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モラトリアム脱却法!今の自分を大切に⑤

モラトリアム脱却法!今の自分を大切に⑤

コラム①では、モラトリアムについて概観していました。重要な要素としては、「①意味や語源」「②メリットデメリット」「③モラトリアム脱却法」の3つでしたね。

今回は③モラトリアム脱却法について解説していきます。

脱却・対処方法

ここまでお読みいただいた方はお分かりの通りかもしれませんが、モラトリアムはしっかりとした過ごし方をすれば、さほど遠くないいつかには抜け出すことができます。そしてモラトリアムをしっかりと過ごした時間が土台となって、アイデンティティ形成へとつながっていきます。この期間を抜け出す方法・有意義に過ごす方法は3つあります。

①人生の責任を負う・他人事にしない
②期限を決める
③今の自分を大切にする

モラトリアム期間の過ごし方具体的に以下に説明していきますね。

①人生の責任を負う・他人事にしない
1つ目は、将来的に人生の責任を負うことを意識する点です。モラトリアムは、役割実験の時期として、色々なことにチャレンジができます。しかしその反面、1つのことに集中して何かに取り組むということが少ない期間です。

何か色々な事をやれるということはいいのですが、どこか責任を負うことなく「他人事」になりがちです。それを防ぐためにも、将来は自分の人生に対して責任を負うということを意識していただけるといいのではないかと思います。

②モラトリアムの期限を決める
2つ目は、モラトリアムの期限を決める点です。モラトリアムは、どこかで終わりにしなければなりません。そのため、いつまで色々なことを模索し続けるのか、モラトリアムの期間にするかを決めておく必要があります。学生の皆さんは、卒業までというのが1つの区切りになっていると思います。

ひきこもり状態の人が長期化する要因の1つに、卒業などのイベントを経験しにくいので区切りをつけるのが難しいという点があります。それだけ人にとって区切りというのは非常に大切なものです。そのため、何かのイベントをきっかけにする、あるいはご自身でいつまでかという区切りを決めておくことが大切であるように思います。

③今の自分を大切にする
3つ目は、今の自分を大切にする点です。モラトリアムの期間は、「本当の自分」といった存在や「自分らしさ」というものを探すことがあります。探すこと自体は、とても大切な作業だと思いますが、今までのあなたの人生や、今のあなたの生活の中にも「本当の自分」や「自分らしさ」という点は、転がっているように思います。

まずはそこから探してみることも大切な作業の1つであるように感じます。同じようにあなたの身近な人など、今持っているコミュニティの中で関わっている人たちもあなたの「自分らしさ」をよく知っている可能性があります。思わぬヒントがあるかもしれませんよ。まずは身近なものに目を向けてみましょう。

いかがでしょうか。モラトリアムは使い方・過ごし方次第で、あなたの人生を豊かにもします。その反面、不自由な生活を送る要因ともなりうるものです。しかしこの3点を意識すれば、そんなに悪い過ごし方にはならないのではないでしょうか。ぜひ、実践してみてください。

私たちは一生モラトリアム?

「モラトリアム」について色々お話ししてきましたが、私たちはずっと「モラトリアム」と言えるかもしれません。そして、その状態が、実は一番バランスが良いのかもしれません。

モラトリアムの影響

モラトリアムの良いところは、「色んな可能性を考えて生きていくことができる」ことです。現代では、自分の将来を1つに決めるということは、現実的になかなか難しい作業であることも多いのではないかと思います。「この仕事で生きていく」と決めた仕事が、ある日突然とあるできごとで続けられなくなってしまうことは、少なくないのではないかと思います。

そうした意味で大倉(2011)は、現代のアイデンティティを確立した人間とは、いろんな可能性を残しながらも主体的に生きていける「成熟したモラトリアム人間」としての在り方を説いています。

具体的にいうと、今の仕事を熱心に取り組む。しかし、定年まで勤められる保証はない。万が一のために転職できるよう準備をしているとか、資格を取るための勉強をしているとか、そんなところでしょうか。

色々お話ししてきましたが、あなた自身が気持ちの面でバランスの取れた生活を送ることができ、充実感を感じられるような毎日を過ごせていればなんでもありというところなのではないでしょうか。それが現代的なモラトリアムへの対処法と言えるかもしれません。

モラトリアムを抜け出そう

今回は、モラトリアムからの脱却法について解説していきました。「①人生に責任を持つ」「②モラトリアムの期限を決める」「③今の自分を大切にする」3つが脱却法でした。まずは、自分が取り組めそうなところから実践してみてくださいね。

ただ、モラトリアムは生涯に渡って訪れます。その時のために、これで一生を生きていくんだ!という心の誓うのではなく、ある程度柔軟性をもって自分の生き方を定めていきましょう。

専門家の講義を受けたい方へ

最後に、これまで「モラトリアム」コラムにお付き合いしていただき、ありがとうございました!日々の生活の視野が広がり、ちょっとした幸せに気づきやすくなり幸福を実感できる機会が増えると思います。

そして、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち臨床心理士・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション講座への参加をおススメしています。コラムだけでは伝えきれない知識や実践的なワークを進めています。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね(^^)

モラトリアムは大人になる前の準備期間!

目次

①意味や特徴・診断してみよう
②モラトリアムの意味や語源とは
③心理学研究「対人不安UP」
④簡易診断とチェック
⑤モラトリアム脱却法!

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
大倉得史(2011)「語り合い」のアイデンティティ心理学 京都大学学術出版会