>
>
>
元気がないを克服する「身体面からのアプローチ」⑤

元気がないを克服する「身体面からのアプローチ」⑤

コラム④では、元気がない原因に対処する、「ソーシャルサポート」をご紹介しました。周囲のサポートを受けながら、気分を安定させてみてくださいね。今回は、元気が出ないに対処する4つ目の方法「体調から気分を改善」について考えていきます。

元気がない時は、体がだるいと感じることはありませんか?仕事や勉強、運動することが身が入らないと感じることも多いでしょう。実は、心と体の状態は密接に関連しているのです。元気が出ない状態に対処するためには、心と体の連動を理解しておくことも大切です。

感情は体の変化から「ジェームズ=ランゲ説」

心と身体の結びつきにはいくつかの説があります。その中でも、ジェームズ=ランゲ説は「身体の変化が感情を引き起こす」という説です。呼吸が浅くなったり、お腹が減ったりなど、身体の反応が起きた結果、元気がない状態になるメカニズムです。

簡単に言うと、“体がなまっているから元気がない状態になるのだ”ということなります。ジェームズ=ランゲ説は少し極端な理論だと感じる方もいるかもしれません。

しかし、体と心はつながっているので、私は参考になると考えています。もう少しわかりやすく説明しますと、

「体が軽い、栄養バランスの良い食事、十分な睡眠」
          ⇕
「体がだるい、ポテトチップスばかり食べている、眠れない」

どちらが悲しい気持ちになりそうでしょうか。おそらく後者の方がマイナスに感じるでしょう。体と心はつながっていますので、気持ちの部分だけでなく、体調の面からのアプローチも十分効果的だと考えられるでしょう。

*自殺の原因

自殺の理由の1位は「健康問題」であることがわかっています。その中でも、うつ病以外の理由で自殺する人の方が多く、体調の不調は自殺率の理由の1位と言える状況になっています。健康状態が悪いことで生きる気力も失ってしまっていると言えるでしょう。

図表2-3-6  自殺の原因・動機の割合

ホメオスタシスと元気がない

体の変化が元気が出ないの原因につながる例は他にもあります。私たちが活動するために身体の神経伝達物質などが連携を取り合ってバランスを保ち、神経やホルモンへ指令を送っています。これは睡眠時も同じで、身体の中でこうした連携しているからこそ、体を休めることができ活動するためのエネルギーを蓄えることができるのです。

このように身体のバランスを一定に保つ働きを「ホメオスタシス」と呼びます。身体のバランスが崩れてしまうと、身体が自由に動かなくなった、元気が出ない状態になることがあります。その他にもめまいや頭痛、情緒不安定といった症状も確認されることがあります。

もし神経やホルモン、神経伝達物質の乱れからそのような症状が見られる場合、「起立性調節性障害」や「慢性疲労症候群」などに診断されることがあります。つまり、悲しい気持ちから抜け出すには、体調面からの改善が欠かせないのです。

以下、体の面から元気が出ない状態に改善する3つの基本的な方針をお伝えします。

①元気がない対策 十分な睡眠

体調面の改善でもっとも大切なのは、「十分な睡眠を取る」ということです。分かっていても、なかなか実現できませんよね。起床と睡眠の時間を毎日きっちり守ることは、規則正しい生活を送るを上で理想的ですが、仕事の都合などがあると難しいかもしれません。そんな方は、少しでも「睡眠時間を確保」できるようにしましょう。

睡眠時にはやる気や活力と関係が深い脳内物質である「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」などが含まれています。そのため、睡眠時間が短かったり不規則な睡眠によって、3つの脳内物質があまり分泌されないと、日中元気が出ない状態になるというメカニズムが完成してしまいます。

十分な睡眠時間を確保する事は、翌日の気分の安定につながり、大変効果があり気分が元気が出ない状態を改善してくれるのです。

②元気がない対策 朝日を浴びる

十分な睡眠な取ろうと思って布団に入っても、寝つきが悪いという人もいるかと思います。こうした場合、スッと入眠するおすすめの方法として「朝日を浴びる」をオススメします。

コラム①でも解説しましたが、厚生労働省(2008)が各都道府県のうつ病患者数を調べています。以下の図は、偏差値が赤いほど患者数が多く、青いほど患者数が少ない事を表しています。少し眺めてみてください。

 

うつ病患者数 [ 2008年第一位 北海道 ]の都道府県別ランキング

上図の通り、一番うつ病の患者数がもっとも多いの北海道であることが分かります。北海道では、雪が多いため日射量が少なく、十分に日光を浴びることができないこと原因と考えられています。

睡眠ホルモンの代表格として、「メラトニン」という物質があります。これは年齢が上がるにつれて低下していきます。しかし、日中の太陽光を浴びることで、夜のメラトニンの分泌量が増えて、スムーズに眠りに落ちることができるのです。

また、メラトニンは日が落ちて暗くなると分泌量が上がり、日が昇って明るくなると抑えられるという性質があります。そのため、朝日を浴びると、スッキリと目覚めることができ体内時計も整います。

③元気がない対策 軽い運動

元気がない時は「運動することもおっくうだ」と思うでしょう。しかし、そんな時こそ、逆に身体を動かすことで活力が上がっていきます。体を少し動かすだけでも、心拍数が上がり、脳に新鮮な酸素を送られます。その結果、モチベーションも増して気分ものってくるのです。

運動と抑うつの関係について、あるIT企業の社員を調査した研究があります。甲斐(2011)は、IT 関連企業 の従業員2952名に対して、運動量の違いによって、1年後の抑うつ傾向を調査しました。

下記の図を見てください。余暇時間に運動をする時間が1週間当たり「0分」の人たちを基準として、1週間に運動する時間が「135分未満の人たちと135分以上運動する人たち」とを比較しました。

やる気がでない 原因

その結果、135分以上運動している人たちに比べて、135分未満の人たちはうつ病になる傾向が2倍以上だということが判明しました。

この研究から運動習慣を作ることで、抑うつのリスクを減らすことができると考えられます。週に2時間以上、というときつそうに感じるかもしれませんが、運動量の多さが感情の安定にもプラスの効果をもたらすのです。

街を歩く、近くの公園を散歩する、体操をする、ヨガに行くなど、なんでも良いので少しだけでも身体を動かす習慣を身につけましょう。単純に運動をするだけでも、意外に活力がみなぎってくると感じるでしょう。

規則正しい生活で「元気がない」を改善

体調の面から元気が出ない原因を克服する方法をご紹介しました。いかがでしたか。規則正しい生活が送れていないな…体調もよくないかも…など感じる方は日常生活で少しづつ意識してみてください。

明日からガラリと生活リズム整えるのは難しいかもしれませんが、まずは「起きる時間を決める」「朝日を浴びることを意識する」など、できることからスタートして悲しい気持ちの原因「体の不調」を改善していきましょう。

次回はコラムのまとめとして、これまで解説してきた元気が出ない原因や解決策についてご紹介します。

★元気が出ない時は睡眠・朝日・運動を意識してみよう!

次のコラムへ進むボタンはもう少し下にあります。コラムだけでなく心理の専門家の講義を受けてみたい!という方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。私たちが講義をしている講座となります。

コメント

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

*出典・参考文献
・厚生労働省 患者調査 2008年
・甲斐 裕子 永松 俊哉 山口 幸生  徳島 了 (2011)余暇身体活動および通勤時の歩行が勤労者の抑うつに及ぼす影響. 体力研究, 109, 1-8.