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特徴「PMS症状の治し方」

情緒不安定な女性の特徴「PMS症状の治し方」②

コラム①では、情緒不安定について概観していきました。コラム②からは情緒不安定の生理的要因を解説していきます。少しおさらいすると、「①女性特有の問題」「②双極性障害」「③人格障害」「④認知症リスク」の4つが挙げられます。

今回は、「①女性特有の問題」の対処法を解説していきます。

情緒不安定は女性に多い

情緒不安定は、精神医学の世界では基本的には、全般性不安障害に分類されます。厚生労働省のホームページに記載されているNCS調査(1990-92、2001-02)によると、全般性不安障害は女性がなりやすい精神疾患であることが分かっています。具体的には男性の約2倍女性が全般性不安障害を患っています。

男性より女性は情緒不安定になりやすい発症原因は多岐に渡りますが、その1つとしてホルモンバランスが挙げられています。たとえば、女性ホルモンの1つであるエストロゲンは、エストロゲンは気持ちを高めるセロトニンという脳内物質と関連するホルモンであり、エストロゲンの不足はうつ状態を引き起こす原因になります(野田、2018)。

エストロゲン量が減少する

エストロゲンが不足すると、イライラや不安といった心の不調として現れるのです(黒住・佐田、2016)。

以下は、月経リズムとエストロゲンの量を示した図です。生理がある女性においては、卵巣ホルモンや基礎体温の変動、排卵・月経に周期的な月経リズムがあります。月経の時期に応じて、エストロゲン量が増減することが分かります。

情緒不安定と月経周期

エストロゲンは、生理前や更年期になる減少する傾向があります。月経リズムで、情緒不安定になる傾向があるようなら、生理を疑ってみるのも良いでしょう。また、生理に伴いさまざまな心身不快症状(頭痛、腹痛、気分の変調など)がおこってきます。これには、黄体後期における自律神経活動の動きが関わっていることが分かっており、この時期のストレスは、自律神経のアンバランスさや機能異常を引き起こします。黄体期後期における交感神経の活動増加及び副交感神経の活動低下が月経に伴う症状を高めている(松本ら,2008)という報告もあります。

ホルモンバランスが崩れている時期は、環境の変化やストレスが無くても、情緒不安定になりやすくなります。日常生活に支障が出ることもあるため注意が必要です。

情緒不安定と女性ホルモンの変化

女性ホルモンの変化は、思春期、成熟期、妊娠・出産、更年期といった各年齢でも起こりえます。そのため各年齢で、自分なりの対処法を変えていく必要が出てくるかもしれません。

思春期には、まだ未成熟な部分が多いので不調が多く出ます。また、妊娠・出産などでは、情緒不安定になったり、産後うつなどの問題が起こりやすくなります。そして、更年期の変化にも注意が必要です。更年期は身体の衰えや環境的な変化も多く「中年の危機」と呼ばれる大きな過渡期になっています。

情緒不安定は女性に多い

更年期は要注意!

更年期障害とは、以下のように定義されています。

・日本産科婦人科学会
「更年期に現れる 多種多様な症状の中で、器質的変化に起因しない症状を更年期症状とよび、これらの症状の中で日常生活に支障をきたす病態」

そして更年期障害の原因については、

・卵巣機能の低下
卵巣機能の低下により女性ホルモンの減少が起こる。これに伴い、ホットフラッシュなどを代表する自律神経症状を中心としたさまざまな症状が出る。

・加齢に伴う身体的変化
体重の増減、肌質の変化、髪質の変化など容姿や体力の衰え

・精神心理的な要因
抑うつや不安を中心とする変化

・社会文化的な環境因子
子どもの自立や親の介護、夫婦関係など人間関係に変化

などが複合的に影響することにより発現する」とされています(日本産婦人科学会,2013)。

更年期障害とは?症状と原因原因に伴って起こる症状は、

・自律神経失調症状
のぼせ(ホットフラッシュ)、発汗、冷え、動悸、腹痛、息苦しさ、疲労感、頭痛、めまい、肩こり
・精神症状
イライラ、怒りっぽさ、抑うつ、涙もろさ、意欲低下、不安、集中力低下
・その他
関節痛、筋肉痛、むくみ、しびれ、食欲不振、便秘

