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幸福感とは何か?世界ランキングや意味について解説

幸福感とは何か?ランキングや意味について解説

はじめまして!公認心理師の川島達史です。今回は
「幸福感」
について心理学的な見地からお話していきます。目次は以下の通りです。

  • 入門①幸福感とは何か
  • 入門②日本は58位
  • 入門③幸福の8個の条件
  •  1.ポジティブであれ
  •  2.意味を見出せ
  •  3.没頭せよ
  •  4.やり遂げよ
  •  5.人間関係を楽しもう
  •  6.時に甘えよ
  •  7.ユーモアを持とう
  •  8.感謝せよ
  •  9ちょっとは稼ごう
  • 発展-ブータンと幸福感
  • 診断・チェック 

 

幸福論について解説

各コーナーには関連リンクがあります。まずは全体を一読していただくことをお勧めします。その後、気になる項目がある場合は、クリックして深く理解してみてください。

入門①幸福感ランキングは58位

世界ランキングの指標

国連は年ごとに、幸福感をランキング化した「World Happiness Repor」を発行しています。幸福感は心理学的に複雑な概念ですが、以下を指標としているようです。

・人口あたりGDP 
・ソーシャルサポート 
・健康寿命
・自由度
・寛容さ
・社会的腐敗のなさ

その結果、日本は総合評価で58位となっています。

日本幸福感ランキング

健康大国だが寛容さが低い

細かいトピックを見ると、日本は健康寿命は3位以内にランクインすることが多く、長寿大国と言えそうです。GDP、自由度、社会的サポートなどでは20位前後となっています。

特に順位が悪いのが「寛容さ」です。これは、ボランティア活動や寄付など社会奉仕的な意味があるのですが、90位前後となっています。

日本人というと、助け合いの精神が強いイメージがあります。ただ、周りには優しくとも、赤の他人を助けるまでは広がっていないのかもしれません。

世界ランキングはこちらのリンクから詳しく確認できます。興味がある方は参考にしてみてください。

診断・チェック

当コラムでは幸福感を向上させる様々な手法を紹介させて頂きます。成果を把握するために、定期的にこちらの診断で簡易チェックをすることをおすすめします♪

入門②幸福感と心理学

ポジティブ心理学とは何か?

ここからは現代社会で幸福に生きるためのコツをお伝えします。心理学の世界では、幸福感について実に様々な研究がありますが、今回はセリグマン(2000)が提唱した、「ポジティブ心理学」をベースにしたいと思います。

セリグマンは、1996年にアメリカ心理学会の会長に就任した大心理学者です。心理学会のイチローと例えればイメージが付きますでしょうか(^^;

セリグマン,幸福感

9個の指標

20世紀の心理学は、不安や恐怖などのマイナス感情に焦点をあてた研究が大半を占めていました。しかし、21世紀は、人間のプラス面に焦点を宛てていこうとするのがポジティブ心理学の基本的な考え方になります。

セリグマンは5つの指標をベースにしていますが、川島の主観も入れて、9個提案させて頂きます!良かったら日々の参考にして頂けると幸いです(^^;

1.ポジティブであれ

セリグマンは、人間の幸福についてポジティブな感情(positive emotion)を重視しています。

ポジティブ思考研究

高橋・森本(2012)は都内大学生234名を対象にポジティブシンキングにどのような効果があるかを調査しました。今回は調査の一部を紹介します。まずは以下の図をご覧ください。

人の長所を見つける

図を見てわかるように、他人のポジティブに注目すると、自分自身の幸福感が向上しています。人の長所を見つけると、好感を持ちますよね。好きは、幸せと関連した感情です。人の長所を見つける習慣をつけたいものです。

他者軽視が減る

また研究では、人のポジティブを見つけると、ネガティブ思考が減り、軽視することが減るという結果になっています。逆に言うと、人の短所ばかりを見つける人は、ネガティブ思考が増えて、幸せになりにくいといえそうです。

もっと深く理解を深めたい方はこちらのポジティブシンキングコラムを参照ください。

2.人生に意味を見出すのだ(meaning)

