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堪える状況を乗り越えよう

堪える状況を乗り越える「フィンクの危機理論」②

コラム①では、堪える状況を乗り越える意味や心の柔軟性を表す「レジリエンス」の解説、そして心が折れそうな時に役立つ5つの方法を紹介しました。具体的には、「①フィンクの危機理論」「②リフレーミング技法」「③ABC理論」「④正のストローク法」「⑤ソーシャルサポート」でしたね。今回は、「①フィンクの危機理論」について、ご紹介していきます。

フィンクの危機理論とは?

フィンクの危機理論とは、危機を経験した本人が状況を受け入れて乗り越えていく過程を示した理論です。具体的には、危機的状況が心身共に堪える時期や、乗り越えていく過程を、以下の第1段階から第4段階で示しています。

フィンク適応理論

段階1:衝撃期
危機を経験し、パニック状態になります。「涙が止まらない」「食欲がない」「身体がだるい」など、辛さが堪える時期です。

段階2:防御的退行期
現実が受け入れられず、葛藤します。受け入れがたい経験の辛さが堪えると共に、ゆっくり受け入れていく時期です。

段階3:承認期
自分の気持ちと向き合い、どうにか現実を受け入れます。悲しみなどの感情が生じるものの周囲に話すことができる時期です。

段階4:適応期
悲しい出来事を前向きに捉え、生きる糧にしていきます。堪えるような危機的状況での自分を認め、心の穏やかさを取り戻す時期です。

このように私たちは、4つの段階をたどって心が回復するのです。

フィンクの危機理論堪える状況では、とても辛く・苦しい気持ちになるでしょう。しかし、私たちの心には、自然と回復する機能があります。焦らなくても大丈夫です。フィンクの危機理論にある4つの過程を大事にしながら、少しずつ受け入れていきましょう。

堪える状況を乗り越える!

ここでフィンクの危機理論を使って、悲しみや苦しみを乗り越える方法を練習していきましょう。まずは、例題で具体的な流れを確認します。

例題
Aさんは、15年間一緒に過ごしたペット(犬)が死んでしまい、とても悲しい気持ちでいます。家族からは「長生きしたよ。沈んでいてもしかたない、元気だそう!」と言われ、自分一人で悲しみに堪える状況になってしまいました。そこで、この状況を変えるため自分の感情を受け止めるワークをやってみることにしました。悲しみに堪える時の回復方法

段階1:衝撃期
→ペットが亡くなったことで悲しい…涙が止まらない…ペットとの別れの悲しさが堪える状況です。

段階2:防御的退行期
→パパやママは、悲しくないのかな。でもいつも可愛がっていたから、そんなことはないと思うけど…。どうすればいいかわからないと葛藤する。

段階3:承認期
→ペットの死がつらくて堪える…このことは伝えてもいいはず…。と心が整理されてくる。

段階4:適応期
→家族に、みんながペットの死を悲しんでいないように思ったことを伝える。自分の気持ちを伝えられた自分を認め、きちんと主張することが大事だと実感する。

Aさんは、自分の感情が周囲と異なった時、ついつい気持ちを抑え込みがちでしたた。しかし、自分一人で抱え込む必要はなく周囲に伝えてもいいのだと分かり、ペットの死を通して出来事を前向きに活かすことができました。

健康的に堪える方法いかがですか?フィンクの危機理論は支援者向けに学ぶことが多い理論ですが、自分の心をセルフケアする時にも活用できます。それでは、自分の感情を受け止める練習としてワークをやってみましょう。

練習問題

悲しみや苦しみが堪えるような状況を想像して見てください。健康的に乗り越えるとしたら、どのような過程で回復していくか考えていきましょう。とても悲しい時にはこんな風に回復できるといいな・・・と想像する程度でOKです。

段階1:衝撃期

段階2:防御的退行期

段階3:承認期

段階4:適応期

心の中が、少し整理できた感覚があったら成功と言えそうです。

堪える気持ちを上手に乗り切る

心の回復プロセスに任せる

堪える状況があっても、多くの場合は時間が解決してくれます。焦らなくて大丈夫です。無理をせず、ゆっくり回復していきましょう。Pennebaker (1985)は、思考や感情、行動を意識的に抑制しようとすることは、大変エネルギーを使うため、長期間に及ぶと身体的にはストレスとなり医学的な問題をもたらすことを明らかにしています。辛い状況が堪える時には、心の回復プロセスを意識してみてくださいね。次回は、「リフレーミング」について解説していきます。お楽しみに!

★堪える状況は、心の回復プロセスで乗り越えよう!

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心理学講座

目次

苦しさが堪える人へ
フィンクの危機理論
5つのリフレーミング
ABC理論で堪える場面を減らす
ストローク法で自分応援!
3つのコツでコミュニティを増やす
ストレス耐性をチェック

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・岩野 恵美・角田 明美・斉藤 京子・瀬間 美恵子・三浦 敏江 2012 期せぬ突然のがん告知により強い衝撃を受けた患者への看護 ―フィンクの危機理論を用いた考察― The Kitakanto medical journal 62(1),83-83, 2012-02-01.