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対人恐怖症の原因「考え方クセ」の修正法

対人恐怖症の正体はあなたの考え方のクセ!⑤

コラム①では、対人恐怖症について概観していきました。今回からは、具体的な対処法についてより深く解説していきます。少しおさらいをしておくと、「①私的自己意識」「②失敗過敏の見直し」「③ほっとする思考」「④スモールステップで慣れる」「⑤あるがまま森田療法」「⑥会話力をつける」の6つの対処法がありました。

今回は、「②失敗過敏の見直し」についてより深く解説していきます。

自分ルールが恐怖心を強めている

対人恐怖が膨らむ消極的完璧主義

皆さんは、失敗してはいけない、〇〇すべきだといった考え方を持っていますか?もちろん人間ですので、誰しも1回はこうした思考を持ったことがあるでしょう。齋藤(2009)は、大学生474名に対して、完璧主義と心理的な影響について調査を行いました。その結果、消極的完璧主義(失敗過敏に近い概念)のある方は
「集団にとけこめない」
「人間関係の当惑」
があることがわかりました。これに対して、積極的完璧主義(高目標設定)を持つ方は、これらの傾向はなく、特に顕著な差として「幸福感」が高いことがわかりました。

もう少し詳しく解説するとそれぞれ

・「消極的‐完璧主義」
 絶対に嫌われてはならない
 人前で緊張してはいけない
 絶対にミスをしてはいけない

・「積極的‐完璧主義」
 会話を弾ませよう!  
 友人と仲良くありたい
 相手を褒めるぞ!

というイメージになります。前者はミスをなくす、という消極的な完全主義でネガティブな方向に向いています。逆に積極的な完全主義はプラスに目が向いていますね。

上記の図の数字は相関係数と呼ばれるものです。簡単に説明すると、AとBはどれぐらい関連しているかという数字で、心理学的には0.4~0.6の数値はある程度関連していると解釈していきます。対人恐怖が強い方は消極的な完璧主義である「ミスをしてはならない」「悪いイメージを与えてはならない」とべき思考になるあまり、対人恐怖が増幅されているのかもしれません。

メンタルヘルス的には、積極的完全主義は行きすぎない程度であれば、メリットが大きく、逆に消極的完全主義はネガティブな影響が大きいと言われています。

 

恐怖心を緩和しよう

意味を変えずにポジティブに表現する

繰り返しになりますが、必要以上に回避しようとする完璧主義の特徴は、
「絶対に○○はいけない」
「〜してはいけない」
「〜したら終わりだ」
という思考を持ってしまうことです。思わず力んで入ってしまうようなフレーズで、気持ちも前向きになりづらいですよね。このように対人恐怖という気持ちの原因にもなってしまう完璧主義ですが、必ずしも悪いことばかりではなく、完璧主義がプラスの働きをしてくれることがあります。それは

「〇〇するぞ!」

と考える完璧主義です。

例えば、サッカーの試合1-0でリードしている場合に、「失点は許されない」「絶対に守り切らなければ」と思うのが消極的完璧主義です。こうした状態では、かえって失敗に目がいき、ミスをしやすくなります。ここで、 

「1つ1つのプレーに集中して守り抜こう!」と考えるのです。失敗してはいけない・・・という気持ちを「意味を変えずにポジティブに表現する」します。

対人恐怖の場面で考えると、「話しかけて悪い印象を持たれなくない(=だから話しかけない)」と考えるのが消極的完璧主義です。これに対して、「他にないチャンスだからどんどん話しかけよう!」と思うのが積極的完璧主義です。

練習問題にチャレンジ

まずは、練習からはじめていきましょう。

問題1 以下の消極的完璧主義の言葉を、積極的完璧主義に置き換えてみましょう。

「意見をちゃんと言わなければならない」
⇒積極的完璧主義に変換すると…
「                 」

「相手に嫌われたら終わりだ」
⇒積極的完璧主義に変換すると…
「                 」

解答例

「意見をちゃんと言わなければならない」
⇒積極的完璧主義に変換
意見をちゃんと伝えるぞ! 

「相手に嫌われたら終わりだ」
⇒積極的完璧主義に変換
嫌われないように仲良くするぞ!  」

問題2 あなた自身の対人恐怖の悩みをイメージして、以下のステップを実践してみてください。

①対人場面で「~べき、~ねばならない」と思っていることを挙げてください。

②意味を変えずにポジティブな表現に変えてみましょう

 

考えてみてくださいね。

 

解答例
①自己紹介で恥をかいてはいけない(べき思考の発見)
②一言一言に集中しよう(意味を変えずにポジティブに修正)

失敗の過敏改善で対人恐怖を克服!

対人恐怖が強いと、消極的な完璧主義に陥っていることがあります。「うまくやらなければならない…」と失敗に過敏になり、ますます人と関わることが怖くなってしまいます。

そんな時は、積極的な完璧主義に言葉を切り替えていきましょう。今回やってきたように、積極的な言葉に切り替えていくと、恐怖感が和らぐ効果があります。少しずつ試してみてくださいね。

次回は、対人恐怖症を和らげる「ほっとする思考あ」について解説します。

★積極的な言葉に切り替えて対人恐怖症を緩和しよう

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目次

①対人恐怖症-概観
②対人恐怖症の原因
③簡易診断でチェック
④公的自己意識を和らげる
⑤認知の歪みを修正しよう
⑥「ほっとする思考」
⑦「スモールステップ」
⑧「森田療法」とは
⑨会話力UP「SST」とは

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
J.G.Allen&P.Fonagy(2011)メンタライゼーション・バンドブック MBTの基礎と臨床 岩崎学術出版社
崔炯仁(2016) メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服 -<心を見わたす心〉と〈自他境界の感覚〉をはぐくむアプローチ- 星和書店