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不安神経症でもで踏み出そう

不安神経症の強い不安状況でも踏み出そう③

コラム①では、不安神経症の症状や問題、引き起こされる原因をご紹介しました。具体的な解決策としては、「①認知行動療法」「②エクスポージャー」「③リラクセーションで緩和」「④あるがまま森田療法」の4つでしたね。

今回は「②エクスポージャー」についてご紹介していきます。不安が強すぎるあまり、苦手な人や場所を避けていると、余計に苦手意識が強くなってしまいます。できれば、不安な状況であっても一歩前に踏み出すことが大切です、エクスポージャー法で不安に慣れていきましょう。

不安神経症に対処するための3つのステップを、例題を交えながらご紹介していきます。

不安神経症に効果的!

エクスポージャーの定義

エクスポージャー法とは、認知行動療法の治療で用いられる方法のひとつです。別名「曝露療法(ばくろりょうほう)」と呼ばれており、心理学辞典(1999)では以下のように定義されています。

「広義では、不安などの不適応反応を惹起する刺激に患者が身をさらすことであり、系統的脱感作法やフラディングなどの治療法の構成要素としての意味で用いられる。狭義では、慣れ、あるいは消去による恐怖反応の減少を目的として、恐怖反応が生じなくなるまで不安惹起刺激に患者が長時間身をさらす治療法のことをさす」

少し難解な定義ですが、段階的に少しずつ、不安が喚起される場面に身さらすことで、不安症状を緩和していく心理療法になります。

不安神経症の治療にも活用

具体的には、まず不安症状の克服に関わる具体的な目標を決めます。その目標に向かって、小さな段階で課題を設定し、だんだんと目標に近づいていくのです。

坂野(2013)は、不安障害に対する認知行動療法についての講演の冒頭で、「認知行動療法とエクスポージャーが不安障害の治療法として推奨されている」と述べています。

不安神経症 原因

薬よりも効く?

ここで、エクスポージャー法を用いた効果研究を見てみましょう。Marksら(1993)は、ロンドンとトロントのパニック障害患者を対象にして、実験を行いました。

この研究では、被験者を「抗不安薬群」「エクスポージャー群」などに分けて、

①0~8週間
②0~23週間

この2つの期間の回避得点と恐怖得点を比べました。結果は以下の通りです。

0~8週間の結果

まずは、0~8週間の治療の結果を見てみましょう。

マイナス思考を軽減

この表の中に〇が記入されているということは、その治療法に効果があったと考えられます。0~8週では、薬およびエクスポージャーともに、恐怖得点と回避得点を改善していますね。

0~23週間の結果

続いて、0~23週間の治療の結果を見てみましょう。

このように、0~23週の結果は、薬にはあまり効果が見られなくなっているのがわかりますが(空欄になっています)、一方で、エクスポージャー法には改善効果があることが示されています。

この研究が示しているように、エクスポージャー法には、抗不安薬と同等かそれ以上の改善効果があると期待できるのです。それでは、不安神経症に効果があるエクスポージャー法の具体的な手順を見ていきましょう。

3ステップで実践!

ここからは、エクスポージャー法の具体的な方法をお伝えします。今回は不安神経症の例として、「乗り物恐怖症」での事例をご紹介します。

手順1:不安階層表をつくる①

エクスポージャー法を行うにあたっては、まず不安階層表を作ります。

これは、自分がどのような状況にどの程度の不安を感じるのかを数値化し、表にしたものです。はじめに、治したいと思っている不安な状況を100、全く不安に感じない状況を0、として、表に書き表します。

▼乗り物恐怖症の例

不安を和らげよう

手順2:不安階層表をつくる②

100と0の間にある、さまざまな不安も表に書きだします。飛行機で北海道に行くことが不安度「100」ですので、これを基準に逆算して考えていきましょう。

▼乗り物恐怖症の例

不安 改善

手順3:段階的に実行していこう

不安階層表に従って、中程度の不安を感じる状況から始め、だんだんと不安になれていきましょう。例で言うと、「地下鉄に3駅乗る」ことから始めていきます。無理をせず、ひとつの課題を何回も繰り返しましょう。

▼乗り物恐怖症の例

不安神経症 克服

実行する時の注意点としては、「不安を感じないこと」を意識しないことです。不安神経症を克服しようとする時、どうしても不安をゼロにしようと考えがちです。しかし、不安は人間の自然な感情なため、苦手意識のある場面に遭遇した時に少なからず生じるものです。

そこで、

・不安を感じつつも行動できる
・時間が経過すれば不安が減る

という体験を大切にしましょう。

課題がクリアできたら自分を褒め、ひとつ達成できたら、さらに上の課題にチャレンジしていきます。こうして段階を踏みながら、少しずつ、目標へと接近していきます。

3つのステップで実践するエクスポージャー法

不安神経症を克服しよう

エクスポージャー法はいかがでしたか。エクスポージャー法は、不安のあまり一歩前に踏み出せない方におすすめの解決策です。

不安に感じる事柄でも、少しずつ段階を上げていきながら、目標の行動に到達することができます。

次回は、不安神経症に対処するための方法の3つ目「リラクゼーションで緩和」について解説します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★不安神経症の症状があっても回避はNG!一歩ずつ前に進もう

次のコラムへ進むボタンはもう少し下にあります。コラムだけでなく、実際に心理の専門家の講義を受けてみたい!という方は心理学講座、実践練習をしたい!という方は社会人講座をお勧めしています。私たちが講義をしている講座となります。それでは次のコラムへ進みましょう!

心理学講座

目次

①不安神経症-概観
②認知行動療法とは
③「エクスポージャー法」
④「漸進的筋弛緩法」で緊張⇩
⑤「あるがまま森田療法」

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
I.M. Marks, R. P. Swinson, et al. (1993) Alprazolam and Exposure Alone and Combined in Panic Disorder with Agoraphobia- A Controlled Study in London and Toronto. British Journal of Psychiatry, 162, 776-787.
坂野 雄二(2013)第108回日本精神神経学会学術総会 教育講演 不安障害に対する認知行動療法―エクスポージャー法をどのように導入するか、そのコツを探る―. 日本精神神経学会誌, 115(4), 421-428.