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認知行動療法の基礎①効果・やり方とは-公認心理師

認知行動療法の基礎①効果・やり方とは

はじめまして!公認心理師の川島です。今回のテーマは「認知行動療法」です。


改善するお悩み
・落ち込むことが多い
・イライラすることが多い
・消極的になりやすい

  • 全体の目次
  • 認知行動療法とは?定義・歴史
  • 精神療法
  • 行動療法
  • 認知療法
  • マインドフルネス
  • 助け合い掲示板

はじめに

認知行動療法は私たち人類にとって、悩みを改善する手法の集大成を言っても過言ではないと思います。研究数が最も多く、実際に現場で使われる数は世界で一番と言えるでしょう。

もし仮に
「初学者がまずは学ぶとよい心理療法は?」

と公認心理師にアンケートを取ったら、1位になると思います。それぐらい認知行動療法は、示唆に富んだ心理療法なのです。

本コラムは①~④までの4部構成です。最後まで読んで頂くと、人生を通して悩みの整理がしやすくなると思います。是非最後まで読んでみてくださいね♪

認知行動療法とは?定義・歴史

それでは早速解説をはじめていきます。

意味とは

認知行動療法は

Cognitive(認知)
behavioral(行動)
therapy(療法)

の頭文字をとってCBTと略されて使われることがあります。

心理学辞典(2013)で以下のように定義されています。

認知療法や行動療法に由来する治療テクニックに統合した心理療法のことで、クライエントの不適応的な思考プロセス問題行動の特定および修正に焦点をあてた療法(一部簡略化)。

この定義には重要なポイントが3つあります。

①統合した手法

認知行動療法は統合した心理療法です。様々な心理学者の治療法を組み合わせて作成されたものです。時代と共に、いいとこどりで発展してきました。

②思考プロセス

認知行動療法は「思考」を扱います。私たちの感情は、出来事の捉え方の影響を強く受けます。そのため思考を改善することを重視します。

③問題行動

私たちはマイナス感情に取り込まれると、極端な行動、問題行動を起こしやすくなります。考え方だけでなく、現実の行動の修正も目指していきます。

認知行動療法

歴史

全体の歴史

認知行動療法は心理学の歴史と共に発展してきました。まずは全体をざっくり俯瞰すると、

1880~(精神分析) 
      ↓
1950~ 行動療法  
      ↓
1960~ 認知療法  
      ↓
1990~ マインドフルネス 

このように発展してきました。精神分析は古典的な心理療法で認知行動療法には含まれません。太文字の部分を総称して認知行動療法と呼ぶようになっています。

いいとこどり

歴史を概観するとわかるように、認知行動療法は70年近くの歳月を経て、様々な心理療法を吸収しながら発展してきました。

ちょっとずるい!と感じるかもしれないですが、とにかく効果がありそうな心理療法であれば、吸収してしまえ!という柔軟さがあるのが特徴です。

そのため認知行動療法を学習すると、心理療法のエッセンスをかなり学ぶことができるのです。

さて!次のコーナーからはもう少し細かい部分を見ていきましょう。

精神分析療法

精神分析のはじまり

認知行動療法を理解する上での前フリとして、まずは精神分析療法を学んでいきましょう。精神分析は心理療法の第一人者となる精神科医のジークムント・フロイトが提唱しました。