セリグマンは人生に意味を持たせることを重視しています。心理学の分野ではアイデンティティ確立の分野で盛んに研究されてきました。

アイデンティティ確立とは、「自分とは何者なのか」「自分は何のために生きているのか」ということを明確にしていくプロセスを意味します。

アイデンティティ確立と充実感

大野(1984)は「充実感」と「アイデンティティ確立」について調査を行いました。

その結果、以下のことが分かったのです。
・達成グループは充実感が高い
・毎日を健康的に主体的に生きている
毎日充実しない

逆に拡散型グループは
・毎日が楽しくない・・
・何となくむなしい・・

といった感覚になってしまうのです。私たちの人生は1度しかありません。是非、人生に意味を見出し、前向きに生きていきたいものです。

やりたいことが見つからない…という方はこちらのモラトリアムコラムもオススメです。

3.没頭せよ

フロー体験とは何か

セリグマンは幸せの指標として「没頭する」ことの重要性を主張しています。

心理学にフロー体験という分野があります。フロー体験とは簡単に説明すると、ある物事に没頭としていて、時間や自分を忘れて集中している状態のことです。

ミハイ・チクセントミハイ(2000)は「フロー体験 喜びの現象学」の中で、どんな状況でフロー体験が起こりやすくなるか説明しています。

チャレンジし続けること

上図のように物事に対しての「難易度」と「スキル」が両方を高い状態でフローが起こりやすいとされています。

皆さんが熱中したものを思い出してみましょう。その時間は、きっとそこそこの難易度があり、そして自分の能力を最大限発揮していませんでしたか?

そういったフロー体験の多さが人生を充実させる上で大事になるのです。

4.やりとげよ(achievement)

人生に意味を見出し、没頭できるものがあれば、きっとやり遂げることができます。これは言い換えると自己実現せよ!という意味にもなると思います。

心理学者のマズローは人間の欲求は下位から性質が変わってくると主張しています。マズローの欲求5段階説とは

いきなりの自己実現は難しいと思います。現実的には、1つ1つの段階を丁寧に生きていくことが大事になりそうですね。

5.人間関係を充実させるべし

セリグマンは人間関係を大事にせよ!と主張しています。

外出や交流が多い=幸せ

橘木・浦川ら(2006)は、貧困層と非貧困層の家族に調査を行いました。その結果、経済状況に関わらず、外食や旅行を定期的に行う家族の方が、生活満足度が高いことが分かりました。

気の置けない家族と屈託のない時間が幸福には必要なのかもしれません。

友人が多い=幸せ

以下は、我が国と諸外国の若者の意識に関する調査から引用した図です。ざっと眺めてみてください。

幸福論を友人の数から

図では「友人の数」と「希望」が分析されています。一番上の「友人が31人以上」の場合80%が将来に希望を持っている
ことが読み取れます。人間関係はとても重要だと言えそうです。

6.ユーモアを持つべし

人間関係を楽しむにはユーモアがとっても大事です。よく笑う人は免疫が強いという研究もあります。ユーモアについてはこちらの動画で解説しました。気軽にみてみてくださいね♪

7.時に甘えよ

ソーシャルサポートとは何か

私たちは、人生を通して様々な試練に直面します。この時、悩みを抱え込みやすい方は、ソーシャルサポートが不足しやすいことがわかってます。ソーシャルサポートとは

家族、友人や隣人などの個人をとりまく様々な人々からの有形、無形の援助を指す,Caplan (1974)

とされています。

自己肯定感に関わる

細田ら(2009)は中学生305名を対象に以下のソーシャルサポートと自己肯定感の関係について調査を行っています。その結果が以下の図です。

ソーシャルサポート 効果

数字は相関係数を意味します。プラスの値なので、ソーシャルサポートをもらうことで、自己肯定感が向上していくことがわかります。

人生を通して、自己肯定感が不足するようなことがあったら、素直に周りに甘えることも大事なのです。

なかなか甘えることができない…という方はこちらのソーシャルサポートコラムを参照ください。

8.感謝せよ!

感謝と幸福感研究

花井・宮本(2014)は大学生38名を対象にして感謝と幸福感の関連を調べました。この研究では、大学生を感謝群と印象群の2つに分けて実験が行われました。

そして1日の振り返りについて、
感謝群には
感謝したことを1つ思い出してください」
印象群には
一番印象に残ったことを1つ思い出してください」
と促したところ、次のような結果になりました。

感謝群と印象群の主観的幸福度の変化の図

感動したことを思い出した
感謝群は、
主観的幸福感は大幅に高まる

印象に残ったことを思い出した
印象群
は、
主観的幸福感はほぼ変わらない

幸福感と感謝は密接に関連

つまり、幸福感を高めるためには、感謝する機会を持つことが重要なのです。「頂きます」「ありがとう」「助かったよ」という感謝を忘れずに是非日々を過ごしていきましょう!

