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堪えるために!ABC理論を活用しよう

堪える場面を減らす「ABC理論」④

コラム①では、堪える状況を乗り越える意味や心の柔軟性を表す「レジリエンス」の解説、そして心が折れそうな時に役立つ5つの方法を紹介しました。具体的には、「①フィンクの危機理論」「②リフレーミング技法」「③ABC理論」「④正のストローク法」「⑤ソーシャルサポート」でしたね。今回は「③ABC理論」についてご紹介していきます。

ABC理論とは?

ABC理論とは、アメリカの心理学者アルバート・エリスによって考案されました。ABC理論では、出来事をどのように捉えるかで、沸き起こる感情が変わってくると説いています。ABCの具体的な意味は次の通りです。

A=Activating event 出来事
B=Belief system 信念(捉え方)
C=Consequence 結果(沸き起こる感情)

ABC理論とは?

たとえば、恋人に別れを告げられ悲しい気持ちが堪える状況にあるAさんの場合

A:出来事
→恋人と別れた
B:信念
→あんなに素敵な人と出会うことは絶対ないだろう
C:感情
→別れがつらくて堪える…。恋愛は二度としない。辛すぎてできない

このようにABC理論では、人間の心理はこのような段階を踏んでいくと考えます。「B:信念」には2つの捉え方があります。

・イラッショナルビリーフ
不安や落ち込みにつながるような捉え方

・ラッショナルビリーフ
現実的で前向きな考え方、逆境を成長の糧にするような捉え方

先ほどのAさんの例の場合、
「絶対~ない・・・」という、極端な言い回しをしているので、イラッショナルビリーフです。この捉え方を「恋人はとても魅力的だったけど、これからいい出会いがあるだろう。今回の恋愛に感謝して、新しい出会いを探そう!」と考えたらどうなるでしょうか。「C:感情」では、恋愛への興味は持続しそうですね。

ABC理論と堪える力

ABC理論では、自分自身の心を充実したものにする捉え方を大事にするため、イラショナル・ビリーフをいかにラショナル・ビリーフに書き換えることができるかを重視します。これは堪える状況を乗り越えるときにも重要な要素となります。

堪える状況と作る思考とは?

ここでよくあるイラショナル・ビリーフを、確認していきましょう。

・絶対〇〇しなければならない
極端な言い回しはイラショナル・ビリーフにつながりやすいです。できれば「○○もいいけど△△もいい」といった言い回しを使うと堪える機会を減らせるでしょう。

・破滅的な思考
思ったような結果にならなくても「もうおしまいだ」のような、破滅的な考え方に陥ると気分はもっと暗く重たくなってしまいます。無理に明るい気持ちになる必要はありませんが、「今は苦しみが堪える…。でも、徐々にいいことも起こるだろう」といった、捉え方ができると堪える機会が減らせるでしょう。

・白黒思考
物事について白黒つけたがある極端な捉え方はイラショナル・ビリーフにつながりやすいです。「間違いなくダメ」「不可能」といった考え方をしがちな人は注意しましょう。「できる方法があるかもな~」といったグレーゾーンを作っておくと、堪えるような辛い状況は減らすことができるでしょう。

堪える力を鍛えるポイント

実践!心理トレーニング

それではここでABC理論を使いながら心理トレーニングに取り組んでみましょう。コツをつかんで堪える機会を減らしていきましょう。

練習問題1
A:出来事
高校2年生、サッカー部のタナカくんは、練習中に足を骨折してしまいました。全治は3か月で、高校最後の大会に出場することが難しそうです。全国大会で優勝することを目標にしていたのに…。

B:信念
もしタナカくんが「イラショナル・ビリーフ」をするとどのような考えるでしょうか?

C:結果
その結果どのような感情になりそうですか?

 

解答例
B:信念
⇒これまでの練習が水の泡。もうだめだ(破滅思考、白黒)
C:結果
⇒怒りや悲しみが溢れてしまう。出場さえ難しい状況が堪える…。

堪える力を伸ばすトレーニング

練習問題2
練習問題1のタナカくんは、辛さに堪える状況が続いています。ラショナル・ビリーフを使って逆境を成長の糧にするように言い換えましょう。



・            

解答例
・チームに貢献できる知識や技術を増やそう
・できる練習をして、いつでも再開できるようにしよう
・ケガが早く治る方法を実践しよう

解答例はできるだけたくさん出してみてください。多ければ多いほど、ストレスに強い柔軟な心と言えます。

練習問題3
以下の捉え方は「ラショナル・ビリーフ」「イラショナル・ビリーフ」どちらでしょうか。

ABC理論の練習問題



できましたか?

解答例
ABC理論のトレーニングの解答1) 私は人に好かれなければならない
→イラショナル・ビリーフ
誰から好かれなければならないという偏った捉え方になっています。

2)今は大変な状況だけどひどくはない
→ラショナル・ビリーフ
大変な状況であっても、前向きな力になる捉え方になっています。

3) 自分で自分を尊重するべきだ
→ラショナル・ビリーフ
人からの評価だけでなく、自分で自分を肯定することが大切です。

4) 悩み何てなくなったらいいのに
→イラショナル・ビリーフ
現実的ではない捉え方です。悩みがある状況でも楽しむようにするのが現実的です。

堪える力を伸ばす

柔軟な心で堪える機会を減らそう

練習問題はいかがでしたか。ABC理論は、適応的で現実的な視点で状況を整理するのに役立ちます。状況を客観的に把握できると、堪える状況があっても、次にできそうな解決策は何だろうと一歩前に進んでいくことができるのです。次回は、「正のストローク」について解説します。

★ABC理論で、堪えるような辛い状況を減らしていこう

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心理学講座

目次

苦しさが堪える人へ
フィンクの危機理論
5つのリフレーミング
ABC理論で堪える場面を減らす
ストローク法で自分応援!
3つのコツでコミュニティを増やす
ストレス耐性をチェック

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・木村真人 2004 論理療法のABC理論による対人不安の検討. 東京成徳大学研究紀要, 11,51-60.
・橋口英俊編著 1973 新臨床心理学入門 建帛社