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心療内科・精神科における無気力症候群の治療とは

無気力症候群の原因に対処「失敗Ok!60%基準法」④

コラム①では、無気力症候群について概観していきました。解決策としては、「①タスクの難易度を見直す」「②アイデンティティの確立」「③失敗Ok!60%基準法」「④生活リズムを整える」「⑤精神科での治療」の5つでしたね

今回は、「①失敗Ok!60%基準法」について解説していきます。

完璧主義は無気力症候群を招く

完璧主義と無気力症候群

完璧主義な性格と無気力症候群がどう結びつくか?これはもしかしたら意外だったかもしれませんね。 完璧主義な人は、何事にも完璧を目指すため、わずかな失敗にも挫折感を抱き

完全を目指す
 ↓
うまくいかない
 ↓
挫折感を抱く
 ↓
自信がなくなり
無気力になる

の悪循環から、失敗を繰り返してしまう事があります。このような状態が続くと「失敗するぐらいならもうチャレンジしない!」と無気力になってしまいます。

失敗過敏型-完璧主義は要注意

例えば、飲み会での会話などを思い浮かべてみてください。完璧主義の方は、会話で失敗してはならない!と神経を高ぶらせます。しかし、飲み会の会話がいつもうまく行くわけはありません。沈黙になってしまったり、一生懸命お話しても盛り上がりにかけることがあるでしょう。ここで完璧主義の人はどうしても完璧な会話でないと気が済まないものです。

その結果、「完璧な会話にならないから飲み会には参加しない」と諦めてしまいます。そうすることで、逆にどんどん人間関係を狭め、社会性を失っていくのです。特に「失敗」を気にする完璧主義はより注意が必要です。減点法の完璧主義は無気力につながりやすくなります。

幸福感への影響

齋藤(2009)は、大学生474名に対して、完璧主義と心理的な影響について調査を行いました。その結果、消極的完璧主義(正確には失敗過敏)のある方は「集団にとけこめない」「人間関係の当惑」があることが明らかになりました。一方で、積極的完璧主義(高目標設定)を持つ方は、これらの傾向はなく、特に顕著な差として「幸福感」が高いことがわかりました。

 

上記の図の数字は相関係数と呼ばれるものです。簡単に説明すると、AとBをどれだけ関連があるかを示す数字で、心理学的には0.4~0.6の数値はある程度関連していると解釈していきます。消極的な完璧主義な方は「間違いをしていけない」「悪い印象を与えたくない」と考えるあまり、人に対して恐怖感を抱いてしまうのかもしれません。

無気力症候群と失敗OK

この心理状態を緩和するには「ほどほど」という感覚を持つことが大切です。この感覚が身につくと無気力症候群の予防にもなります。ここでは具体的に「ほどほど」の感覚を得られる2つの考え方のコツをご紹介しましょう。

①60%基準で考える
心理学的には所説ありますが、人間のモチベーションは達成可能性が60%程度だとモチベーションが高くなると言われています。すなわち10回やって成功する確率が6割ぐらいだとちょうどチャレンジしよう!といいう気持ちになるのですね。

②失敗回避→OK目標に変換! 
目標設定をするときは「~してはらならない」という失敗回避の目標よりも「~しよう!」というOK目標の方がモチベーションが上がりやすくなります。また実際に成功しやすいことも分かっています。失敗目標ではなくOK目標でチャレンジするようにしましょう。

もちろんあくまで一例なので、絶対的な基準ではもちろんないですが、参考として押さえておきましょう。

ほどほどの感覚で無気症候群を改善

練習問題で無気力を改善

以下に、無気力症候群の方に多い「完璧主義」な考え方が書かれています。「60%基準・OK目標」で考えてみましょう。

練習問題
あなたは初対面の人と2人きりで、30分ほど話すことになりました。あなたは「楽しい話をしなければ!絶対に退屈させてはいけない」と思っていました。しかし、そう思えば思うほど緊張して、うまく話ができなくなってしまいました。

「60%基準」で考えなおしてみましょう!

「OK目標」に変換してみましょう!

 

解答例

「60%基準」で考えなおしてみましょう!

⇒初対面で緊張するのはごく自然なこと。無理に隠そうとせず、マイペースな会話を心がければいい。緊張を隠す必要がないので60%で達成できる。

 

「OK目標」に変換してみましょう!

⇒相手を楽しませることにこだわらず、お互いを少しずつ理解しよう。

この問題では、初対面の人と話をしなければいけない状況でした。そしてあなたは、「絶対に楽しませなくては」と完璧主義に考えてしまい、結果的にうまく話せなくなってしまいました。ここで大事なのは、「絶対退屈させてはいけない」と考えてしまうことです。

これも完璧主義の人の特徴で、「絶対」という言葉を使いがちなのです。まず「絶対」は難しいと納得した上で、何でもいいから話をすることや、逆に「聞き役」に徹するというのが、無気力症候群の改善・予防にもつながる「ほどほど」の見方になります。

無気力症候群は予防できる

無気力症候群の改善・予防

無気力症候群の改善・予防にもつながる「60%基準・OK目標」はいかがでしたか。簡単に思いついた人もいれば、悩んでしまった人もいるかもしれませんね。うまく思いつかなかった人は、「こんな考え方もあるのか」と気付くことが大切です。

そこに気が付くと、だんだんと日常生活でも意識できるようになり、自然に「ほどほど」の感覚を取り入れることができます。コラムの冒頭でもお伝えしましたが、完璧主義は決して悪いことだけではありません。

そこから無気力症候群にならないために、「ほどほど」の感覚とうまく付き合って、無気力状態の改善はもちろん予防もして、活力ある生活を目指しましょう!

次回は「生活習慣の見直し」について解説していきます。

★「ほどほど」の感覚で無気力症候群を改善しよう

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目次

①無気力症候群-概観
②「失敗Ok!60%基準法」
③「アイデンティティ確立」
④「心療内科・精神科」での治療
⑤「生活リズムを整える」
⑥無気力症候群簡易診断

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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