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劣等感を強さに変える心の防衛機制「昇華」とは

劣等感を強さに変える心の防衛機制「昇華」とは④

コラム③では、劣等感を強める原因の1つ「リフレーム」の対処法をご紹介しました。劣等感が強い人はリフレ―ミング技法で、悪循環を断ち切るきかっけにしてくださいね。今回は、「自分の人生の糧にする」方法について解説していきます。

昇華は高度な防衛機制

防衛機制とは現実から目をそむけたくなるような体験や状況を経験したときに、不安を和らげようとする無意識の心理的な働きのことを言います。防衛機制には多くバリュエーションがありますが、その一つに「昇華」という防衛機制があります。 

・劣等感は自分を助ける
劣等感を最初に発見したアドラーは、劣等感を前向きに捉えていたようでした。なぜなら劣等感は、行動する上でのモチベーションに繋がるからです。例えば、前回のコラムで身長変えることができない。だから、受け入れることも大事だと言うことをお伝えしました。しかし、身長が低いことで、それ自体を克服できないけれど、別の部分で成功して自分なりに社会的に認められるよう!と言うモチベーションになるからです。

昇華とは、このようにネガティブな気持ちを前向きに活用し、社会のためになるような自己実現の活力に変えてしまうことを意味します。

例えば以下のような事例が挙げられます。
・自分だけ上司に怒られた⇒劣等感をバネにミスしない努力をする
・元引きこもりニート  ⇒その経験を生かしてサポート活動
・彼女が全くできない  ⇒女の子と話す機会を増やす

こうした昇華は防衛機制の中でも高次な防衛機制とされています。

防衛機制には、Vaillantの分類によると、レベル1からレベル4まであるとされています。下記の図のように「昇華」はレベル4の「成熟した防衛」に分類されます。こうした高度な防衛機制である昇華に上手く活用していくと、視点が未来に向いたポジティブな力に変えることができるのです。劣等感は昇華して将来のエネルギーに変換すると効果的です。

劣等感

一方で、劣等感を認めないことは、低次な防衛機制のレベルにあり、ものごとを良い/悪いの2つに分裂させて考えてしまいます。そして、良いことだけに目を向けるようにし、悪いことはできるだけ意識の中から排除しようとします。しかし、悪いことは完全には消去されず、無意識の中に留まりつづけます。一時的には気持ちよくなっても、雪だるま式に心の奥底に溜まっていき、いずれ健康に害が出るなどの形で表出されるのです。

 

後悔を前向きにとらえた事例

劣等感は「昇華」で自分の力にしよう

ここでヨシオさんの事例をご紹介しましょう。

ヨシオさんは、大学受験で第一志望校に落ちてしまい、それがきっかけでひどい劣等感に襲われていました。友人は全員、第一志望で合格しているのに自分だけ受からなかったと落ち込んでしまっています。食欲もなく、涙が止まりませんでした。その姿をみて親御さんの勧めで、カウンセリングを受け、ヨシオさんを「昇華」させるを試みを行いました。

まず
「突然ですが、その劣等感を糧にした場合
 今から1年後はどうなっていそうですか?」
と質問しました。

すると、ヨシオさんは
「えっ、悔しいから勉強している」
と答えました。

次に
「じゃあ、その
 5年後はどうなっていますか?」

と質問したところ、

「大学生活を送っている。勉強したぶんもっと良い大学に入れるかも」

とポジティブに答えました。ヨシオさんのように、劣等感が強い状態であっても、昇華を用いることで未来志向の考え方に変換することができます。では、実際にどのような手順で未来イメージ技法を行うのかを見ていきましょう!

後悔しない・しにくくなる方法の練習問題

昇華で劣等感を力に変える3ステップ

ここで嫌な体験を力に変える昇華の手順をご紹介します。ひとりで実践する場合には、自分の考えを紙に書きます。どんなものでも構いませんので、書くものを用意しましょう。

①劣等感の内容を書き出す
何に劣等感を感じているか短い文章でメモに書きます。

例:
⇒「自分は同僚にくらべて仕事が遅い」

②前向きな行動に変えるには
1年後の自分はどんなことしていそうかイメージを浮かべましょう。それを、単語でも文章でもOKなので、紙に書いていきましょう。

例:
⇒「仕事が遅い分誰よりも丁寧にこなそう。スピードは後からついてくる」

③社会的に正しいことか
最後に、5年後の自分は何に取り組んでいるかイメージしてみましょう。先のことすぎてハッキリと浮かばない場合には無理をしなくても構いません。

例:
⇒「ミスが少なくなるので、同僚や上司、取引先からの信頼が増え、社会貢献につながる」

今、劣等感を感じていることがあったとしても、「原動力にする」という意識を持っていただければ、1年後、5年後は全く別の未来が想像できることが分かります。現在、深刻に考えていることは将来的には、それほど大きな問題にはなっていないことが多いのです。

昇華を実践して失敗をエネルギーにしよう

ご紹介したステップを踏まえながら、「昇華」を実践してみましょう。紙とペンを準備して、以下の質問に解答してみてください。

①劣等感の内容を書き出す

②前向きな行動に変えるには

③社会的に正しいことか

 

劣等感で将来を前向きに

「昇華」の技法はいかがでしたか。この技法では、いま劣等感を抱いていることに注目しすぎないで、未来に焦点を当てることが大切です。すると、現状が辛いからこそ将来がよりよくなっているだろうと思えるものです。劣等感は「努力の原動力」という解釈をして、前向きな力に変えていきましょう。

次回は、劣等感の解決策の3つ目「自分のアイデンティティを確立する」についてご紹介します。

★劣等感を素直に受け入れて昇華しよう!大切な努力の原動力です。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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