バーンアウトの治し方「限界設定」で適度な働きを④
コラム①では、バーンアウトについて概観していきました。重要な要素としては、「①心理学研究」「②新しい目標を探す」「③限界設定」「④ソーシャルサポート」「⑤運動不足を解消」「⑥医療の力を借りる」の6つでしたね。
今回は、「③限界設定」を解説していきます。
バーンアウトと無力感
バーンアウトと無力感症は、仕事のオーバーワークで発生します。コラム①でご紹介した、図を少しおさらいしておきましょう。
このように、学習性無力感型のバーンアウト、難易度が自分のスキルの範囲を超えている時に、発症しやすくなります。例えば、残業時間が長くなるほど退職する人が増えたり、プレッシャーのかかる仕事を任された時に過剰にストレスを感じてしまうなどです。
つまり、自分のスキルの範囲内で達成可能な目標を設定をして、適切に努力することがバーンアウトの予防・改善につながるのです。
限界設定とは?
限界設定とは「自分には、ここまではできるけど、ここから先はできない」という区切りの部分になります。この部分をハッキリさせておくと、適度な目標を立てることができるため、バーンアウトになりにくくなります。
例えば、
会社員 ⇒残業は月30時間まで
子育て ⇒夕食手作りは週5まで
学生 ⇒勉強は10日に1回は休む
このように、自分が達成できる限界を考えて、その範囲内で適応していきます。限界が設定されていることで度を越えて働くことがなくなり、バーンアウトを予防・改善できるのです。
限界設定の3つのステップ
それでは、バーンアウトを克服する限界設定の4ステップをご紹介していきます。
①限界を予測する
まずは自分ならここまで出来るだろうという限界を予測します。あくまでも予測でかまいません。人間は、将来の自分の能力を過剰に見積もったり、逆に小さく見積もったりする性質があります。そのため、最初に立てた限界が必ずしも適切とは限りません。
そして、限界を設定する時のコツは、「数字で測れる」ことです。極力多くやる、なるべく控えるなどの設定は具体性に欠けるため、日によって波が生じてしまいます。明確に測れるようにするために、「〇時までやる」「〇時間まで」「〇個まで」といった数字を考えるようにしましょう。
例
⇒残業は月45時間までが限界だろう
②限界設定の範囲内で取り組む
①で推測した限界まで実際に取り組んでみます。もし、まだまだ余裕があるようなら、限界設定がゆるいということになりますし、限界に達する前にエネルギー切れが起きるようなら、目標が高すぎるということになります。特にモラトリアム型のバーンアウトになりやすい方は、無意識に高い目標を掲げていることが多いです。
例
⇒月45時間残業してみたけど、
けっこうハードワークだ。睡眠時間もあまり取れない。
③限界設定を見直す
実際に行動してみた結果をもとに、改めて限界設定を行ってみましょう。余裕があれば、限界をさらに上げてみる、キツイ場合は下げてみるといった具合で調節します。
例
⇒月45時間の残業はつらい。
月30時間程度が現実的。
この3つのステップでだいぶ正しい限界設定ができているはずです。それでもまだ、余裕がある・キツイ場合には、②~③を繰り返して、自分の中の最適解を探っていきましょう。
自分に適した限界はトライ&エラーの末に見つかるものです。少しずつ試して、自分に合う限界設定を行ってみてください。
ご自身の状況で実践!
それでは、今度は皆さんの番です。限界設定の3つのステップを踏まえて、ご自身の状況でバーンアウトの予防・改善に取り組んでいきましょう。
①限界を推測する
⇒
②実際に限界まで行う
⇒
③限界設定を見直す
⇒
解答例
①限界を推測する
⇒筋トレは1日3時間まで
②実際に限界まで行う
⇒やってみたら結構、辛かった。
もう少し減らしてみてもいいかもしれない。
③限界設定を見直す
⇒筋トレは1日2時間まで
バーンアウトを克服
限界設定でバーンアウトを克服する方法ついてご紹介していきました。あらかじめ限界を設定しておけば、過労になることがなく、バーンアウトを予防できます。ご自身の丁度いい限界設定ができるまで、ご紹介したステップを繰り返してみてくださいね。
次回は、④ソーシャルサポートについて解説していきます。
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目次
①バーンアウト-概観
②心理学研究で理解
③「新しい目標を探そう」
④「限界設定」で適度な努力
⑤「ソーシャルサポート」
⑥「運動不足」を解消しよう
⑦「医療の力」を借りよう
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