緊張ほぐす,しない方法‐認知療法で認知の歪みを見直す
コラム1の緊張をほぐす方法では以下の手法を紹介しました。
①丁度良い緊張を目指す
②私的自己意識を増やす
③失敗過敏からポジティブイメージ
④考え方をほぐす
⑤目標設定を下げる
⑥深呼吸法
⑦漸進的筋弛緩法
⑧あるがまま森田療法を学ぶ
⑨精神疾患の知識を学ぶ
今回は「③考え方をほぐす」について詳しく解説していきます。特に下記のように考えてしまう方におススメです。
・絶対にあがってはいけない
・緊張すると馬鹿にされる
・ドキドキが相手にばれてはいけない
・緊張するのは自分が弱いからだ!
緊張を改善する上で必須の練習法をなりますので是非参考にしてみてください。
認知療法の手順
心理療法の1つに「認知療法」という手法があります。認知療法は考え方をほぐし、心をリラックスさせる心理療法です。認知療法は以下の4つの手順で行います。
正式にはもう少し厳密に行いますが、今回は簡易的に説明させていただきます。
step1 感情の確認⇒%で
step2 認知を把握する
step3 考え方を追加する
step4 感情を再チェック⇒%
以下の例で考えてみましょう。
・登場人物
太郎さん ピアノ部主将
・出来事
太郎さんは学生最後の全国大会に出場することになりました。時間をかけて練習し、ついに前日になりました。
step1 感情の確認⇒%
ますは「感情の大きさ」を確認します。%で表しておくと変化がわかりやすいのでオススメです。太郎さんの感情は以下のようでした。
緊張(80%)恐怖(60%)
step2 認知の把握
感情が確認できたら「認知」を確認します。認知とは感情の裏側にある考え方です。以下のような極端な考え方があったら要注意です。太郎さんは次のように考えていました。
・絶対に弾き間違えてはいけない
・主将として失敗は許されない
・緊張してはいけない
緊張しやすい人の多くはこのような考え方の偏りが見られます。
step3 考え方を追加する
次に「考え方を追加」してみましょう。
・絶対に弾き間違えてはいけない
・主将として失敗は許されない
・緊張はしてはいけない
追加
・緊張は仕方ない…弾く事に集中しよう
・大きな大会だから不安になるのは当然
・普段の練習通りのことをやってみよう
・精一杯やってきた!自分を褒めよう
このように、1つの考え方に固執せず、様々な考え方を追加していくのがコツです。
step4 感情を再チェック
考え方を追加したら、もう一度、感情を分析して比較してみます。太郎さんの感情は以下のように変化していました。
緊張(80%)恐怖(60%)
↓ ↓
緊張(60%)恐怖(40%)
緊張につながる感情のパーセンテージが下がっていますから大成功といえます!
*講師の視点 緊張をゼロにすることは不可能です。ある程度ほぐれたらOK!適度な緊張であれば、パフォーマンスに集中することができます。
実践!認知療法(ワークシート付)
ここからは、認知療法を実際にやってみましょう。各手順で書き出ししながら行うため、紙やメモ帳を用意します。スマホのメモ帳でもOKですよ。
step1 感情の確認⇒%で
step2 認知を把握する
step3 考え方を追加する
step4 感情を再チェック⇒%
▼こちらのワークシートもご利用ください。
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認知療法
認知療法をもっと練習したい方は、下記のコラムでも詳しく解説しています。入門編を一通り見た後に、参考にして頂けるのがいいかなと思います。考え方を増やすコツも解説しています。
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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*出典・参考文献
・金沢実, 中島竜太郎, ロバート・キング・マートン みすず書房 1961 社会理論と社会構造
・大原健士郎1997 神経質性格、その正常と異常 森田療法の科学 講談社