などがあげられます(相良,2013)。

環境が変化するなか、自分の思い通りにならない症状が出てこれば、情緒不安定にもなりやすくなりますよね。このような時期には、「こころ」だけ「からだ」だけではなく、両方を見た心身医学的アプローチをおすすめします。

情緒不安定と女性ホルモンの変化は切っても切れない問題です。すぐには解決できないこともありますが、いろいろな方法を模索していく中で、情緒不安定の問題が解決したり自分に適した対処法も見つかるでしょう。

情緒不安定の治し方

ホルモンバランスの崩れによる情緒不安定は、生理の1~2週間ぐらい前から起こる傾向があります。こうした生理前から生理中にかけておこる症状の総称をPMS(プレ・メンストラル・シンドローム=生理前症候群)といいます。ここでは、情緒不安定の治し方として、PMSの症状を緩和する方法を3つご紹介します。

排卵抑制療法

排卵を止めてしまうことで、女性ホルモンの変動をなくし症状を和らげる方法です。

女性ホルモンの大きな変動は、排卵が原因です。そのため排卵を止めることで、症状を緩和していきます。治療に用いられる主な薬は、以下の通りです。

・低用量経口避妊薬(OC、低用量ピル)
・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)

これらの薬は、服用期間だけ排卵を一時的に止めるため、服用を控えれば排卵がすぐに戻ります。また少ないホルモン量で排卵を止めることができ、薬の副作用も少なくです。その後の妊娠にも、悪影響を及ぼすことがありません。

痛み・不安を抑える薬

心を安定させるホルモンであるセロトニンの分泌を促すことで、情緒不安定を和らげる方法です。

神経症状や自律神経症状に対しては、「SSRI(精神安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」を使用し、痛みに対してはロキソニンなどの鎮痛剤を用いて対処します。

症状の改善と治し方

漢方療法

PMSの症状によっては、漢方を使って、むくみや冷え、情緒不安定などの症状を和らげることができます。PMS治療では、主に以下の漢方が使われています。

・帰芍薬散
帰芍薬散(とうきしゃくやさん)は体温を上げて水分代謝を高め、むくみを解消する漢方薬です。

・桂枝茯苓丸
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は血液の循環を良くし、のぼせ・足冷えなどを感じる方の生理痛を和らげる漢方薬です。

・加味逍遥散
加味逍遥散(かみしょうようさん)は、不足している血液を補い、精神を安定させる働きがある漢方薬です。

これらの漢方薬はすべて市販していますので、ドラックストアなどで購入できます。

早めの対処を

女性の場合、生理中や更年期に情緒不安定になりやすいことがお分かりいただけたと思います。ホルモンバランスが崩れている時は、ストレスがなくても情緒不安定になりやすくなります。うつ状態になる可能性もあるため、症状が重い場合には、クリニックを受診して適切な薬を処方してもらうといいでしょう。

次回は、「双極性障害」についてご紹介します。

★女性特有の問題による情緒不安定には市販薬や漢方も視野に入れて対処!

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目次

①情緒不安定ー概観
②PMS症状の治し方-女性編
③「双極性障害とは」
④境界性人格障害とは
⑤認知症への対処法
⑥「認知の歪みを修正」
⑦「感情の客観視」
⑧「安全基地を探す」
⑨診断とチェック

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
Basco Monica Ramirez 野村総一郎(訳)(2016) バイポーラワークブック 星和書店

Denise E. Wilfley他 水島 広子 (訳) (2006)グループ対人関係療法~うつ病と摂食障害を中心に~ 創元社

加藤忠史(2011) 双極性障害~病態の理解から治療戦略まで~ 医学書院