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EMDR法の効果とやり方。心と身体のリラクゼーション法-作業療法士,公認心理師,が解説

EMDR法とは?

はじめまして!作業療法士の石橋と公認心理師の川島です。今回のテーマは
EMDR法
です。

    • 全体の目次
    • 入門①EMDR法とは?
    • 入門②EMDRの治療対象
    • 入門③治療の8段階
  • 助け合い掲示板

入門①~③を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。また、EMDRの具体的な技法についても触れています。是非最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

EMDR法とは?

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)は、アメリカの臨床心理士フランシーヌ・シャピロ(1989)によって考案された療法です。

どんな治療法かというと、眼球運動や触覚刺激、聴覚刺激など身体的な刺激を通して、肯定的な認知を高めてトラウマを徐々に緩和させていく方法です。

特徴的なのは、眼球運動などの身体的な感覚を用いて、否定的感情を軽減させていくというところです。

以下にデモンストレーションがあります。

世界的にも注目が集まっておりトラウマに対する治療としてWHO(世界保健機構)も患者の負担が少ない治療法として推奨しています。

EMDRの治療対象

EMDRの治療対象は主にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を対象に効果があるといわれています。

そのほか、

解離性障害
パニック障害
適応障害

などの心的外傷が関連している精神障害にも広く適応があるとしています。また、発達障害への適応にも注目が集まっています。

EMDRの研究

外傷後ストレス反応に、自我状態療法とEMDR法などを併用し有効だった事例を紹介します。

吉川ら(2014)は、「解離性障害を持つ児童への自我状態療法とEMDRの併用の効果判定」を報告しています。研究は以下のようなものでした。

解離性障害の児童に、自我状態療法とEMDRを併用した心理療法を週1回のセッションで計8回行いました。全てのセッションが終了した後に質問紙を実施しています。

以下は結果を示した図です。

心理療法の実施前と後で比較すると、外傷後ストレス反応の減少が見られます。この事例は複数の心理療法を併用していますが、外傷後ストレス反応の減少はEMDRの単独の効果であると考察しています。

つまりEMDRを行うことで、外傷後ストレス反応を軽減できるといえます。

EMDRのやり方

EMDRには8つの段階で構成されていて、治療を進めていきます。

病歴・生育歴の聴取

⇒トラウマなどの過去の体験を聴取

準備

⇒「安全な場所のエクササイズ」など、
 安全感や肯定感を高める

安全な場所のワークとは、準備の段階で取り入れられるワークのことです。

ここでは、次の脱感作の段階で効果的にリラックスできるように、準備をすることが目的です。以下にその流れを示します。

①安全で穏やかな場所をイメージする
②眼球運動を4回実施(1回4~6往復)
③その場所のイメージに名前をつける
④名前も考えながら②の作業を2回実施

このような流れで、“落ち着いた気持ちでいる体験”をしていきます。

 

アセスメント

⇒否定的感情、肯定的感情、身体感覚など確認

脱感作

⇒眼球運動などの身体刺激を使って
 苦痛を軽減

ここでは、苦痛になっている状況を思い浮かべて、眼球運動などの身体的な刺激を通して苦痛を軽減させていきます。

以下に流れを示します。

①苦痛を感じる場面を思い浮かべる
②眼球運動を実施(1セット25~30往復、12~20秒程度)
③苦痛が低減するまで実施

ここで用いる身体的な刺激は、眼球運動の他に“タッピング”なども使われることがあります。これは、膝や背中などを、左右交互にリズミカルにたたくことで触覚的な刺激を加えるものです。

 

植え付け

⇒肯定的感情が高くなるまで身体刺激を継続

ボディスキャン

⇒不快な身体感覚が消失していることを確認

終了

⇒日常生活に戻れるようケアする

再評価

⇒トラウマに対する変化や治療の効果を確認

というような段階を経て治療を進めていきます。

 

まとめ+お知らせ

まとめ

当コラムではEMDR法についてお伝えしてきました。EMDRは専門的な訓練を受けた治療者によって行われます。実際に行う際には、専門医の指導のもと行いましょう。

また、安易なトラウマへの対処はかえって悪化させてしまう場合があります。トラウマで苦痛を抱えている場合は、専門の医療機関に相談しましょう。

お知らせ

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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市井雅哉(2012) EMDR-PTSDに効果的な心理療法 心身医学 52(9), 819-827

三島利江子,森茂起(2020) EMDR で用いる「安全な場所」エクササイズに関する研究 -触覚刺激が自律神経に与える影響から手続きを検証する- 甲南大學紀要.文学編 (170), 139-149

緒川和代,松本真理子(2017) 子どもに対するEMDR 適用に関する文献的考察 児童青年精神医学とその近接領域 58(3), 409-423

吉川久史,杉山登志郎,丸山洋子(2014) 解離性障害を持つ児童への自我状態療法とEMDRの併用の効果判定 研究助成論文集 (50), 27-36