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劣等感が強い人はアイデンティティを持とう

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劣等感が強い人はアイデンティティを持とう④

コラム③では、「劣っているところばかり目を向けてしまう」の対処法をご紹介しました。劣等感が強い人はリフレ―ミング技法で見方を広げて、悪循環を断ち切るきかっけにしてくださいね。

ここで劣等感を強めてしまう原因をもう一度整理しましょう。原因は「①べき思考で自分を追い詰めている」「②劣っているところばかり目を向けてしまう」「③自身のアイデンティティを持てない」がありました。

今回は原因の3つ目「自身のアイデンティティを持てない」について考えていきます。

劣等感が強い人はアイデンティティの確立を

中学生以降の思春期〜青年期の20歳前後に人は大人として自分が成長する過程で精神的に自立することが求められます。

「自分と人とは違う人間だ」と気づきそれを受け入れ、「自分とはどんな人間なのだろう?」と自分らしさである自己や自我を見つけていきます。そして、「これこそが本当の自分だ」という自分を発見し自我を定めること「自我同一性(アイデンティティ)の確立」呼びます。

アイデンティティを確立するまでの間は、 人間関係や他人に対して一喜一憂したり、また、人間関係を壊さないよう無理をしたり、逆に全く付き合わないなど、極端な行動をとることがあります。

そのため精神的な病気になったり一時的にそのような症状が出ることもありあます。無気力の状態もアイデンティティの確立の際の一過的な状態である可能性も考えられています。

アイデンティティは、青年期だけの問題ではなく、その後の就職や結婚、家族などその後の人生に大きく影響します。主観的にも客観的にも自分自身を理解することが求められます。昨今では青年期の問題は職業世代(20 歳〜40 歳位前後)にまで及ぶとも考えられています。

アイデンティティが確立できないと、さまざまなライフイベントでつまづいたり、精神的な病気の症状が表れることもあります。気になる場合には心理カウンセリングなどの専門的な支援を受けてみましょう。

アイデンティティは心の土台ですから、劣等感の克服はもちろんコンプレックスにも陥らなくなります。心の土台づくりのコツを理解して、劣等感の克服を目指しましょう!

劣等感が強い人は必見!確立のコツ!

アイデンティティを確立するには、「自分とは何者なのか」を理解する必要があります。自分の過去や現在、そしてこれからの未来について自分自身で考え、自分自身に直面する必要があります。

少し難しく書いてしまいましたが、今まで自分がどのように成長してきたか、どのような価値観をつくってきたか自分の歴史を物語として振り返ってみることが大切なのです。

このように自分の人生を物語として振り返る心理学的な技法を「ナラティブセラピー」といいます。ナラティブセラピーは、通常カウンセラーとクライエントの会話のなかで行われます。近年では会話だけでなく、文字にして残すことで振り返ることを促す効果があるとも考えられています。

劣等感を克服したAさんをご紹介します

ここで、カウンセリングしたAさんについてお話させてください。Aさんは25歳のOLの女性で劣等感が強い人でした。

Aさんは、最初にいらした時に
「人と比べてばかりで、自信をもてない」
という話を暗い顔でされていました。

何事も人と比べてしまい、様々なコンプレックスを抱えていました。さらに、カウンセリングを進めていくと、Aさんから自分で物事を決断したことが無く、様々なことを他人に決めてもらっていたということが分かってきました。

そこで私は、その日から「自分の好きなもの・いいと思ったこと」と「それをなぜいいと思ったのか」を日記につけるようアドバイスし、劣等感の克服を目指しました。

次第に、Aさんからは
「今まで人に決めてもらっていた時は、色んな人を見て、こういう風にしなければという思いで、一生懸命合わせていたのだけど、実は自分が嫌だというものや、自分には合わないというものまで合わせていた。そういう本当は必要のない他人との比較はやめたいと思う」
とお話され、その表情には劣等感から解放されたスッキリした気持ちが現れていたので、カウンセリングは卒業となりました。

いかがですか。Aさんは、劣等感の原因といえる

「他者との比較ではなく、自分自身の価値観を大事に生きる」

という判断ができるようになり、劣等感が克服できたというわけです。この状態は、心理学的にはアイデンティティが持てるようになったといえます。

練習問題で劣等感克服の第一歩を!

それではここで、劣等感が強い人の克服につながる第1歩として、自分が普段「何が好きで何が嫌い」なのかという事について練習問題として少し考えてみましょう。

練習問題
1. 最近あなたが「これは好き・これはいいな」と感じたできごとを思い出してください
2. 「これは好き・これはいいな」はどういう所に感じましたか?

 

解答例
1.日曜日に公園で過ごしたこと
2.ゆっくりと時間を過ごせること・自分の居場所があるなと感じたこと・そこでの人との出会いがあること・新しい発見があること など、できるだけ多く書いてみてくださいね。

 

これは1ヶ月くらい、継続して毎日日記をつけていくと、同じ言葉が集まってくる場合があります。それが自分の性格や傾向のパターンです。自分のパターンを把握していくことで、劣等感を克服する一歩につながります。ぜひ、自分のパターンを把握しておきましょう!

 

劣等感克服のポイントは適度な自己洞察

練習問題はいかがでしたか。自分の性格や傾向をつかむ事は、アイデンティティを持つ第一歩となり、劣等感への克服につながります。しかし、あまりにも過度に意識する事は、逆に劣等感を強めてしまうこともあります。

例えば
「自分とはなんだろう?」
「自分らしさは?」
などへの意識が強くなったとします。すると「自分のことすらもよくわからないんだ…」と考え込んでしまい、結果劣等感を強めてしまう可能性もあります。

このような状態を「アイデンティティ・コンプレックス」とも言います。過度に意識することも劣等感を強くしてしまうため、注意が必要ですね!

今回は劣等感を強めている原因の1つ「自身のアイデンティティを持てない」を解決するために、アイデンティティ確立の仕方についてお伝えしました。次回は劣等感コラムの最終回になります。これまでの劣等感コラムの話をまとめていきましょう。

★ 劣等感が強い人は、アイデンティティを確立しよう
★ 日記を書いて劣等感が強い人を卒業しよう
★ 適度な自己洞察が劣等感克服のポイント

*出典
ナラティブ・アプローチによる経験の振り返り : 「人生紙芝居」を用いた試行的実践糟谷ちかえ応用障害心理学研究応用障害心理学研究 (13), 37-46, 2014-03-31九州ルーテル学院大学
心理臨床大事典(改訂版)培風館
よくわかる臨床心理学 山口 創著 川島書店



アイデンティティを確立するコツをご紹介しています。