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堪えるの意味・つらい時の対処法

堪えるとは?意味や体がつらい時の対処法①

はじめまして!精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、ぜひお待ちしています。

本コラムでは「堪える」について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。

  • 堪えるの意味とは?
  • フィンク理論で心の整理
  • 無理して明るく!逆効果
  • 長期化はうつ病の可能性も
  • 診断・チェック
  • 3つの方法で対処しよう

コラムの各コーナーには「もっと深く知りたい!」という方のためにリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください。それではさっそく、解説させて頂きます!

堪えることの意味

皆さんは、仕事や恋愛、人間関係で上手くいかない事があり、負のループに陥ってしまった…と言う経験はありませんか?そんな時には、

・ネガティブ思考が止まらない
・何もやる気になれない
・人と会いたくない

など、つまづいてしまうものです。

人生は長いですから、涙を堪えるような経験は避けられないと言っても過言ではありません。苦しい体験がその後の人生をより豊かにしてくれることもあります。この意味で、涙を堪えるような状況は成長へ導いてくれる大切な時間といえます。

涙を堪える経験の意味苦しい状況だどんなに深くても、落ち込みの理由が明確一時的であれば、問題ないといってもいいです。ただし、理由もなく落ち込んでいたり、苦しみに堪える状況が長期化している場合は、メンタルヘルスに悪影響を与えてしまう可能性もあります。

心の回復プロセスは4段階

アメリカの心理学者フィンクは、心の回復には4つの段階があると示しています。

1:衝撃
2:防御的退行
3:承認
4:適応

この4つプロセスを経て、人は苦しい気持ちから立ち直っていきます。それぞれステップについて、詳しく見ていきましょう。

1:衝撃
心に大きなダメージを負った段階でパニック状態になっている時期です。

・毎日涙が溢れる
・後悔の念に駆られる
・食欲減退、疲労困憊
など、さまざまな感情を堪える事ができません。

堪えるフィンク危機モデルの衝撃期

2:防御的退行
現実を受け入れる事ができず現実逃避する時期です。苦しい体験と向き合いながら葛藤します。

防衛的退行

3:承認
自分の心と向き合い、出来事を少しずつ理解し始めるようになる時期です。周囲に出来事を打ち明けられるようになり、堪え 文字列の統一いた感情が外に出るようになります。

フィンクの危機モデル承認期

4:適応
少しずつ自分を取り戻し、関心のあることや新しいことを始められるようになる時期です。涙を堪えるような辛い出来事もプラスに捉えて、活力に変えることができるようになります。

悲しみに堪える!はNG

私たちは堪える事が難しいほど辛い経験をすると、落ち込むという行為を一旦保留にすることがあります。これは「抑圧」という心の防衛機制で、特に心の回復プロセス「1:衝撃期」「2:防衛的退行」の時に作用します。

抑圧とは、本来なら苦しい気持ちが沸き起こるところを心の奥底にいったん堪えるイメージです。苦しい気持ちを堪えることは、とても労力がかかりますし心の防衛機制にも限度があります。本来の気持ちを強引に堪えることが続けば、心の問題が体に表れてしまう「心身症」という病気になることがあります。

たとえば、
月経不順や頭痛などの症状で、とてもしんどい気持ちがあったとします。無理して堪えることばかりすると、身体を害してしまうこともあります。この意味で明確な理由があれば、自然な流れとして苦しい気持ちを味わうことが大事なのです。

悲しみに堪えるは逆効果の時も

堪えること=うつ病のリスク

ただし、無理して堪えることばかりしている場合は注意が必要です。一時的なしんどさは、本来の気持ちを自然に対処すれば、一定の期間で改善していきます。しかし堪える期間が長くなると、次のような症状に発展する場合があります。

・抑うつが悪化する
・気分障害を引き起こす
・対人不安に陥る

特にしんどい時期に、ネガティブな考えを何度もぐるぐる巡らせている状態が続くと社交不安や抑うつを強めることになるので注意が必要です(城月, 笹川, & 野村,2007; 長谷川, 金築& 根建,2009)。

家族や友人、会社の同僚などに自分の感情を相談できない状況で、一人ネガティブ思考に堕ちている場合は特に注意です。

研究:ネガティブ思考の原因と影響

神谷・幸田(2016)は、「ネガティブ思考」による心理的な影響について研究しました。下図は論文を一部改変して作成した図です。ネガティブ反すう思考とは、ぐるぐると後ろ向きな考えを繰り返してしまう状態を意味します。

ネガティブ思考による心理的な影響

研究の結果から、

「過去現在否定的」「自己否定」が、
将来否定・ネガティブな反すう思考を強める
「将来否定」「ネガティブ反すう」が強くなると、
抑うつ気分も高くなる

ことがわかりました。つまり、自分を否定的に捉えたり、過去や現在にネガティブな感情を持つと、自分の将来まで悲観してしまい、抑うつが気分が強くなるということです。

最悪の場合、うつ病に発展してしまう可能性もあります。過剰な自己否定や、過去や現在をネガティブに捉えるクセがある方は注意が必要です。

統計:うつ病は自殺の原因

うつ病になると、日常の小さな苦しみから深刻なもので連続線上にあると捉えてしまいます。そのため、ちょっとしたしんどさがうつ症状に結びつくこともあります。うつ病の主な症状は、

・強い抑うつ気分
・喜びや意欲の喪失
・疲れやすい

などです。該当する場合は早めの改善が必要です。警察庁の平成29年の自殺統計によれば、健康問題での自殺の原因で最も多かったのは「うつ病」でした。

警視庁平成29年中における自殺の状況

うつ病は症状が強くなると、自分をますます追い詰めてしまいます。悪循環を止めるためにも、症状が小さいうちに対処していく改善していく必要があります。

涙を堪えるような苦しい状況の対処法

ここからは、涙を堪えるような苦しい状況の対処法を提案させて頂きます。なお消えてなくなりたいと感じるぐらい症状が重い方は、緊急性が高いので精神科の受診を視野に入れてください。

じっくり取り組めそうな方は心理療法も効果的になってくるでしょう。精神科と心理療法どちらが適切かわからない場合は以下の動画も参照ください。心の面から改善したいという方は動画を飛ばしても大丈夫です。

*監修の川島(精神保健福祉士)が動画でも解説しています。
 チャンネル登録くださると励みになります!

