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情緒不安定傾向の診断・チェック!認知療法で改善を

情緒不安定,症状


情緒不安定の診断・チェック!改善策の1つ認知療法にも取組もう②

情緒不安定の症状を改善しよう

コラム①では、情緒不安定傾向を簡単に診断・チェックできるテストをご紹介しました。また、情緒不安定になる3つの原因と解決策もご紹介しました。

具体的には「①感情のコントロールが下手」「②考え方が極端すぎる」「③安心感が少ない」でしたね。

今回のコラムでは、情緒不安定になる原因の1つである「感情のコントロールが下手」を解決していきます。自分の感情を上手くコントロールするには、「マインドフルネス認知療法」という技法が効果的です。簡単なトレーニングを交えながらご紹介していきますね。

 

マインドフルネスで情緒不安定を緩和

マインドフルネスという技法は実はまだ研究途上で、みなさんにはあまりなじみのない言葉かもしれません。

しかし情緒不安定の症状にも有効な研究報告が多々されていて、近年注目度が高まっています。今回はマインドフルネス認知療法についてお話します。

マサチューセッツ大学「マインドフルネスセンター」の創設所長であるKabat-Zinnは、マインドフルネスを「意図的に今この瞬間に価値判断をすることなく注意を向けること」と定義しています。言い換えると

「ただ “いま”の自分の気持ちを
 評価をせずに意識する」

ということです。気持ちが安定している状態とは、考えや感情、行動が一定して調和が整っていると考えられます。

「観察」がキーワード

しかし、私たちの生活の中で考えていることや行動など意識することは少ないでしょう。そのために知らず知らずのうちに偏った考え方にとらわれたり心が不安定になるのです。

マインドフルネス認知療法は、心に浮かぶ考えや気持ちにそのまま従ったり、「〜と思うなんてダメだ」など自分を評価するのではなく、ただ思考が湧いたことを一歩離れて観察します。否定的な考え方や、ネガティヴな行動を繰り返さないようにします。まずは「観察」をキーワードとして覚えておいてください。

感情・思考・身体感覚を観察しよう

マインドフルネス認知療法は、うつ病の再発を防ぐことを目指しつくられた心理療法で、仏教の考え方も取り入れられています。

自分の気持ちや身体の状態に意識を向け、それを「イライラ」「悲しい」などラベルに分けることで、自分の気持ちや身体の感覚に意識を集中させながら呼吸などにも気を配ります。

といっても、そんなに簡単に自分の気持ちや身体の感覚に意識を向けるのは難しいでしょう。

ちょっとした雑音が気になって「うるさいなあ。集中できないな…」と考えてしまったり、どこからかいい匂いがしたら「この匂いはカレーかなぁ…?」など、ついそちらに気を取られてしまうこともあるかもしれません。

マインドフルネス認知療法は、このような気持ちを、修正のしたり操作することは目的ではありません。今の瞬間のあるがままを受け止めることを大事にします。

「雑音を忘れて集中しよう!」
「匂いに気が散らないようにしよう!」

と、もがくのではなく、

「雑音を気にしている自分がいるな」
「匂いが気になっている自分がいるな」

と観察をするのです。

ちょっと難しいかもしれませんが、マインドフルネスの考え方はこのように自分の感情や考えを、あるがまま受け止めることを目指します。

情緒不安定やイライラも撃退?!

情緒不安定を客観的に受け入れる1つ例を挙げましょう。仕事のスピードが人一倍速く、一日中仕事に力をそそいでいるAさん。それを他人にも求めてしまいます。

仕事の遅い後輩にイライラし「これくらいすぐできるでしょ?」「こんなこともできないの?」と、すぐに苛立ちをぶつけてしまうのです。

次第に、
→後輩たちから孤立する
→さらにイライラする
→ためこんだまま孤立する
→我慢できずにまたイライラをぶつける
という悪循環ができあがりました。

ここで、Aさんにマインドフルネスの姿勢を当てはめてみましょう。

まず、後輩にイライラした時は
「イライラするのはダメだ」
「落ち着け落ち着け」
と自分を評価したり抑え込まず、

「あ、イライラしてきたな…」
というくらい客観的に受け止めてみます。

もう一人の自分を観察する

マインドフルネスの姿勢で、「イライラしている自分をもう一人の自分が観察している」「今自分はイライラしているな」というように、“いま”を客観的に感じることで、とらわれた考え方を解放しイライラと上手く距離がとれ、無理に落ち着こうとしなくても自然とラクになるのです。

後輩にイライラをぶつけてしまって落ち込んだ時も、「落ち込みマン、参上か…」くらいの気持ちを持ちましょう。

そうして、落ち込んだ自分と距離をとります。そうすることで、ネガティブな感情に支配されることがなくなり情緒不安定になる前に「目の前の仕事をしよう」と気持ちを切り替えることができるのです。