精神分析を提唱したフロイト

出典:wikipedia

この療法は、人の心の内面を「全体図」を示した理論です。当時は画期的な考え方で、後の心理療法に絶大な影響を与えました。

精神分析の特徴と効果

精神分析では、心の全体図を以下のように表しています。超自我はルール、イドは欲望と捉えてください。

精神分析の全体図

出典:wikipedia

私たちの心は、ルールと欲望に揺れ動かされその感情を自我がコントロールしているのです。

たとえば、ルールを守りすぎると欲望を素直に表現できません。このような場合は、ルールを減らして欲望を増やすことで、症状の軽減を目指すのが精神分析です。

精神分析は、不安障害やうつ病、強迫性障害などに効果が期待できる療法です。加えて、パーソナリティ障害などさまざまな心の病気の治療にも用いられています。

批判を受けるようになる

精神分析療法は、心の問題を扱いやすくしてくれた療法ですが、

・概念が抽象的
・検証できない
・科学的ではない

という問題がありました。そういった時代の流れもあり、精神分析療法は徐々に批判されるようになっていきました。

行動療法の登場

行動療法のはじまり

行動療法は、フロイトの考え方を猛批判したドイツの心理学者ハンス・アイゼンクが提唱した療法です。

行動療法を提唱したハンスアイゼンク

出典:wikipedia

アイゼンクは、実証可能な方法で心の問題を検証することを重視しました。そこで、目に見える「行動」に着目したのが行動療法の始まりです。

行動療法の効果

不安や恐怖に向かって「行動」することで克服を目指す方法です。

行動療法の基本はスモールステップです。小さな目標をたて、成果を積み重ねていくなかで大きな目標を達成したり、自信をつけていきます。

効果としては

・回避癖に効果
・日常生活が実際に好転する
・成果を把握しやすい

これらが挙げられます。

例えば、スピーチが苦手な人でも、人前で話せるようになるなどの効果を発揮しました。できたかできないかのが分かりやすいため、成果を積み重ねて自信につなげることができます。

行動療法の特徴とメリットデメリット

行動療法の問題

一方で、行動療法には

・ハトやねずみの理論が基礎
・心の問題に焦点を当てない
・あくまで行動面の改善を重視

という問題がありました。認知行動療法はさらに発展していくことになります。

認知療法の登場

認知療法のはじまり

そこで出てきたのが認知療法です。認知療法は考え方や思考に焦点を充てた心理療法です。認知療法には2人の重要人物がいます。

アルバート・エリス
エリスは心の問題は出来事ではなく、出来事の受け取り方(認知)で変わると主張しました。

アーロン・ベック
ベックは解釈の根底にある思考(=スキーマー)が、出来事の捉え方に大きく影響していると主張しました。

両者の主張はすごく似ています。細かく分けると違いがあるのですが、入門としては一緒に学んでいくといいでしょう。

認知療法の特徴

議論を続けます。認知療法は、起こった出来事に対してどう反応するかに関して焦点を当てた療法です。基本モデルは、以下の通りです。

認知療法の基本モデル

例えば以下の図をみてみてください。同じ出来事でも、考え方によって、つらい気持ちにもなれば、楽しい気持ちにもなります。

認知療法の具体例

認知療法の効果

出来事によって、人それぞれで感じたり考えたりすることは当然違います。もしいつも落ち込みやすい人がいたら、出来事の捉え方を改善することで、悩みが軽くなるかもしれません。

認知療法は、
・モデル図がわかりやすい
・目に見える文字にする事で考えを改善
・エビデンスが豊富

というメリットがあります。認知療法は、シンプルなため比較的進めやすい療法です。加えて、多くの研究があるため実証性が高い療法としいわれています。

認知療法の問題

さて!認知行動療法はしばらくの間は、行動療法と認知療法を組み合わせながら行われてきました。しかし。だんだんと問題があることもわかってきたのです。

具体的には
・排除思考
・疲れる
・再発する

認知療法の基本的な考え方は、ネガティブな感情をなくそうという姿勢があります。負の感情とはいえ意味があるものです。そのため、なくすことで、症状を悪化させてしまうことがあります。

また、認知療法は頭を使うので結構疲れますし、療法を継続しないと再発する可能性が高くなります。うつ病の場合、2年後の再発率が高いといわれている点はデメリットと言えるでしょう。

