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ナーバスを抜け出す改善策「コラム法」

ナーバスを抜け出す改善策「コラム法」③

コラム②では、ナーバスになる原因の1つ「完全主義」の解決策として、認知療法を紹介しました。現実的な認知をする練習を、ご紹介した3STEPで実践してみてくださいね。

今回は、ナーバスと付き合う方法の2つ目「コラム法で捉え方を広げる」についてご紹介します。

選択的注目は注意!

私たちはある出来事に対する認知(=捉え方)によって、気分や行動が変わることをコラム②でご紹介しましたが、ナーバスになりやすい人には、“選択的注目”という認知の誤りが多くあります。

選択的注目とは、最も明らかなものには目もくれず、些細なネガティブな事だけを重視する認知のありかたです(塚野, 2015)。

例えば、
友人から自分の性格について1つだけ改善点を言われたとします。

ナーバスな人は、全体的には褒められているにもかかわらず「自分の性格は悪い」判断してしまいます。

このようにナーバスな人は、こうした断定(選択的注目)ばかりすることで、不安や怒り、緊張などの不快な気持ちになりがちです。そのため選択的注目をやめて適応的に捉え直すことが、平常心でいるポイントとなりそうです。

自分の性格は悪い

確かにネガティブな点はあったが、
全体的には褒められた

選択的注目をしているために不快な気持ちになりやすいナーバスな人は、ぜひ認知療法で改善していきましょう。

ナーバスを認知療法で改善しよう

ナーバスな人は執着傾向が強い?

ここで、ナーバスな人と執着について示した論文を見ていきましょう。

神経質と執着しやすさの関連性を示した論文です。

田中・塩見・吉岡(2002)は、下田式性格検査法を改訂し、“神経過敏性性格”や“執着性格”などの7因子を得ています。

この中の“執着性格”は、「熱中性、徹底性、強い義務責任感」を持つ性格で、Y-G性格検査の“神経質”との間に正の相関(相関係数=0.29, p<0.01)が見られたと報告しています。

つまり、執着傾向と神経質には関連があるということを示しています。

ナーバスで神経質になっている人は、執着しやすいととらえることができるのです。事例をもとに見ていきましょう。

執着しやすいタナカさん-事例

タナカさんは神経質な性格で、ひとつの事にも執着するクセがあります。そのためネガティブな考えから抜け出せずナーバスになることが多くありました。

タナカさんは特に会話に敏感なところがあり、友人から言われた一言「タナカさんの声って個性的だよね」に囚われてしまい、ネガティブな考えを派生させています。

・自分の声は変わっている
・人とは違って普通ではない
・自分の声で周囲が嫌な気持ちになる

友人の一言から、周囲の表情や態度が気になってしまい選択的注目が活性化してしまいました。

そして、

・自分の声はやっぱり変だ
・自分の声で不快な気持ちになる人がいる

このように決めつけるようになってしまい、ナーバスな気持ちが強まってしまいました。

そこでタナカさんに、選択的注目をしていることに気づいてもらい適応的な認知を考えていくことにしたところ、つまらない一言に執着しすぎていたと理解することができ、ナーバスな気持ちをゆるめ安心さえ感じることができるようになりました。

執着をゆるめよう-練習問題

ここからは、ナーバスを強めている執着を緩和する方法を具体的に解説していきます。

今回は、認知療法のコラム法を使って行きます。紙とペンを用意してくださいね。

STEP1:「状況」と「感情」を整理する
まずは、状況と気持ちをします。用意した紙に、状況を1文程度で書き出していきます。そしてその状況での感情について、種類と強さ(0~100)を書き出しましょう。

①状況
・会社で挨拶をしたのに返事がなかった。
②感情
・落ち込み(80)
・怒り(50)

STEP2:「考え」と「根拠」を整理する
STEP1で書き出した状況について、浮かんできた考えやイメージと、根拠を書き出しましょう。

③考え・イメージ
・無視されたのは自分だけ。自分は嫌われている。
④根拠
・相手に聞こえる声だったのに返事がない
・ほかの人とは挨拶をしていた

STEP3:反証し適応的に考える
STEP2で浮かんだ考えやイメージ、その根拠に対して、もっと他の見方が無いかを考えていきます。出来事のマイナス面だけはなく、プラス面に気づくことも大切です。そして、STEP1で取り上げた状況で適応的な考え方は何かを導き出します。

⑤反証
・挨拶をした時ちょうど電話が鳴っていた。
・挨拶には気づかなかったのかもしれない。
・他の人と挨拶をしたのは、電話をしていなかった時だった。
⑥適応的な考え
・返事ができなかったのは、電話に気持ちがいっていたのかもしれない。
・自分だけが無視されたと考えるのは、選択的注目だったかもしれない。

STEP4:感情の種類と強さをチェック
STEP3で適応的な考えをした時の気分はどうですか?STEP1で出した、感情の種類について改めて強さを出してみましょう。

⑦感情の再チェック
・落ち込み(20)
・怒り(10)

コラム法の手順を進めるなかで、ネガティブな感情を軽減することができましたね。

・落ち込み(80)⇒(20)
・怒り(80)⇒(10)

ナーバスな気持ちをコラム法で対処それではみなさんも以下の流れでコラム法を実践してみましょう!ナーバスな気持ちになる出来事や気になっていることを整理してみてくださいね。

①状況は?

②その時の感情は?

③その時に浮かんだ考えやイメージは?

④根拠は?

⑤反証は?

⑥適応的思考は?

⑦今の気分はどれくらい?

 

執着をゆるめてナーバスと上手に付き合おう

今回は、些細な事にこだわりすぎることでナーバスを強めている場合の対処法としてコラム法をご紹介しました。実践する中で、執着をゆるめてナーバスな気持ちを上手に付き合ってくださいね。

次回は、ナーバスと付き合う方法の3つ目「森田療法で受け入れる」についてご紹介します。お楽しみに!

★ナーバスの原因「執着しすぎ」はコラム法で対処しよう

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
田中宏尚・塩見邦雄・吉岡千尋(2002)SPI(下田式性格検査)の改訂版の作成とその有効性の研究(SPI改訂版の作成第2報). 熊本県立大学文学部紀要, 8, 59-72.
塚野 弘明(2015)認知行動療法の理論と基本モデル. 岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要, 14, 451-459.