情緒不安定はセルフチェックが肝

このように、マインドフルネスが目指すことは情緒不安定な気持ちと「距離をとること」「とらわれた考えから解放させること」です。

これは、開き直るということではありません。時には自分自身の言動をセルフ診断・チェックして、反省することも必要です。そうすると、「さっきはごめんなさい」「いつもありがとう」と、素直な感情があらわれるようになります。

「失敗や後悔をしても、ほどよく反省し上手く切り替え、“いま”に集中する。」

情緒不安定な気持ちが急に変わることは難しいかもしれません。しかし、日頃から自分の気持ちをセルフ診断・チェックしながら、マインドフルネスの姿勢を心がけていくことで、少しずつ情緒不安定な気持ちが緩和され、コミュニケーションが上手になりますよ。

 

呼吸トレーニングで症状を軽減!

情緒不安定を改善する呼吸トレーニングそれでは、実際にマインドフルネスの状態に入りやすくするためのトレーニングをご紹介しましょう。

リラックスした気持ちで、ゆっくりゆっくり呼吸するという簡単な方法です。次の5つの手順で進めます。

①楽な姿勢を取ろう
椅子に座っても、床であぐらをかいてもいいので、楽な姿勢になって背筋を伸ばしてください。猫背ぎみで背筋を伸ばして座るのはしんどいう方も、やり続けるうちに背筋を伸ばした姿勢の方が楽に感じられるはずです。

ポイントは、自分の力で伸ばすのではなく、“頭のてっぺんを上から糸で少しだけ引っ張られているイメージ”をしてみることです。不思議と身体が軽くなりますよ。

②体をほぐそう
肩の力を抜いて、手は膝の上にふわりとおきます。この時、手にだるい感じや重たい感じがあれば、腕を伸ばしたり肩を回したりとストレッチをしましょう。慣れてきたら、夜寝る前の布団の上で寝転がって行ってもいいですよ。

③いまどんな感覚か味わう
私たちの日常では目を開けている時間の方が長く、目から入ってくる刺激の影響を受けることがたくさんありますよね。マインドフルネスは、その刺激にさらされながらも“いま”に集中する力を鍛えるため、目を開けたまま行います。

斜め下に視線を落とし、一点をじっと見るのではなく、ぼんやりとただ眺めるように。だんだん眠たくなって、寝てしまうことがあるかもしれませんが、それもまたよしとしましょう。

いま体や、感情がどのような感覚にあるのか?客観的に観察してみましょう。

④呼吸に集中してみよう
呼吸は、鼻でも口でも、どちらでもかまいません。「呼吸に集中する」ということが大事なので、腹式呼吸も意識しなくてオッケーです。

ゆっくりゆっくり5秒間
「ふ—–」と、息を吐きます。
ゆっくりゆっくり3秒間
「す—」と、息を吸います。

これを繰り返します。理想は30分ですが、そんなに長く時間がとれないという方は「10分間を3回やろう」「今日は5分でいいや」など、できる範囲で生活の中にゆるやかに取り入れてくださいね。30分トレーニングしなくては!と神経質になってしまうと、本末転倒になってしまいます。

⑤雑念と向き合ってみよう
呼吸に集中するトレーニング法はいかがでしたか。ゆっくりゆっくり「ふ—–」と「す—」を集中して繰り返していても、雑念がわいてくるかもしれません。

そんな時に「ダメダメ、今は呼吸に集中するのだから雑念消えろ!」とか、「集中すべき時にこんなことを考えてしまう私はダメなやつだ」と思う必要はありません。ここもマインドフルネスの姿勢で、「あ〜雑念、きたきた〜」と受け入れてみてください。

 

情緒不安定が改善する実感を!

マインドフルネスでは、悩みやネガティブな感情など情緒不安定を引き起こす気持ちをゼロにするのではなく、ほどよく距離をおき、うまく付き合っていくことを目指しています。

呼吸に集中しながらわいてきた雑念も「評価せず、そのまま受け入れる」というのが、マインドフルネスの考え方です。トレーニングを繰り返す事で、自然とできるようになり情緒不安定が改善が実感できると思います。ぜひ取組んでみてくださいね。

次回の情緒不安定コラムは、情緒不安定の2つ目の原因「考え方が極端すぎる」の対策についてご紹介します。次回もお楽しみに!

★ 情緒不安定の診断 心の状態が確認できたら 認知療法を実践しよう

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コミュニケーション講座

*出典・参考文献
行動,思考から注意へ : 行動療法の変遷とマインドフルネス(Mindfulness)(<特集>感情心理学の応用),久本 博行,関西大学社会学部紀要 39(2), 133-146, 2008-03
行動から思考へ 関西大学論文
認知行動療法を学ぶ 下山 晴彦 編 金剛出版



イライラにも効果がある解決策を実践