苦しい状況の感じ方は人それぞれです。対処法の概要をみてみて当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてください。

①フィンクの危機モデル

堪える時期も必要
しんどい感情は誰でも不快なものです。苦しい気持ちが現れて喜ぶ人はごくわずかでしょう。しかし、コラムの冒頭でご説明した通り、苦しみに堪える時期も人生には必要不可欠なのです。

4つのプロセスで回復を
フィンクによると、心の回復プロセスには4段階ありましたね。「1:衝撃・2:防御的退行・3:承認・4:適応」本コラムでは、このフィンクの理論をベースにしたワークを、堪える時期の対処法としてご紹介します。ワークを通して堪える時期を健康的に過ごす手がかりを見つけていきましょう。健康的に堪えるって、むちゃくちゃですね。。。

フィンクの危機モデルを学びたい方は、
コラム②を参考にしてみてくださいね。

②リフレーミング技法

マイナス化思考
悲しみの経験からなかなか復帰できないという方は、マイナス化思考の傾向があるといえます。何事に対しても、マイナスの側面に意識を向けてしまいがち…と言う場合は注意が必要です。苦しみに堪える状況においては「思考・感情・行動」が相互作用していて下図の状態にあります。

悲しみに堪える時の思考感情行動の関係

たとえば、
大切な人を亡くた苦しい気持ちは、

思考
→あの人無しでは生きられない!
 もっと何かできたはず!

感情
→悲しい
 情けない

行動
→誰ともかかわらない

などの思考や行動に陥ります。状況をネガティブに捉えすぎると、行動や結果もネガティブになってしまうことがあるのです。

思考を修正しよう
マイナス化思考は、考え方のクセのひとつで心理学の世界では「認知の偏り」と言います。心理療法では、認知の偏りを修正する方法として「リフレーミング技法」をよく使います。

リフレーミングとは、物事の枠組みを捉え直すことで考え方を変えることができます。マイナス思考が出てきたら、その思考をプラスの枠組みへと捉えなおしていきましょう!

堪える状況で心の余裕を作りたい方は、
コラム③を確認してみてくださいね。

③ソーシャルサポート

悩みは一人で堪える…
しんどい状況から抜け出せない人は、苦しい気持ちを一人で堪える事ばかりしがちです。一人で堪える事ばかりしている、視野が狭くなり新しい気づきや行動につながりません。特に苦しいことがあっても、涙を堪える事でなんとか乗り切っている!という人は注意が必要です。

周りの人を頼ってOK!
本コラムでは、問題を一人で堪えるのではなく、家族や友人、会社の同僚などの支援を活用して苦しい状態から抜け出す方法をご紹介します。

心理学では社会的な関係の中でやりとりされる支援のこと「ソーシャルサポート」といいます。ソーシャルサポートを利用して、辛い気持ちに堪える期間が最小限になる様にしていきましょう。

ソーシャルサポートを知りたい方は、
コラム④を参考にしてみてくださいね。

④専門機関の利用について

心理学を独学で学ぶことに不安がある場合は、専門家の元でしっかり学ぶこともお勧めしています。 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、メンタルヘルスの向上について心理学講座を開催しています。独学に限界を感じた方、心理学を体系的に勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。

執筆者も講師をしています(^^)
 ・心理療法の基礎
 ・マインドフルネス療法
 ・支え合い、会話練習
初学者向け心理学教教室を開催しています

堪える期間を最小限に!

今回は「堪える」をテーマに、しんどい時期から回復するプロセスや対処法についてご紹介しました。涙を堪えるような辛い経験をした時には「しんどい気持ちを抑え込む」「マイナス化自動思考」「一人で悩みに堪える」をポイントに、解決していきましょう。なお症状が重い場合は、早めに専門の医療機関を尋ねてください。

次回は「フィンクの危機モデル」をより詳しく学びます。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★人生では堪える状況も必要!辛い時には3つの方法で対処
心理学講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
押谷葉子, 山田尚登, & 高橋三郎. (1994). 感情障害エピソード反復の周期性と季節性. 精神医学, 36(11), 1197-1202.
大学生の抑うつにおける自動思考とネガティブな反すうの関連 神谷 慶, 幸田 るみ子 ストレス科学研究 Advance Publication
警察庁 平成29年中における自殺の状況
樫村正美, & 岩満優美. (2007). 感情抑制傾向尺度の作成の試み. 健康心理学研究, 20(2), 30-41.
城月健太郎, 笹川智子, & 野村忍. (2007). ネガティブな反すうが社会不安傾向に与える影響. 健康心理学研究, 20(1), 42-48.
長谷川晃, 金築優, & 根建金男. (2009). 抑うつ的反すうに関するポジティブな信念の確信度と抑うつ的反すう傾向との関連性. パーソナリティ研究, 18(1), 21-34.