そういえば感謝が足りてないかも…という方はこちらの感謝の気持ちコラムを参照ください。

9.少々のお金がやはり必要

最後に現実的な話として「幸せとお金」ついて考えてみましょう。

年収は幸福に影響するのか

お金と幸福感の関連については、さまざまな研究がなされています。結論から述べるとお金は、1,000万円程度まで幸福感と連動しています。しかし、それ以上になると影響が小さくなるようです。

以下の図は、内閣府(2011)調査による「世帯年収と幸福感」に関するグラフです。
世帯年収と幸福感内閣府の調査

1000万までは幸福感変化

年収が増えたことで幸福感が大きく変動するのは

「①200万円未満~400万円に達するまで」
「②800万円~1000万円に達するまで」
の2段階があります。

逆に言えば、それ以外のポイントでは年収が上がっても幸せを感じないことが分かります。この調査から、ある程度の稼ぎが大事だが、1000万を超えるとそこまで影響しないと言えそうです。

幸福論 国が豊かだと幸せ?

国の発展度合いを測るときに用いられる、国内総生産(GDP)から幸せについて見ていきましょう。

以下の図は、一人あたりGDPの国際比較のグラフです。OECD諸国の中で日本のGDP平均よりも上となります(OECD,2010,factbookより抜粋、改変)。

幸福度調査GDPの表幸福論について

一方で、浦川(2011)という九州大学の教授がまとめた幸福度に関する研究では、OECD(経済協力開発機構)加盟国を対象とした調査で、日本はGDPは平均的な値にも関わらず、幸福感が平均より低いということがわかっています。

以下は、主観的Well-beingの国際比較のグラフです(OECD,2010,factbookより抜粋、改変)。主観的Well-beingの国際比較

GDPが、日本の3分の1以下のブラジルが日本よりも幸福感が高いのは、意外かもしれません。皆さんはブラジルにどんなイメージがありますか?一般的にブラジルは犯罪が多い国の印象ですが、カーニバルなど人生を楽しんでいるイメージもありますね。

このように、物やお金の豊かさが幸福感に直結するわけではないという事です。

発展コラム-幸福感とブータン

・幸せを重視する国
ブータン王国は、物が豊かになることが必ずしも幸福と繋がるわけではないと考え、これまでの説とは別の方法で考えようとしてきた国です。

一般的に国の発展度合いを測るのに用いられるのは、国内総生産(GDP)ですが、ブータン王国では、発展の度合いを測るのに国民総幸福量(GNH)使っています。

国民総幸福量とは、「国民全体の幸福度」を示す基準です。ブータン王国では1972年に初めて調査され、国の政策として活用されています。

・幸福度は4つの柱
国民総幸福量(GNH)には4つの柱があります。

1.持続可能な社会経済開発
長続きする経済が、人々の安定につながる。
2.環境保護
自然を守り、今後の発展に努める。
3.伝統文化の振興
テクノロジーが発達しても古きよき伝統を重んじること。
4.優れた統治力
優れた国王の統治によりに、国全体としての幸福度増加を目指す。

ブータンと幸福について、さらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・GNHの定義
・4つの柱
・9つの要素
幸福論「ブータンから学ぶ幸せの指標」GNHで幸せになろう

幸福論をブータン王国から学ぶ

ここで30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

講座の様子

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理学教室のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
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*出典・参考文献
浦川邦夫(2011),「特集 不安の時代と労働『幸福度研究の現状–将来不安への処方箋』」,日本労働研究雑誌,No.4,p4-16.
Deaton, A.(2008) “Income, Health, and Well-Being around the  World:  Evidence  from  the  Gallup  World  Poll,”  Journal of Economic Perspectives, 22(2), 53-72. 
高橋・森本(2012)ポジティブ側面への積極的注目に関する研究 : ポジティブ志向,主観的幸福感,ネガティブ認知,他者軽視との関連  学校教育学研究論集 26, 29-39, 2012-10-31 東京学芸大学
平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 内閣府
橘木俊詔・浦川邦夫(2006)『日本の貧困研究』東京大学出版会.
OECD Factbook (2010),”Economic, Environmental and Social Statistics”,p34,p241. 
エレーヌ フォックス 2014 脳科学は人格を変えられるのか? 文藝春秋
Seligman, M. E. P. 2002a Positive psychology, positive preventin,
and positive therapy. In C. R. Snyder, & S. J.
花井菜月・宮本正一 2014  感謝が主観的幸福感に及ぼす影響 東海心理学会第63回発表論文集
城 佳子 2013 大学生の自己開示・ソーシャルサポートが被受容感に及ぼす影響の検討 : 被開示スキルとの関連を通して 人間科学研究 34,63 -72 .