素直に気持ちを伝える行動が低く、他者への懸念が強いことがわかります。間接的愛着行動のみを見るととらわれ型と同じように見えますが、直接的愛着行動も高いとらわれ型と比較すると、恐れ型の人のほうがより他者へ気持ちが伝わりにくい行動が多いことがわかります。また、恐れ型の人の特徴として親密な相手ほど回避してしまうので大切な相手ほど気持ちを伝えるのが難しい傾向にあるでしょう。

・恐れ型の人にありがちなトラブル
日常生活の中で恐れ型の人にありがちなトラブルを挙げます、例えば、上記と同じくある日友人と出かける約束をしていたのですが、当日ドタキャンされたという状況で考えてみましょう。恐れ型の人は、自分と出かけるのが嫌なんだろうか?やっぱり自分なんかといても楽しくないよねなど1人でぐるぐる考えてしまいます。そんなときの感情や思考、行動は、以下のようなものが考えられます。

感情;ドタキャンされてさみしい。悲しい。
思考;やっぱり自分は独りぼっちだ。
行動;相手が本音を話し合おうとするのに話題をそらす

・改善方法
他者への懸念が強く、親密な相手ほど直接素直なコミュニケーションが少ない恐れ型の人は、まずは自分への肯定的なストロークを増やしましょう。ストロークとは、人の存在や価値を認める言動や働きかけを指す概念です。自分への自信が低めな恐れ型の人は、相手と向き合うときに不安が高まりやすい傾向にあります。そのため、どんな自分でも受け入れられることを実感するために、自分に無条件の肯定的ストロークを送りましょう。以下のコラムを参考にしてみて下さい。

安心感を持つポイント「無条件の肯定ストローク」を増やそう②

不安が高まったときに自分への安心感を高めることで極端な考えや親密な相手を回避する行動も減ってくるでしょう。

以上、成人の愛着パターンのから起こるトラブルやその解消法についてご説明しました。しかし、ここで注意が必要なのは、例えば、普段は安定型の愛着スタイルの人がすねた表現を特定の人にだけしてしまうなどということはもちろんあるということです。親、友人、恋人など関わる人や状況によってある程度思考や行動は変化することは当然のことです。

愛着スタイルに合わせて工夫しよう!

幼少期の愛着形成は成人にも影響を与えるといえそうですが、「自分は拒絶型で人間関係においても慎重すぎるから意識してこうしてみよう」など工夫していくと思考や行動は変化していくでしょう。

愛着は大切なものですが、一生変化しないものではありません。人間関係のしんどさはもしかしたら愛着パターンにあるのかもしれないということが解決のヒントになれば幸いです。自分の傾向がわかったら、「本当はこうしたい」という望む方向を具体化して行動してみましょう。

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★成人の愛着障害はスタイルに合わせてうまく付き合おう!

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
Bartholomew, K., & Horowitz, L. M. (1991). Attachment styles among young adults: a test of a four-category model. Journal of personality and social psychology, 61(2), 226.
中尾達馬, & 加藤和生. (2006). 成人愛着スタイルは成人の愛着行動パターンの違いを本当に反映しているのか?. パーソナリティ研究, 14(3), 281-292.