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対人恐怖症の克服は自己意識の見直しで

対人恐怖症の原因「公的自己意識」の対処法②

コラム①では、対人恐怖症の特徴や原因、克服法について解説しました。具体的には「①公的自己意識を和らげる」「②べき思考を見直す」「③「あるがまま」に捉える」「④恐怖心を和らげるコツ」の4つが克服方法でしたね。

今回は、対人恐怖症を緩和する方法の1つ目「公的自己意識を和らげる」についてご紹介します。

公的自己意識と対人恐怖

対人恐怖が強い人は、常に周りの評価を気にする傾向にあります。

「馬鹿にされてはいけない」
「他人から変に思われていないか?」
「恥をかいてはいけない!」

このように、周りの評価を気にする特性のことを、公的自己意識といいます。心理学の研究では、対人恐怖と公的自己意識の関係を調べた論文があります。

堀井(2001)は高校生(256名)と大学生(271名)の男女に対して、対人恐怖傾向と公的自己意識に関する調査を行っています。

この論文では、「対人恐怖心性」と「公的自己意識」の関係について、高校生、大学生の群に分けて相関分析を行っています。その結果が下図となります。

対人恐怖症と公的自己意識についての解説

高校生、大学生ともに、対人恐怖傾向が高いと公的自己意識も高いという結果が出ています。図の中にある数字は、相関係数と言われて、関連の強さを表します。.500以上の項目は心理学的に影響は比較的強いと考えます。対人恐怖傾向と「他人の評価が気になる」という心性は関連があることがわかります。

こうした公的自己意識を低くして、対人恐怖傾向を改善していくことにはどうしたらよいでしょうか? 

自己観察で対人恐怖症を軽減

背伸びをしない!2つの対処法

周りの評価が気になって、人と関わるのが怖くなってしまう人は、“今行っていることに注意を集中する”ことが有効です。例えば、会議の場面で上司の顔色をうかがいすぎてしまう時には、発言内容にしっかり注意を向けるなどすることです。

では、公的自己意識を和らげるコツを2つ紹介していきたいと思います。

1:必要以上に自分を良く見せようとしない
公的自己意識が高い人は、どうしても「自分を良く見せよう」とか「相手からよく見られたい」と思ってしまいがちです。そのために、相手からの評価が常に気になり、結果人と接するのが怖くなってしまいます。

相手の評価に左右されないためには、必要以上に自分を良く見せようとしないことが大事です。時には、失敗する姿を相手に見せてもいいですし、うまくいかない自分をさらけ出す勇気も必要です。

“自分を良く見せよう”と常に思っている人は、思い切ってありのままの自分をさらけ出す場面を作ってみましょう!

 2:“見られる意識”から“見る意識”へ切り替え
周りの評価が気になってしまうときは、“他人から見られている”意識から、“自分が見ている”という意識に切り替えることが大事です。見られているという受け身的な立場から、自分が相手を見るという能動的な意識を向けることです。ちょっとわかりづらいですね。

具体的には、

・相手の話をよく聞く
・相手の行動をよく観察する

といったことです。

相手の話をよく聞いたり、行動を観察することで、“自分が見られている”意識から、“自分が見ている”という意識に変わります。そうすることで、相手に意識が集中し、自分が見られているという意識が薄れていきます。

つまり、公的自己意識が薄くなり、人と接することが楽になっていきます。“見られる視点”から“見る視点”へ切り替えて、公的自己意識を和らげていきましょう。

恐怖心をなくして対人恐怖症を軽減しよう

周りを意識しすぎる対人恐怖に対処

いかがでしょうか。公的自己意識の高さと、対人恐怖傾向は統計的にも相関関係が認められています。つまり、自分が評価されていることを強く意識する人は、対人恐怖症ともかかわりが深いことを示しています。

公的自己意識を和らげて、対人恐怖症に対処していくには、必要以上に自分を良く見せようとしないことです。背伸びをせず、ありのままで他者と関わっていくという姿勢が大事になります。

今回は、対人恐怖症との関係が深い、公的自己意識について解説をしていきました。

次回は対人恐怖症を緩和する方法の3つ目「べき思考を見直す」についてご紹介します。

★ 背伸びをせず ありのままで他者と関わってみましょう

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*出典・参考文献
堀井俊章(2001) 青年期における自己意識と対人恐怖心性との関係 山形大学紀要12,4



2つの背伸びをしない方法で対処しよう