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勇気が出ないときは認知療法で柔軟に

勇気を出す方法「認知療法」で完璧主義を柔軟に③

コラム②では、勇気が出ない原因の1つ目「困難を避ける」の解決策を紹介しました。今回は原因の2つ目「完璧を求めてしまう」を解決するためのコラムです。

完璧主義の人に多い白黒思考とは?

白黒思考とは、物事を白か黒かで割り切り完璧を求めてしまうことを言います。

完璧でなければ納得できないため自分の行いを振り返って少しでも満足できないと、「これは失敗」とか「自分はだめ」など自信を失ってしまいます(竹田,2012)。これでは新たな挑戦への勇気は沸いてこないでしょう。

そこで完璧主義の認知のゆがみを振り返り、適応的な思考に修正する方法として認知療法が挙げられます。認知療法とは、認知の偏りを振り返り、より適応的な思考を選択していく方法です。

認知療法で認知のゆがみを修正

白黒思考が強く、完璧主義で新しいことに挑戦する勇気が出ないときは、認知療法を使った適応的な思考を見つけるワークがおすすめです。この適応的な思考を選択していくワークを行うことで、思考や気分に変化が得られます。このワークの効果が実証されている研究を見ていきましょう。

竹田ら(2015)の研究では、認知の偏りが強い人を対象に認知療法のワークの効果を測定しました。認知の偏りとは考え方のクセのようなもので白黒思考もその中のひとつにはいります。ここでは、白黒も含めた結果として見ていきます。

以下の結果を表に示しました。認知の偏りが強い人を対象に認知療法のワークを行った前後の自己効力感の変化は、ワークの実施前後と比較して平均点が上がっています。

自己効力感の変化

この結果は、 認知の偏りが強い人でも嫌な気分になったときに思考を振り返ることや、適応的な思考を考えることで自己効力感がアップするという結果です。

つまり、自分の思考の偏りに気づき、適応的な思考を考える中で気分や感情の安定化や回復につながると考えられます。気分が不安定なときは、新しいことに挑戦する勇気は出てきません。このワークを進める中で新たな思考の可能性に気づき、新しい一歩を進む手助けをしてくれるでしょう。

適応的な思考を見つけるワークとは?

適応的な思考を見つけるワークとは、紙とペンを用意して自分の勇気がでないと感じた場面を挙げ、以下の4ステップで思考の振り返りをします。

STEP1:状況
実際に観察された事実のみを書く
STEP2:思考
自分が考えていることを書く
STEP3:反証
根拠と矛盾する思考を書く
STEP4:適応的思考
根拠と反証に基づいてほかの考え方を書く

完璧主義の考えを適応的な思考にするワーク紙に書き出すことで客観的に自分の状態に気づくことができます!今回は、これらの方法を使って白黒思考を緩める練習をしてみましょう! 例題とともに具体的に説明します。

<例題>
コラム②で使用した完璧主義で勇気が出なくなっているAさんの例を使用します。

Aさんのプロフィール
・Aさんは、半年前にひどい失恋をした。
・少しずつBさんと雑談することが出来るようになってきた。
・Bさんと付き合ったとしてもどうせ上手くいかないなら今仲良くなろうと努力しても無駄という白黒思考がある。

そこで白黒思考を緩めるために適応的な思考を見つけるワークをやってみることにしました。

まずは、Bさんに話しかけようとするが、話しかける勇気がでない場面でやってみます。

STEP1:状況
→(Aさん)Bさんが休憩室にいるが、話しかける勇気がでない。

STEP2:思考
→(Aさん)今は楽しくてもどうせうまくいかなくなる。うまくいかないのならアプローチしないほうがましと考えるとBさんに話しかける勇気が出なくなる。

STEP3:反証
→(Aさん)この先うまくいかないかは誰にもわからない。勝手にネガティブな未来を予想してあきらめるのはもったいない。

STEP4:適応的思考
→(Aさん)この先のことはだれにもわからないのだから今はBさんとの会話を楽しもう。せっかく気になる人ができたのだから勇気を出してアプローチしてみよう。

Aさんは適応的な思考を見つけるワークを進めるうちに肩力が抜け、純粋にBさんとの会話を楽しもうと思えるようになりました。

適応的な思考を見つけよう-練習問題

Aさんの例題でイメージできましたか。次に練習問題として、あなたの目標設定を適応的な思考を見つけるワークをやってみましょう!

<ワーク>
あなた自身の思考で適応的な思考を見つけるワークをやってみましょう!

STEP1:状況
実際に観察された事実のみを書く
→(あなた)

STEP2:思考
自分が考えていることを書く
→(あなた)

STEP3:反証
根拠と矛盾する思考を書く
→(あなた)

STEP4:適応的思考
根拠と反証に基づいてほかの考え方を書く
→(あなた)

適応的思考で挑戦への勇気につなげる!

練習問題はいかがでしたか。適応的な思考を見つけるワークで白黒思考を緩めることで、次のような効果が期待できます。

・選択肢に気づくことができる
・追い詰められた気分を解消できる

認知療法は思考の正解を探す方法ではありません。正解はなく1つではなくいろいろ思考ができることに気づくのが目標です。 勇気を出して新しいことに挑戦する時に白黒思考で動けなくなっていることに気づいたら適応的な思考を見つけるワークで修正してみましょう!ぜひ日常生活の中でワークを取り入れてみてくださいね!

次のコラムでは、勇気のなさから引き起こされる問題の「挑戦心がない」の対策についてご紹介します。

★勇気が出ない根っこには白黒思考!適応的な思考で一歩踏み出そう
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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
竹田伸也(2012)マイナス思考と上手につきあう認知療法トレーニング・ブック: 心の柔軟体操でつらい気持ちと折り合う力をつける,遠見書房.
竹田伸也, 太田真貴, 松尾理沙, & 大塚美菜子. (2015). 対人援助職者に対する認知療法によるストレスマネジメントプログラムの効果. ストレス科学研究, 30, 44-51.