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愛着障害の対策!子どもの保育・治療について④

愛着障害の対策!子どもの保育・治療について④

愛着障害は人生に渡って人間関係に悪影響を及ぼすものなので、お子様がいらっしゃる方はどうにか愛着障害にならないように保育したいところですよね。

接し方によっては、心に深い傷を負ってしまうことがあるので、お子様のメンタルへルスを健康に保つためにも、子どもの愛着障害について知識を備えておきましょう。

子供の愛着スタイルを理解しよう

もし愛着障害の疑いがある場合、どのように克服していけばいいのでしょうか。この点についてはまずは自分の状態を理解することから解決が始まります。

・子供の愛着4つの分類

エインズワースという研究者は、赤ちゃんを対象にストレンジ・シチュエーション法で研究を行いました。ストレンジ・シチュエーション法の手順は以下の通りです。

・ある部屋で赤ちゃんとお母さんが過ごす
・しばらくしてお母さんだけが退室してもらう
・代わりに知らない人が入室し、退出する
・再度その後お母さんに戻ってきてもらう
・赤ちゃんの反応を見る
この方法で、子供の愛着の特徴は4種類に分けられています。

発達障害と愛着

・安定型・回避型・葛藤型・無秩序型

それぞれの特徴は以下のようになります。

安定型
お母さんがいなくなると不安に思う。お母さんが返ってくると、素直に喜ぶことができる。あるいは、泣いて寂しさを伝えることができる。

回避型
お母さんがいなくなっても、泣いたりしない。お母さんが戻ってきたあともよそよそしい。

葛藤型
そもそもお母さんとなかなか離れることができない。あるいは、お母さんが戻ってきたあとも、喜びの感情もあるが、怒りの感情などを示すことがある。

無秩序型
赤ちゃんのお母さんに対する態度に一貫性がない。急に怒ったり、泣いたり、寂しさを伝えることもある。

・改善の鍵は安定した愛着体験

愛着の種類は、子ども・大人いずれも4つに分けられます。愛着障害を改善する方向として好ましいのはいずれも安定型のタイプというのはお分かりいただけましたか。ではどのように形成されていくのでしょうか。

愛着障害を改善する①抱っこが基本

ここからは実際に、お子様とどう接すればいいかについてコツを3つお伝えします。まず1つ目は抱っこの重要性です。赤ちゃんの心拍数は、安静時の心拍数は1分間に大体140 回です。心拍数は、正常な人でも呼吸や環境の変化、気分などにより多少変動します。

そのため、古くから心身の緊張状態やストレス状態の指標にも使われてきました。ここで赤ちゃんのリラックスについて研究したデータを見ていきましょう。

愛着障害 治し方

Esposito(2013)の研究では、生後6か月の子どもを持つ母親13組を対象に母親が赤ちゃんを腕に抱いて約30秒ごとに「座る・立って歩く」という動作を繰り返し、心拍数を測定しました。その結果を以下に図示します。

赤ちゃんをだっこ

母親が歩いている時は、座っている時に比べて赤ちゃんの心拍数が約10分の1に、歩き始めて約3秒程度で顕著に低下することを見いだしました。興奮状態からリラックス状態に変化していると言えます。

愛着障害 母親

また、自発的な動きが約5分の1に減少することを証明しました。心拍数や自発的な動きが減少するということは赤ちゃんがリラックスしたという証拠です。

この結果から、Esposito(2013)らの研究グループでは、赤ちゃんが泣いたときに抱いて5分間歩くことがおすすめされています。

愛着障害を改善する②親子で成長していく

・試行錯誤の重要性

親になると、子供とじゃれ合ったり、抱っこする機会がたくさんあります。ただ最初の方はうまく、抱っこできなかったり、うまくじゃれ合うことができなかったりします。

なんとなく居心地が悪いと赤ちゃんは泣いたりしますよね。この時、親と赤ちゃんは、無意識のうちにお互いが試行錯誤を始めます。赤ちゃんは体を揺らし、親は重心をずらしたりします。

この試行錯誤をすることで、安心した状態を2人で追及していくのです。そうしてある時、お互いの努力が実り、心地よい体の感覚を得ることができて、赤ちゃんは泣き止みます。

この共同作業によって安心した位置を獲得できると、私たちはお互い信頼できる・・・という基本的信頼感を築くことができます。

・輸送反応とリラックス

Esposito(2013)はマウスを使った子育ての実験を行っています。ほ乳類が子育てをするときによく見られる行動に、口で子どもを加えて運ぶ「輸送反応」があります。