マインドフルネスの登場

さてさて!認知行動療法はなかなかの成果を上げてきたのですが、ここ20年でさらに新しい手法が加わるようになってきました。

そうです!認知行動療法はドラゴンクエストのように仲間を集めていくのです笑

マインドフルネスの導入

1990年だいから東洋の瞑想からヒントを得て開発されたマインドフル療法が流行してきました。提唱者は分子西生物博士のカバット・ジンです。

出典:wikipedia

マインドフルネス療法は、“いまこの瞬間”に意識を向け、恐怖、怒り、悲しみ、気持ちがいい、痛いなどの感覚とうまく付き合う方法です。

たとえば、不安な気持ちがあれば、今自分は不安なんだなとただ眺める練習をしていきます。

マインドフルネス療法の例

マインドフルネスの効果

マインドフルネスができるようになると、感情に振り回されることがなくなり冷静に行動ができるようになります。効果は以下のように整理できます。

・再発率低下
・東洋的思想
・いまここ力UP

感情コントロールしやすくなるため、うつ病など再発率が低いとされています。また、東洋的な思考のため、日本人はなじみやすい思考といえます。

マインドフルネス療法で今ここ力がUPすると、将来や過去に視点が行きにくくなるため、悲観的な考えになりやすい人には特に効果が期待できる療法と言えます。

マインドフルネスのデメリット

そんなマインドフルネスですが以下の弱点もあります。

・研究が少ない
・抽象度が高い
・練習がいる

副作用の研究が少ないため、完成度が低い療法といえます。また見えない部分での検証になるため、抽象的でできたかできないかが分かりにくい点がデメリットと言えます。

まとめ

認知行動療法まとめ

ここまで認知行動療法を全体像から理解を進めていきました。以下に長所と対象をまとめました。

認知行動療法の種類と特徴、対象のまとめ

認知行動療法基礎②~④

次回以降は具体的なトレーニング法も解説していきます。基礎②から是非進めてみてくださいね。

認知行動療法の基礎②認知療法・論理療法のやり方

認知行動療法の基礎③行動療法の基礎・やり方、積極的になるコツ

認知行動療法の基礎④ マインドフルネス療法の効果とやり方

統計的効果

もう少し詳しく認知行動療法の効果を知りたいという方はこちらに有名な研究を記載しています。統計データなどを見たい方は展開してみてください。

診療所・クリニックの認知行動療法を実施状況の全国結果を見てみましょう。高橋ら(2018)は、質問紙調査を行い、回答が得られた1019施設について分析しました。質問紙では、

たまに実施する
よく実施する

の2つ回答を合計し、上位4つを挙げてあります。

▼結果の一部が下の図になります。

不安神経症 和らげる

このように、もっとも認知行動療法が用いられているのがうつ病で、次いで社交不安症、そのあとにパニック症、全般不安症が続いています。

この調査から分かるように、日本の精神科では、精神疾患の治療に認知行動療法が用いられている頻度が高いことがうかがえます。

Michelら(2003)は、慢性的な心配が特徴である全般性不安障害の研究を行いました。

研究の方法は、少人数で行う集団認知行動療法という心理療法を施した群施さなかった群とを分けて、不安や抑うつ、心配などを比較するものでした。

以下の図は、認知行動療法を施した群の、治療前と治療後の心配得点を比較しています。治療後に心配の度合いが大幅に改善していることが分かります。

心配性 克服ここでは心配だけを取り上げていますが、認知行動療法を施した群は、不安や抑うつなども改善されていました。

鈴木ら(1984)は、行動療法が有効であったヒステリー性失立失歩の1例を報告しています。

ヒステリー性失立失歩とは、手や足が麻痺することで、立って歩くことができない症状です。ヒステリーを起因とした転換症状のうちでもしばしば見出される代表的な症状の一つです。

【症例:12歳の女児】
・ヒステリー性失立失歩
・軽度の精神発達遅滞ヒステリックと行動療法

この事例では、患者が小児だったため、医師と患者の間に補助治療者が入り、行動療法などがヒステリックの治療として実施されました。

1:オペラント技法
結果に対して反応を与える技法です。治療では、移動訓練を遂行した時には報酬を与え、食事摂取をしない時には処罰を与えました。

2:嫌悪療法
行動に対して不快な経験を結びつける行動療法です。治療では、「歩けなければ足を切る」という言語的嫌悪刺激を与えました。

3:主張訓練法
アサーション理論ともいわれる技法で、自分の意見を冷静に伝え、かつ相手側の立場を考慮した主張法を学習する(心理学辞典,2013)こととされています。

その結果、徐々に行動および性格の変化が認められ、3カ月後に歩行訓練を行なったところ、ヒステリー症状の劇的な改善が見られました。

 

仕上げの動画

基礎①について動画解説もあります。動画を見るとより理解が深まると思います。仕上げとしてご活用ください♪

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・ファンデンボス,G.R.(2013)APA 心理学大辞典,684

・Group cognitive-behavioral therapy for generalized anxiety disorder: Treatment outcome and long-term follow-up. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 71, 821-825

・鈴木 節夫・鈴木 康夫・大嶋 正浩・大原 健士郎 1984 行動療法が有効であったヒステリー性失立失歩の 1 例 心身医学,8,24,4.

高橋史・武川清香・奥村泰之・鈴木伸一(2018)日本の精神科診療所における認知行動療法の提供体制に関する実態調査.