内向的を強みに変える「性格のリフレーミング」⑥
コラム⑤ では、内向的な人の悩みの1つ「他人を気にしすぎてしまう」の解決策をご紹介しました。アサーション技法を用いて、良好なコミュニケーションを目指しましょう。
今回は、内向的の問題を解消する3つ目の「リフレーミングで特徴を活かす」を解説します。
内向的を強みに変える
内向的で悩んでいる人は、
しかし、「自分の殻に閉じこもる」
このように、内向的なものも枠組みを変えてみれば、
リフレーミングとは?
松久(2012)の研究では、大学生を対象に、リフレーミングを使用した自尊感情を高めるプログラムを実施しています。
この研究では、自尊感情を以下の3つの要素に分けています。
①自己評価・自己受容
今の自分に満足している感覚
②関係の中での自己
他者とのつながりがある感覚
③自己主張・自己決定
意見を主張する、自分で決める感覚
これらの3つが、自尊感情プログラムでどの程度変化するかを測定しました。それぞれの結果を見ていきましょう。
①自己評価・自己受容
まずは、自己評価・自己受容から見ていきましょう。今の自分に満足している感覚ですね。
上図のように、介入後の方が自己評価・自己受容が高まっていることが分かります。つまり、リフレーミングを活用することで、内向的などの今の自分の状況に満足できることが考えられますね。
②関係の中での自己
続いて関係の中での自己を見ていきましょう。こちらは、他者との感覚つながりがある感覚でしたね。
上記のように、プログラム介入後の方が得点が高まっていることが分かります。内向的な方は、他者とつながっている感覚を持ちにくいですが、リフレーミングを用いることで、そうした孤独感も癒えていく可能性があります。
③自己主張・自己決定
最後に、自己主張・自己決定を見てみましょう。意見を主張する、自分で決める感覚という意味でした。
プログラム実施後の得点が高まっていますね。リフレーミングは自己主張力や自己決定力も高めてくれることが推察されます。リフレーミングによって自尊感情が高まる傾向が見られたということです。
リフレーミングには、状況を捉え直す状況のリフレーミングや意味や価値を捉え直す内容のリフレ-ミングがあります。今回内向的を活かすには性格のリフレーミングが適しているでしょう。
性格のリフレーミング
性格のリフレーミングとは、この物事にはこれ以外にどんな意味があるだろうか?どんな価値があるのだろうか?など、ひとつの物事から内容や意味の枠組みを捉えなおすものです。
例えば、
頑固な人⇒芯の強い人
優柔不断⇒優しい
内向的⇒落ち着いている
など、物事を別の面から見ることで気づかなかった点に気づくことができます。
内向的を活かした事例
ここからは事例をもとに性格のリフレーミングについて理解を深めていきましょう。内向的な性格を活かすには、どのよいにすれば良いのでしょうか。
事例1
営業職のコウキさんは、内向的な性格で雑談が苦手です。先日も、クライアントとの商談の際に、うまく雑談できず、沈黙を多く作ってしまいました。コウキはさんは営業職なんて自分に向いていない…と思い悩んでいます。
性格のリフレーミング
⇒話を聞く事が得意
⇒物事を分析することは得意
内向的を活かす
⇒相手のニーズをしっかり把握して相手に満足してもらえる資料をしっかり作る。
事例2
新入社員のカナコさんは、なかなか同僚と打ち解けられずに、少し孤立気味です。カナコさんは性格上、どうしても人とすぐに仲良くなることができません。他の同僚が仲間と一緒にランチに行くのを横目に、カナコさんはため息をついてしまいました。
性格のリフレーミング
⇒じっくり時間をかけて打ち解けるタイプ
内向的を活かす
⇒少しずつ相手と仲良くなってしっかりした人間関係を築く。
このように、リフレーミングを行うことで、内向的な面を活かすポイントが見つかります。それはほとんどの場合、外向的な人にはもっていない、内向的なあなたの特権です。多くの人は内気な性格を変えたい…と望みますが、性格を変えることによって、今ある長所を手放してしまうことにもつながるのです。
内向的な自分の強みを探そう
それでは、内向的な自分を活かすための練習問題で内容のリフレーミングにチャレンジしてみましょう。次の悩みについて、内容のリフレーミングをして内向的を活かすポイントを見つけてください。
練習問題
プライベートで気になる異性がいるが、自分から面白い話題を出して話すことが出来ない。
性格のリフレーミング
⇒
内向的を活かす
⇒
解答例
性格のリフレーミング
⇒話を聞くことが得意
内向的を活かす
⇒聞き上手になる。聞いているときの表情やうなずきを工夫する。
具体的には、相手の話を聞いたら行動に移してみる、面白い本を読んだことを聞いたら、自分も読んでみて感想を伝える、自分が面白いと思っている本を紹介する。
練習問題はいかがでしたか。内向的をリフレーミングして枠組みを捉えなおす事で内向的の良さをいろいろな角度から把握することができ、弱みを自分の強みに変えることもできます。
リフレーミングは、ポジティブ思考を推奨するものではありません。ひとつの側面から物事をみるのではなく、出来事の別の面に気づくことが目的です。
リフレーミングで長所に!
内向的な自分に悩んだら、内容のリフレーミングでどう活かすことが出来るのかを考えて見ましょう。ぜひ日常生活の中にリフレーミングを取り入れてみてくださいね。
今回で内向的が引き起こす3つの原因の説明や対処方法のご紹介はおしまいです。お疲れ様でした。次回はこのコラムのまとめになります。一緒に確認していきましょう。
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目次
①思考の特徴・外向性との違い-概観
②内向的とは何か?特徴を解説
③プラス面!向いてる職業は?
④マイナス面「うつのリスク」あり
⑤内向的診断とチェック
⑥強みに変える「リフレーミング」
⑦「アサーション」で自己表現
⑧「ソーシャルスキル」で才能開花
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
- 社会心理学会会員
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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*出典・参考文献
マイケル・ホール 、ボビー・G・ボーデンハマー(2009). NLPフレーム・チェンジ 視点が変わる〈リフレーミング〉7つの技術. 春秋社.
松久眞実. (2012). 自尊感情の向上を目的とした認知的側面への介入に関する実践的研究. プール学院大学研究紀要, 52, 119-132.
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