この動きを実験者がまねて、子供マウスの首の後ろをつまむと、マウスは体を丸めて、運びやすくなる姿勢をとるのです。親が運びやすいように子どもが子育てに協力している表れだと解釈しています。この時、子供マウスは

・心拍数の低下

という反応が見られ、リラックスしていることがわかりました。しっかり体を丸めるには子どもも練習が必要で親が何度も運んでくれるに従って上手く体を丸めて運ばれる姿勢を取れるようになるということです。つまり、子育てが上手くいくには、親も子も反復的な練習をして上手く

「育てる」
「育てられる」

ということをお互い行うことで、信頼関係の源を作り上げていくのです。

愛着障害 予防

愛着障害を改善する③無条件の肯定的ストローク

3つ目に心理療法の1つであるストロークという概念を紹介します。ストロークとは「人との関わり方」を意味します。あいまいな概念なので、解説を読みながら感覚をつかんで頂けると幸いです。

ストロークは

条件付き肯定的ストローク」
無条件の肯定的ストローク」

の2つに分けられます。まずは「条件付きストローク」について説明します。条件付きの肯定的ストロークの例を挙げます。

・100点を取ったから褒める
・片づけをしから褒める
・勉強したから褒める

これらはすべて「条件付き」ストロークですね。条件付きでも肯定的ストロークは嬉しいものです。褒められるポイントがある場合は相手に伝えましょう。しかし、条件付きにはデメリットがあります。。それは

「条件付きのストロークだけでは真の安心は得られない」

という点です。例えば、テストで100点取れるなんて!素敵!とお子さんを褒めたとします。もちろん全くうれしくないわけではないのですが、腑に落ちないところがありますよね。

条件付きストロークで育てられた子どもは「100点取れなかったら、僕のことを好きになってくれないんだ・・・」と両親の期待を満たすためだけに生きるようになるかもしれません。
孤独になるのなせ

これに対して「無条件の肯定的ストローク」は存在自体を肯定するため、「僕はここにいていいんだ」という感覚を育てることができます。無条件の肯定的ストロークには条件が不要です。

「どんな時でもあなたと私は肯定されている」

という感覚です。どんな時でも・・・というのがカギですね。何か特別なことしなくても良いのです。〇〇だから・・△△だから・・・という理由はいらないのです。無条件に「人と自分は同じく愛される存在だ」という気持ちを育てることが愛着障害を予防してくれます。

愛着と指しゃぶり

ここで典型的な無条件のストロークと条件付きのストロークを列挙してみます。参考にしてみてください

・感謝
小さなことでも
ありがとうと伝える

・存在の肯定
抱きしめる
うなづく
だっこ

・非言語の褒める態度
微笑む
相手の目を見る
二の腕に触れる

・傾聴態度
論理的に正しくなくても
相手の話をひとまず聞く
相手の話を受け止める

・価値観の尊重
頭ごなしに否定しない
なるほど〇〇という考えがあるのか
あなたはそう感じているのね。

・条件つき感謝
おかたずけをうまくできたときだけ感謝する
何もしてくれない時は感謝しない

・条件付き存在の肯定
ちゃんと着替えられた時だけ
ニコニコ接する
日によって反応が変わる

・条件つき非言語
手伝ってくれた時だけ頭をなでる
勉強した時だけ目を見る

・傾聴態度
論理的に正しいことだけ肯定する
間違っていたらすべて否定

・価値観の尊重
相手の考えを尊重しない
論理的な正しさのみ肯定する

このように無条件のストロークは懐が深く、条件付きのストロークは狭く、愛着障害になりやすいと抑えておきましょう。

まとめ

小さい子どもの頃からを思い返すと、親との間で愛着関係が育まれてきました。「わがままを聞いてもらった」「泣いたときにあやしてもらった」などの体験は、まさにそれです。

このような体験を通して、幼少期にお母さんと子どもの間での「愛着」が育まれることは、子どもにとって心の支えとなります。つまり愛着体験を積み重ねることで症状を改善していくことができます。良かったら参考にしてみてくださいね(^^)

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★子どもの愛着障害には「安定的な愛情で保育」

目次

①症状や行動の癖を解説​
②愛着とは何か?
③「精神医学上の診断」
④子どもの保育・治療
⑤大人の愛着障害の治療
⑥愛着障害の簡易診断!

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Esposito, G., Yoshida, S., Ohnishi, R., Tsuneoka, Y., del Carmen Rostagno, M., Yokota, S., … & Venuti, P. (2013). Infant calming responses during maternal carrying in humans and mice. Current Biology23(9), 739-745.