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幸福感とは何か?心理学研究,世界ランキング

公開日: 更新日:

幸福感とは何か?心理学研究,世界ランキング

はじめまして!公認心理師の川島達史です。今回は
「幸福感」
について心理学的な見地からお話していきます。

日本の幸福感ランキングは58位

世界ランキングの指標

国連は年ごとに、幸福感をランキング化した「World Happiness Repor」を発行しています。幸福感は心理学的に複雑な概念ですが、以下を指標としているようです。

・人口あたりGDP 
・ソーシャルサポート 
・健康寿命
・自由度
・寛容さ
・社会的腐敗のなさ

その結果、日本は総合評価で58位となっています。

日本幸福感ランキング

健康大国だが寛容さが低い

細かいトピックを見ると、日本は健康寿命は3位以内にランクインすることが多く、長寿大国と言えそうです。GDP、自由度、社会的サポートなどでは20位前後となっています。

特に順位が悪いのが「寛容さ」です。これは、ボランティア活動や寄付など社会奉仕的な意味があるのですが、90位前後となっています。

日本人というと、助け合いの精神が強いイメージがあります。ただ、周りには優しくとも、赤の他人を助けるまでは広がっていないのかもしれません。

世界ランキングはこちらのリンクから詳しく確認できます。興味がある方は参考にしてみてください。

セリグマンと幸福感

心理学の世界では、幸福感について実に様々な研究がありますが、今回はセリグマン(2000)が提唱した、「ポジティブ心理学」をベースにしたいと思います。

セリグマンは、1996年にアメリカ心理学会の会長に就任した大心理学者です。心理学会のイチローと例えればイメージが付きますでしょうか(^^;

セリグマン,幸福感

セリグマンはポジティブシンキングの基本的な柱として以下の5点を挙げています。

ポジティブな感情positive emotion
没頭できるものがあることengagement
前向きな人間関係positive relationship
人生に意味を見出すことmeaning
達成感achievement

皆さんはいかがでしょうか?もし今日々の生活に充実感がない場合は参考になるかもしれませんね。

 

友人が多い=幸せ

以下は、我が国と諸外国の若者の意識に関する調査から引用した図です。ざっと眺めてみてください。

幸福論を友人の数から

図では「友人の数」と「希望」が分析されています。一番上の「友人が31人以上」の場合80%が将来に希望を持っている
ことが読み取れます。人間関係はとても重要だと言えそうです。

感謝と幸福感研究

花井・宮本(2014)は大学生38名を対象にして感謝と幸福感の関連を調べました。この研究では、大学生を感謝群と印象群の2つに分けて実験が行われました。

そして1日の振り返りについて、
感謝群には
感謝したことを1つ思い出してください」
印象群には
一番印象に残ったことを1つ思い出してください」
と促したところ、次のような結果になりました。

感謝群と印象群の主観的幸福度の変化の図

感動したことを思い出した
感謝群は、
主観的幸福感は大幅に高まる

印象に残ったことを思い出した
印象群
は、
主観的幸福感はほぼ変わらない

幸福感と感謝は密接に関連

つまり、幸福感を高めるためには、感謝する機会を持つことが重要なのです。「頂きます」「ありがとう」「助かったよ」という感謝を忘れずに是非日々を過ごしていきましょう!

そういえば感謝が足りてないかも…という方はこちらの感謝の気持ちコラムを参照ください。

少々のお金がやはり必要

最後に現実的な話として「幸せとお金」ついて考えてみましょう。

年収は幸福に影響するのか

お金と幸福感の関連については、さまざまな研究がなされています。結論から述べるとお金は、1,000万円程度まで幸福感と連動しています。しかし、それ以上になると影響が小さくなるようです。

以下の図は、内閣府(2011)調査による「世帯年収と幸福感」に関するグラフです。
世帯年収と幸福感内閣府の調査

1000万までは幸福感変化

年収が増えたことで幸福感が大きく変動するのは

「①200万円未満~400万円に達するまで」
「②800万円~1000万円に達するまで」
の2段階があります。

逆に言えば、それ以外のポイントでは年収が上がっても幸せを感じないことが分かります。この調査から、ある程度の稼ぎが大事だが、1000万を超えるとそこまで影響しないと言えそうです。

幸福論 国が豊かだと幸せ?

国の発展度合いを測るときに用いられる、国内総生産(GDP)から幸せについて見ていきましょう。

以下の図は、一人あたりGDPの国際比較のグラフです。OECD諸国の中で日本のGDP平均よりも上となります(OECD,2010,factbookより抜粋、改変)。

幸福度調査GDPの表幸福論について

一方で、浦川(2011)という九州大学の教授がまとめた幸福度に関する研究では、OECD(経済協力開発機構)加盟国を対象とした調査で、日本はGDPは平均的な値にも関わらず、幸福感が平均より低いということがわかっています。

以下は、主観的Well-beingの国際比較のグラフです(OECD,2010,factbookより抜粋、改変)。主観的Well-beingの国際比較

GDPが、日本の3分の1以下のブラジルが日本よりも幸福感が高いのは、意外かもしれません。皆さんはブラジルにどんなイメージがありますか?一般的にブラジルは犯罪が多い国の印象ですが、カーニバルなど人生を楽しんでいるイメージもありますね。

このように、物やお金の豊かさが幸福感に直結するわけではないという事です。

 

