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森田療法のあるがまま・精神交互作用

森田療法「あるがまま」と精神交互作用

はじめまして!公認心理師の川島です。今回のテーマは「森田療法」です。

  • 改善するお悩み
  • ・不安や恐怖に囚われがち
  • ・こだわりが強い
  • ・神経質になりがち
  • 全体の目次
  • 入門①森田療法とは?
  • 入門②あるがまま
  • 入門③目的本位・気分本位【動画有】
  • 入門④精神交互作用とは?
  • 発展練習問題
  • 助け合い掲示板

入門①~④を読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。是非入門編は最後までご一読ください。

もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもぜひお待ちしています。

森田療法とは?

はじまり

森田療法は、20世紀初頭に日本で導入された神経症の治療法です。

日本人である精神科医の森田正馬が考案した治療法で、対人恐怖症や赤面恐怖、視線恐怖などに対して利用されています。

「あるがまま」とは?

森田療法の治療では、患者が自分らしい「あるがまま」の生き方を受け入れるよう指導することを重視しています(心理学辞典,2013)。

森田療法のあるがままとは「気分や感情に囚われず、今自分がやるべきことを実行する、目的本位の姿勢」です。

不安な恐怖などの気持ちを、無理に打ち消すことはせず、前向きな目的に注意を向けることで症状の改善を目指していきます。森田療法のあるがままとは?実は森田自身、幼少の頃から神経症症状に苦しみ、大学時代には服薬もしていました。

ある時、服薬をやめ勉強に励んだところ、症状がなくなるという経験をします。これが森田療法につながったと言われています。

目的本位・気分本位

森田療法には、目的本位と気分本位という重要な考え方があります。この2点を中心に動画解説もあります。

気分本位は、自分の気分に任せて物事を判断してしまう考え方です。

たとえば、
「憂鬱だから、何ごともうまくいかないような気がする…」という捉え方です。このような考えから、回避行動をとることもあります。

一方で、目的本位は、自分の気分や症状がどうあっても、目的達成を重視してまずは行動する考え方です。森田療法では、目的本位を重視しています。

たとえば、気分が憂鬱でも、必要な仕事にまずは取組み、少しでもできたらOK!という考え方です。自分が抱いた気分はそのままにとにかく行動することを重視します。

その他、不安や恐怖などの感情も一緒です。不快な感情はそのままに、とにかく行動するというのがこの目的本位です。

精神交互作用とは?

森田療法の用語に、精神交互作用があります。

精神交互作用は、ある感覚に注目することで、その感覚が敏感になり、一層その感覚を注目してしまう状態です。

たとえば、
「見られる」という感覚に注目する

周囲の視線に対して敏感になる

一層見られている感覚が強くなる

という状態です。図にすると以下の通りです。

精神交互作用のメカニズム精神交互作用は、日常生活のさまざまな場面にあります。

精神交互作用の事例

ここで、精神交互作用の事例をいくつか見ていきましょう。

①眠れない花子さん
花子さん
・朝起きるのが苦手
・寝坊経験が何度かある
・明日は早朝新幹線に乗る

花子さんは、明日早く起きるために、早めに布団へ入りました。しかしなかなか寝付けません。

「早く寝なきゃ・・・」
「早く寝なきゃ・・・」

眠れないことに意識が向き、余計に眠れなくなってしまいました。

精神交互作用で眠れない事例

②緊張を強めた太郎くん
太郎くん
・昨年受験で失敗
・今年こそは合格したい

太郎くんは、第一希望の大学入試の会場へ向かう途中、緊張からお腹が痛くなってきました。

「緊張しちゃだめ・・・」
「緊張しちゃだめ・・・」

緊張が強くなり、お腹の痛みも増してしまいました。

精神交互作用で腹痛を強めた事例

③声が震えた経験をもつ和子さん
和子さん
・あがり症
・声が震えた経験がある
・人前で話すことが苦手

和子さんは、社内プレゼンを前に心臓がドキドキして、体が硬直してきました。

「声が震えてはダメ・・・」
「声が震えてはダメ・・・」

声の震えへの意識が強くなり、うまく話せませんでした。

精神交互作用の事例

このように、不快な症状への意識が集中することで、症状をより強めてしまう状態が精神交互作用です。

精神交互作用は、自分で自分の悩みを大きくしてしまうのです。

精神交互作用の引き金は?

