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不安神経症に効果あり「漸進的筋弛緩法」

不安神経症に効果あり「漸進的筋弛緩法」④

コラム③では、不安神経症になる原因の2つ目「不安のあまり一歩踏み出せない」の対処法として、エクスポージャー法をご紹介しました。不安な状況でも一歩踏み出せるよう、取り入れてみてくださいね。

今回は不安神経症になる原因の3つ目「緊張が強い」を解決するためのコラムです。緊張しやすい方には、心身の緊張を緩めるための方法、リラクセーションが有効です。不安神経症に対処するための3つのステップをご紹介していきます。

リラクセーションとは?

リラクセーションとは、認知行動療法の治療で用いられる方法のひとつで、心身のリラックス状態を導くために使われます。

リラックス状態とは、緊張も弛緩もしていない、ちょうどいい状態のことを指します。不安神経症で緊張が強い方は、日々の生活にリラクセーションを取り入れるとよいでしょう。

リラクセーションには、呼吸法や自律訓練法などの種類がありますが本コラムでは、漸進的筋弛緩法をご紹介します。

リラクセーションだけでも効果がある?

ここで、リラクセーションの効果を確かめた研究を見てみましょう。

Norton(2012)は、18歳以上の何らかの不安障害をもつ人々87名を対象に、面接調査や質問紙調査を行いました。そのうち、65名には認知行動療法を施し、残りの22名にはリラクセーションを施しました。

▼12週間後の治療成績を一部改変したのがこちらの表です。

12週後のベック不安調査表の平均得点

この図は、治療後のベック不安調査表の得点を見たものです。

リラクセーションを行ったグループも認知行動療法を行ったグループも同じような得点になっています。統計学的には、グループ間に有意差はありませんでした。

つまり、リラクセーションと認知行動療法にはほぼ同等の効果があったということです。

この研究から、リラクセーションは、認知行動療法にも劣らないほどの不安障害・不安神経症への治療効果を持っていることが分かります。

不安・緊張にリラクセーションが有効

ここで、不安神経症のために緊張が強かったものの、リラクセーションが効いた例をご紹介します。以前、カウンセリングでお会いしていたカズオさんは、20代の男性です。

ある日突然、満員電車に乗っている時に、次のような経験をしました。

・心臓がどきどきする
・やたらと汗をかく
・呼吸が荒くなる

そしてその後は込み合った電車に乗るたびに、上記の症状が現れるようになりました。

インターネットで調べたところ、パニック障害や広場恐怖ではないかと思い当たり、クリニックを受診しました。医師からは薬が処方され、同時にリラクセーションも試すことになりました。

緊張による不安神経症をリラクゼーションで緩和リラクセーションのセッションでは、漸進的筋弛緩法をやってみることにしました。カズオさんは、漸進的筋弛緩法を一部、電車の中で立ちながら行うことで、症状がいくらかましになることに気付きました。

そしてカズオさんは、漸進的筋弛緩法を繰り返すうち次のような体験をし、リラクセーションのセッションを終えました。

・漸進的筋弛緩法を行えば、
 不安・緊張があっても和らぐ
不安・緊張は自己コントロールできる
・混んだ電車は苦手だが、我慢できる

このように、不安神経症の方の強い緊張もリラクセーションで緩和することができるのです。

実践!不安神経症を改善しよう

ここからは、漸進的筋弛緩法の具体的なやり方をお伝えします。

漸進的という言葉には、順を追って段々と目的に到達する、という意味があります。筋肉のある部位にわざと力を入れてから、ふっと力を抜きます。これをいくつかの体の部位に行っていき、少しずつ筋肉の力を緩め、緊張をほぐしていきます。

ここでは、漸進的筋弛緩法の簡易法(富岡, 2017)を一部ご紹介します。ポイントは2つあります。

・力を入れてから抜く
・力を入れる時は100%ではなく60~70%にする

では漸進的筋弛緩法の簡易法の手順を、実際に見ていきましょう。次の①~③の部位を動かしてくださいね。

①手と腕
両手を握り、腕を曲げます。
→10秒力を入れて10秒力を抜きます。

②肩
左右の方を上に持ち上げ、耳にくっつけるようにします。
→10秒力を入れて10秒力を抜きます。

③顔
目を固く閉じ、目と鼻を近づけるようにし、口はひょっとこのようにとがらせます。
→10秒力を入れて10秒力を抜きます。

以上の動きを各2回ずつ行います。

なお漸進的筋弛緩法を行っていて、もしも緊張がさらに強まるようなことがあれば、直ちに中止してください。

不安神経症の緊張を緩和する方法を解説

強い緊張にはリラクセーションを!

漸進的筋弛緩法は、不安神経症の方の強い緊張をほぐすのにおすすめの解決策です。体の部位に力を入れてから抜く作業を順次行っていくことで、緊張が和らぎます。

事例で取り上げたように、こぶしだけ、肩だけ、と部位を選べば、電車の中などでも実践することができます。ぜひ実践してみてくださいね。

次回は、不安神経症コラムのまとめをします。これまでご紹介してきた内容を一緒に確認していきましょう。

★不安神経症に効果あり!漸進的筋弛緩法で緊張をほぐそう

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*出典・引用文献
Norton, P. (2012) Randomized Clinical Trial of Transdiagnostic CBT for Anxiety Disorder by Comparison to Relaxation Training. Behavioral Therapy, 43(3), 506–517.
富岡光直(2017)2016年 第57 回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(仙台)心身医学講習会:専門医のための心身医学講座 リラクセーション法. 心身医学, 57(10), 1025-1031.