>
>
>
対人恐怖症を克服法「森田療法」を解説

対人恐怖症を克服するコツ!あるがまま④

コラム③では、対人恐怖症を緩和する方法の3つ目「べき思考を見直す」についてご紹介しました。無意識に自分を縛りつけないように柔軟な考え方を身に付けるようにしましょう。

今回は対人恐怖症の1つの原因である「行動を避けてしまう」の解決策として「「あるがまま」に捉える」を解説します。

対人恐怖症が強く出てしまう状況に対しては「森田療法」という技法が有効です。具体例や考え方練習問題を交えながら紹介していきます。

森田療法で克服に向かう行動へ

コラム1では森田療法の歴史を学びましたが、今回は森田療法の中でも中心概念である「気分本位」と「目的本位」「あるがまま」という考え方を学びます。

気分本位
「感情の赴くまま行動する。対人恐怖症状が出たら回避する。緊張するから飲み会を断るなど」私たちは日々生きていると、恐怖、不安、心配といった感情に襲われますが、この感情を元に行動を決めていくのを気分本位といいます。

目的本位
「マイナス感情を受け入れながらやるべきことをやる」

目的本位は気分がどうであれ行動することがポイントです。森田療法では、目的本位に重点をおいて行動変容を図っていきます。これの考え方を大人恐怖症に生かして、なかなか行動ができない場面を解消していきましょう。

あるがまま
森田療法は別名あるがまま療法と言われるほど、あるがままに捉えることを重視しています。それでは、あるがままとはどんな状態を意味するのでしょうか?

あるがままと似た言葉に、”ありのまま”があります。2016年に『アナ雪』の主題歌で流行ったあのフレーズです。そのため、誰もがよく知っている身近な言葉だと言えます。言葉通りに考えると気分のままに行動する」「飾り気のない素の状態」という意味を表しています。

では、森田療法で言うところの”あるがまま”の意味とはどのような違いがあるのでしょうか?

あるがままで対人恐怖への恐怖を緩和しよう

「あるがまま」で目的へ

森田療法の”あるがまま”には「気分や症状を現れるままに受け入れ、やるべきことを目的本位に行うこと」を意味します。感情の起伏に従って気分屋になるのではなく、あくまでも目的本位に行動するということです。

”ありのまま”は前途の通り、「気分のままに行動する」という意味合いが強いため、森田療法の”あるがまま”とは真逆の意味になってしまいます。ですから、あるがままの意味をしっかりと抑えておかないと、心構えが全く違うものになってしまうのです。

恐怖は受け入れるもの

・不安を抑えつけると悪化
あるがままの考え方について具体例を使って解説しましょう。例えば、人前でスピーチをするを状況で考えてみます。いざ本番が迫ってくると、「自分は上手いスピーチができるのか」「失言して笑われないか」など、不安や緊張感で頭がいっぱいになります。

そこで、「不安を感じないようにしよう」と考え、沸き起こる感情を強引に抑えようとしてしまいがちです。しかし、森田療法では体の反応や感情を押さえつけない姿勢を大切にします。

・不安はそのままでOk

不安や緊張を強引に抑えようとせず、そのまま受け入れた上で、スピーチで話すことに注意・集中を向け続けることを重視します。これがあるがままという状態なのです。

また、飲み会に苦手意識があって「行きたくないな~」という考えが浮かんでもも、その行きたくない気持ちを押さえつけないようにしましょう。嫌な感情や思考否定すればするほどエスカレートしていきます。そのため気分はどうであれ、とにかく参加してみる!という行動主義を目指すのです。ストイックですね(^^;

あるがままを受け入れる具体的な方法を解説

目的本位-練習問題

それでは、練習問題にチャレンジしてみましょう。以下に対人恐怖が強い場面を挙げますので、ご紹介した方法でそれぞれお答えください。

練習問題
あなたは新しく入った会社で、恐怖心から人とコミュケーションをとることを避けてしまっています。なかなか交友関係が広がらずに友達と呼べる人が、まだ1人もいません。ある日、同じ部署の人たちと飲み会に参加することになりました。交流を深めるチャンスだと思ったのですが、いざ席に座ってみると恐怖と緊張が強く出てきています。この場面の気分本位、目的本位について考えてましょう。

気分本位

 

目的本位
 

 

 

解答例
気分本位
⇒あぁ人が怖い…やっぱり飲み会なんて参加するんじゃなかった。この場から1秒でも早く立ち去りたい。

 

目的本位
⇒まずは「誘っていただいてありがとうございます」と声をかける。普段あまり話したことがないから緊張するのは当たり前、声が震えても、小さくても目的が達成できればOK。

とりあえず行動!対人恐怖に慣れよう

練習問題はいかがでしたか。対人恐怖が強くて行動を回避する癖がある方は、森田療法の目的本位をたまには意識してみてもいいかもしれません。

もちろん、耐えられないような恐怖の場合は回避してもOKですが、「する」「しない」を迷う程度の恐怖心であれば目的本位を大事にしてみてください。

次回は、対人恐怖症を緩和する方法の4つ目「恐怖心を和らげるコツ」を解説していきます。

★対人恐怖症は「行動」で克服できる!とにかく行動を心がけよう

次のコラムへ進むボタンはもう少し下にあります。だけでなく心理の専門家の講義を受けてみたい!という方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。私たちが講義をしている講座となります。

人間関係講座

*出典・参考文献
大野裕(2003)こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳 創元社
自己志向的完全主義の特徴 : 精神的不健康に関する諸特
性との関連から 2009 齋藤, 路子; 今野, 裕之; 沢崎, 達夫
対人社会心理学研究. 9 P.91-P.100



あるがままに捉えよう!