ブータンと幸福指数

皆さんはブータン王国をご存知ですか。

ブータン王国といえば、世界一幸福な国を目指している国として有名です。ブータン王国では、「物が豊かになることが必ずしも幸福と繋がるわけではない」と唱えています。そのため、国の発展の度合いを測る基準には「国内総生産(GDP)」は使わず、国民総幸福量(GNH)使っています。

国民総幸福量(GNH)とは
国民全体の幸福度」示す基準です。

GNHは、1972年ブータン王国で初めて調査され、国の政策として活用されています。GNHは、4つの柱と9つの指標から成り立っています。

・GNHの要素:4つの柱

1.持続可能な社会経済開発
長続きする経済が、人々の安定につながる。

2.環境保護
自然を守り、今後の発展に努める。

3.伝統文化の振興
テクノロジーが発達しても古きよき伝統を重んじること。

4.優れた統治力 
優れた国王の統治によりに、国全体としての幸福度増加を目指す。

幸福論「ブータンの幸せの指標」

・GNHの要素:9つの指標

1.心理的幸福
物質的に満たされるのではなく、
精神面が満たされ幸福を感じられるかどうか。

2.時間の使い方とバランス
ワークライフバランスが取れた
暮らしを送っているかどうか。

3.文化の多様性
それぞれが地域に根付く文化を大切にし、
多様性を重んじれているかどうか。

4.地域の活力
皆が家族のように繋がりあうとともに、
集団として活気にあふれているかどうか。

5.環境の多様性
職場や住まいなどが多様であり、
活気にあふれているかどうか。

6.良い統治
満足できる・信頼できるような
統治が行われているかどうか。

7.健康
健康を重んじているかどうか。

8.教育 
すべての人が平等に、
教育を受けることができる。

9.生活水準
最低限度の生活が
保たれているかどうか。

ブータン王国は、幸せの国と呼ばれることが多いため、世界の幸福度ランキングも上位だと考える人が多いと思います。しかし、順位は日本よりも下です。

World Happiness Report (2019)では、幸福度世界ランキングが掲載されています。以下のグラフをご覧ください。

ブータン王国から学ぶ幸福論

まず、BEST3は
1:フィンランド
2:デンマーク
3:ノルウェー
という結果になっています。そして、日本は58位ブータン王国は95位という結果になっています。

BEST3と日本を比べてみると、
「人生を選択する自由」「寛大さ」で、大きな差がありますね。

BEST3の国は、仕事での残業時間が少なく定時に帰宅できる環境があるため、自由な時間が最大化できていると考えられます。また、日本は思いやり文化が根強い反面、失敗に対して寛容ではない側面があります。こうした完璧主義傾向が強い文化が、BEST3の国に及ばない結果につながっていると思われます。

・ブータン王国はなぜ幸福度が低い?

一方で、幸せの国と言われるブータン王国の幸福度がなぜ低いのか?気なりますね。

グラフからブータン王国は、
国民1人当たりのGDPが低いこと読み取れます。

冒頭でもご説明し通り、ブータン王国ではGDPをあまり重視していません。しかし、幸福度ランキングの調査項目の1つに、GDPが含まれているため順位が下落していると言われています。またブータン王国では、インターネットが解禁されたことで、スマホの普及が進み、情報過多になりつつあることから幸福度が低下しているのではないかという指摘もあります。

ブータンの指標から学ぶ幸福論

幸福度世界ランキングによるとブータン王国の幸福度は、現在低迷中と言うことがわかりました。ですから、ブータン王国は世界一幸せな国ではなく、あくまでも「目指している」「幸福を重視している」国と捉えると良いでしょう。

ブータン王国は、現在も国民総幸福量(GNH)にそって政策を進めている状況ですから、これからに期待!といえるかもしれません。ちなみに幸福度世界ランキングの測定項目には、「人生を選択する自由」「健康寿命」「寛大さ」といった項目があります。GNH9つの指標の「ワークライフバランス」「健康」「心理的幸福」などが良好であれば、幸福度世界ランキングも向上すると考えられます。

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
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*出典・参考文献
浦川邦夫(2011),「特集 不安の時代と労働『幸福度研究の現状–将来不安への処方箋』」,日本労働研究雑誌,No.4,p4-16.
Deaton, A.(2008) “Income, Health, and Well-Being around the  World:  Evidence  from  the  Gallup  World  Poll,”  Journal of Economic Perspectives, 22(2), 53-72. 
高橋・森本(2012)ポジティブ側面への積極的注目に関する研究 : ポジティブ志向,主観的幸福感,ネガティブ認知,他者軽視との関連  学校教育学研究論集 26, 29-39, 2012-10-31 東京学芸大学
平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 内閣府
橘木俊詔・浦川邦夫(2006)『日本の貧困研究』東京大学出版会.
OECD Factbook (2010),”Economic, Environmental and Social Statistics”,p34,p241. 
エレーヌ フォックス 2014 脳科学は人格を変えられるのか? 文藝春秋
Seligman, M. E. P. 2002a Positive psychology, positive preventin,
and positive therapy. In C. R. Snyder, & S. J.

World Happiness Report (2019) 978-0-9968513-9-8
花井菜月・宮本正一 2014  感謝が主観的幸福感に及ぼす影響 東海心理学会第63回発表論文集
城 佳子 2013 大学生の自己開示・ソーシャルサポートが被受容感に及ぼす影響の検討 : 被開示スキルとの関連を通して 人間科学研究 34,63 -72 .