なぜ精神交互作用は起きてしまうのでしょうか。

精神交互作用になりやすい人は「何らか良くない出来事が起こるのでは?」と想像して不安感を抱いてしまう傾向があります。

このような「また起きてしまうのでは…」という不安を予期不安といいます。予期不安は、過去の経験での失敗から、同じような状況でまた失敗するのでは想像する状態です。

つまり精神交互作用は、自分にとって不都合な状態に不安を覚えた結果、取り払おうと努力する気持ちが引き起こしているのです。

神経質な人や要注意

田中・塩見・吉岡(2002)は、大学生・専門学校、社会人439名を対象に、執着性格の研究を行いました。

この調査では、執着性格を「熱中性、徹底性、強い義務責任感」を持つ性格としています。

調査の結果、Y-Gという性格検査の神経質との間に、正の相関(相関係数=0.29, p<0.01)が見られました。これは、執着傾向と神経質には関連があるということを示しています。

つまり、神経質な人は執着しやすいと捉えることもできます。神経質になりがちと感じている人は、精神交互作用に注意が必要かもしれません。

「あるがまま」で悪循環を止める

不安や恐怖が大きくあった時には、森田療法のあるがままの考え方を取り入れていきましょう。ポイントは2つあります。

①不安はそのままにする

不安は取り除こうとせずそのままにして「やるべきことをやった」といった目的への達成感を重視してみてください。良い気分は後からついてきます。

②過剰な囚われは解放する

「人から良く見られたい」「いい人だと思われたい」「仕事を完璧にすべき」といった、自分のとらわれを解放しましょう。

願望や欲求はプラスの側面もあります。しかし、過剰に囚われると、思うような行動ができません。何ともならないことはそのままうけいれればOKです。心のゆとりを持つことが大切です。

発展編

ここから先は森田療法をより深く理解したい方向けに練習問題を用意しました。ぜひ取り組んでみてください。

森田療法の考え方を、練習問題で確認していきましょう。ポイントは「①不安はそのまま②過剰な囚われは解放」です。

練習問題1
田中くん
・就活中の大学生
・第一希望の会社面接
・事前の筆記テストがよくなかった

田中くんは、第一希望の面接を前に、不安な気持ちが強くなってきました。

「不安な気持ちをもたないように…」と思うほど、不安な気持ちが増している状態です。

面接で緊張する時の対処法

この場合どのように考えるといいでしょうか?

 

 

解答例
①不安はそのまま
「いま僕は不安な気持ちなんだ」
「不安なのはみんな同じ」

②過剰な囚われは解放
「事前の試験結果は気にしてもしかたない」
「準備したことを自分なり伝えればOK」

練習問題2
鈴木さん
・会話が苦手
・あがり症
・赤面することが有る

SNSで知り合った人たちとのオフ会に参加する事に決めました。はじめて会う人がたくさん集まるため、「ちゃんと話せるだろうか…」不安な気持ちが大きくなってきました。

あがり症で不安が強いこの場合どのように考えるとよいでしょうか?

 

 

解答例
①不安はそのまま
「私は、今不安なんだ。不安な気持ちを素直に伝えてみよう」
「初対面の人と会うのだから不安は当たり前」

②過剰な囚われは解放
「上手に話す必要はない」
「多少のぎこちなさはOK!無理なく参加しよう」

 

まとめ+助け合い掲示板の活用

まとめ

人生ではさまざまな経験をします。その中には失敗や思い出したくないような恥ずかしいことも経験するなかで、人生が豊かになっていきます。このことから、私たちが生活するうえで、予期不安を無くすことは難しいといえます。

面接やプレゼンで緊張したり息苦しくなるのは、当然の現象です。森田療法の「あるがまま」の考え方を取り入れて、不安や恐怖の症状を乗り越えていきましょう。

助け合い掲示板の活用

ページ下部には助け合い掲示板があります。当コラムは心理面の悩みを持つ方が多く集います。お互いの悩みや経験談など相談してみましょう。*お互いを思いやったご投稿をよろしくお願いします。

講座のお知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・ファンデンボス,G.R.(2013)APA 心理学大辞典,880
・田中宏尚・塩見邦雄・吉岡千尋(2002)SPI(下田式性格検査)の改訂版の作成とその有効性の研究(SPI改訂版の作成第2報). 熊本県立大学文学部紀要, 8, 59-72.