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不安神経症には認知行動療法が効果的

不安神経症には認知行動療法が効果的②

コラム①では、不安神経症の症状や問題、引き起こされる原因をご紹介しました。原因は「①破局的にとらえる」「②不安のあまり一歩踏み出せない」「③緊張が強い」3つでしたね。

今回は原因の1つ「破局的にとらえる」を解決するためのコラムです。物事を破局的にとらえてしまう方には、認知行動療法の「尺度活用法(B. Curwenら(2000))」が効果的です。不安神経症に対処するための3つのステップ・例題を交えながらご紹介していきます。

不安神経症に効果あり!認知行動療法とは?

認知行動療法の尺度活用法とは、破局的な考えから現実的な考えに立ち戻るための方法です。冷静に考えてみれば、それほど不安に感じることではないのに、あまりにも悲観的にとらえすぎている時に用います。

そうした破局的なとらえ方をしている時、人は“白か黒か”、“0か100か”の極端な考え方に陥っているものです。今置かれている状況を現実的にとらえなおすことは、落ち着きを取り戻すためにも必要です。

尺度活用法は、実は認知行動療法の技法の中でもやや特殊な技法です。一般的には、認知の偏りを修正するための認知再構成法などが用いられます。それでも、どうしても破局的にとらえてしまう場合には、尺度活用法を試してみるとよいでしょう。

認知行動療法で不安神経症を緩和

不安神経症には認知行動療法が鉄則

ここで、各診療所・クリニックがどのくらい認知行動療法を実施しているかを調べた、全国調査の結果を見てみましょう。高橋ら(2018)は、質問紙調査を行い、回答が得られた1019施設について分析しました。

▼結果の一部が下の図になります。

各精神疾患に対する認知行動療法の実施状況この図は、精神疾患ごとにどのくらいの頻度で認知行動療法を用いているかを尋ねた結果です。“よく実施する”“たまに実施する” の2つ回答を合計し割合が大きい順の上位4つを挙げてあります。

もっともよく用いられているのがうつ病で、次いで社交不安症、そのあとにパニック症、全般不安症が続いています。

このように日本の精神科で、不安神経症の治療に認知行動療法が用いられている頻度が高いことがうかがえます。

3ステップで尺度活用法を実践!

ここからは、認知行動療法の尺度活用法の具体的な方法をお伝えします。

はじめに注意事項があります。
尺度活用法は、“よく考えればちょっとしたことなのに、極度の不安に陥ってしまう”という不安神経症の症状に対して用いてください。大事な人との離別などの個人的な出来事には応用できません。この点に注意して行ってください。

STEP1:尺度と今の状況を書く
まず1から100までの尺度を書きます。コピー用紙やホワイトボードに、下のような図を簡単に書いてください。

尺度活用法のSTEP1

そして、今不安に思っている状況がどのくらいひどいのかを書き表します。

・1は全くひどくない状況
・100に近づくほどひどい状況
であることを表すものとします。

STEP2:もっとひどいことを想像する
今よりひどいことを挙げて、尺度に書き加えてください。“今の仕事を解雇されたら?”“大切な人と離れ離れになったら?”などが例です。

STEP3:今の状況を再評価する
STEP1で書き表した状況を、もう一度評価し直します。

 

尺度活用法で破局的な考え方を修正する3つのSTEPがイメージできましたか。まずは事例で尺度活用法を確認していきましょう。

例題で3ステップを試そう

<例題>
カヨコさんは、心配性なところがあり、何かにつけ破局的にとらえるところがあります。今も、職場で自己紹介の順番が回ってくるところですが、“どうせうまくいかない”“恥をさらしてしまう”と悪い状態ばかりを想像しています。

STEP1:尺度と今の状況を書く
カヨコさんは、人前で話をすることがとっても嫌いなので自己紹介をしなければいけない状況を評定しました。

・自己紹介しなければならない→99

STEP2:もっとひどいことを想像する
自己紹介よりも、もっとひどいことを想像してSTEP1の尺度に書き加えます。

尺度活用法の事例STEP1

カヨコさんの場合は、
・今の仕事を解雇される→99.5
・家族を離れ離れになる→100
と評定しました。

STEP3:今状況を再評価する
ここで、STEP1での評定が本当に妥当だったかを再評価してみます。

尺度活用法の事例STEP3

カヨコさんの場合、今の仕事を解雇されるが99.5で、家族と離れ離れになるが100、と考えると、自己紹介をしなければいけない状況はもう少し低く評定してもいいかもしれないと考えました。そして、99の評定を消して、60と評定しなおしました。

・自己紹介しなければならない
99→60

こうして考え直してみると、自己紹介はそこまでひどい状況ではない、と冷静になることができました。

3つの手順で不安神経症の症状に対処

尺度活用法で冷静になる

尺度活用法はいかがでしたか。尺度活用法は、破局的になりがちな不安神経症の人のとらえ方からいったん冷静になれる方法です。

ご紹介した3つのステップを踏むことで、今置かれている状況はそこまでひどくないのかもしれない、ととらえなおすことができるでしょう。

次のコラムでは、不安神経症に対処するための方法の2つ目「エクスポージャー法で不安に慣れる」について解説します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★不安神経症には認知行動療法を!破局的な捉え方を冷静に見直そう

次のコラムへ進むボタンはもう少し下にあります。コラムだけでなく、実際に心理の専門家の講義を受けてみたい!という方は心理学講座、実践練習をしたい!という方は社会人講座をお勧めしています。私たちが講義をしている講座となります。それでは次のコラムへ進みましょう!

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
Curwen, S. Palmer, P. Ruddell (2000) Bried Cognitive Behaviour Therapy; 下山晴彦監訳 臨床心理学レクチャー 認知行動療法入門 短期療法の観点から. 金剛出版. 2004年.
高橋史・武川清香・奥村泰之・鈴木伸一(2018)日本の精神科診療所における認知行動療法の提供体制に関する実態調査. http://ftakalab.jp/wordpress/wp-content/uploads/2011/08/%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E6%88%90%E6%9E%9C%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%EF%BC%88%E5%85%A8%E6%96%87%EF%BC%89.pdf