>
>
>
パニック障害とは何か?意味や定義を解説②

パニック障害とは何か?意味や定義を解説②

コラム①では、パニック障害の改善を妨げる原因と対応法についてご紹介しました。振り返りになりますが、ここからは詳しく1つ1つのポイントを見ていきましょう。

今回はパニック障害の意味や定義を解説していきます。

パニック障害の原因と適切な対応法を解説

パニック障害の定義

そもそもパニックとはどのような状態を指すのでしょうか?心理学的には、「強い緊張」「激しい混乱」「急激な不安」を意味します。症状が強い場合は「パニック障害」という診断名がつくこともあります。パニック障害とは、動悸、心悸亢進、息切れなどのパニック発作を繰り返し起こす精神障害とされています。

パニック障害になるとパニック発作を繰り返し起し、予期不安が生じます。これに回避行動や広場恐怖が伴う場合もあり、中には強い不安のために外出がままならなくなる方もいます。まずはよく使われる言葉を簡単に説明します。

パニック発作
前触れなく突然、心臓がばくばくする、息ができなくなる、めまいがする、冷や汗をかく、手足が震える、などの症状が10〜30分持続し、強いときは死の恐怖を味わう発作のことです。

予期不安
パニック発作が起きた後、“また発作が起こるかもしれない”と不安が強くなること。パニック発作を起こすことを持続的に懸念している状態があたります。予期不安があるかどうかはパニック障害の診断の際に非常に重要です。

回避行動・広場恐怖
以前パニック発作が起きた場所や発作が起きたら逃げられない場所を避けるようになること。例えば、地下鉄や飛行機、映画館など。パニックになると助けが得られない、あるいは逃げ出しにくい状況や場所に対して恐怖心をもつのです。

パニック障害の特徴

パニック障害について以下の13の特徴のうち、4つ以上ある方は注意が必要です。

① 動悸、心拍数の増加
② 発汗
③ 身震い・震え
④ 息切れ
⑤ 窒息感
⑥ 胸痛またか胸部の不快感
⑦ 腹部の不快感
⑧ めまい、気が遠くなる感じ
⑨ 寒気または熱感
⑩ 異常感覚
⑪ 現実感消失 離人感 
⑫ 抑制感喪失
⑬ 死ぬことに対する恐怖

1か月以上続く場合は、特に精神科や心療内科の受診をお勧めします。典型的な例でいうと、何の前触れもなしに動悸がしてきて息苦しくなり、汗をかき始め、このまま死んでしまうのではないかという恐怖に襲われるのがパニック発作です。これらの症状は10分以内にピークに達し30分以内におさまるというのも特徴です。あまりに激しい症状と苦しさのため、救急車を呼ぶ人もいるほどです

後山ら(2002)の研究では、パニック発作の症状について調査が行われています。婦人心療外来・更年期・閉経外来で治療した1365名の中から、パニック障害と診断した111例を対象に医療面接で調査を行いました。以下の図は「初回パニック発作の症状の強さ」を表しています。

パニック障害

青いグラフは精神的な症状、赤いグラフは身体的な症状を示しています。なかでも群を抜いて強いのが、「動機」であることが分かります。呼吸が早くなり、場合にはよっては過呼吸になってしまうこともあります。精神的な症状よりも、身体反応の方が強く出ていますね。

20代までに発症する傾向

・パニック障害の疫学
パニック障害はそれほど珍しい病気ではなく、100人に2人ほどの割合で罹患すると言われています。早ければ10代から、多くは20~30代で発症します。男女差はあまりありませんが、女性の方がやや多いようです。以前は心臓神経症や不安神経症と呼ばれていました。

・パニック障害は精神疾患の合併が多い
パニック障害の35%にうつ病が併存するという調査があります(Kessler , 2006)。うつ病以外にも、不安障害(全般性不安障害や社交不安障害など)を合併することがあると言われています(藤井ら, 2016)。このように、パニック障害はその他の精神疾患を合併することが多いと考えられます。

気づかれないパニック障害
パニック障害を発症する人は100人に2人くらいです。アメリカで行われたNCS調査(1990-92、2001-02)によると、その割合は増加傾向にあります。パニック障害の発症年齢は幅広いですが、20代前半と30代半ばで発症している人が多いです。(図1)。

見極めが難しい

また、パニック障害には、他の精神疾患や身体疾患と混同されてパニック障害を患っていることに気づかないという特徴があります。パニック障害は、社交不安障害やうつ病といった他の精神疾患と合併して発症していることがあり、その見極めが難しいときがあります(川上、2006)。

貝谷(1997)は、パニック障害には動機や発汗などの身体症状も見られるため、患者は内科や循環器科を訪れるケースがあることを報告しています。身体的な不調のみに注目して何年も症状が改善されないというケースは珍しいものではありません。

パニック障害を理解しよう

上記の通り、パニック障害は動悸や息切れをともなう精神障害の1つで、発症に気づくのが難しい傾向があります。早期発見が遅れることで、症状の改善が困難になることもあるため、少しでも思い当る節がある人は専門機関に向かうことをオススメします。

次回は、「パニック障害の心理学研究の現状」についてご紹介します。

★パニック障害は「動機」「息切れ」伴う精神障害!

次のコラムへ進むボタンはもう少し下にあります。コラムだけでなく心理の専門家の講義を受けてみたい!という方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。特に対人場面での不安や緊張との付き合い方について講義をしていいます。

目次

①パニック障害-概観
②意味や定義を解説
③心理学研究の現状
④自分の状態をチェック
⑤「呼吸法」で症状を軽減
⑥「認知再構成法」-不安緩和
⑦エクスポージャーで克服

 

コメント

1件のコメント

コメントを残す

    • みきてい
    • 2019年6月22日 1:59 PM

    うつ病➕パニック障害もってます。
    一日中続く呼吸困難が辛かったのですが(普段から呼吸が浅い)、この方法で発作も未然に防ぎ、一日楽に過ごせるようになりました。ありがとうございます!!!

    0

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

Kessler RC et al. (2006)The epidemiology of panic attacks, panic disorder, and agoraphobia in the National Comorbidity Survey Replication. Archives of General Psychiatry, 63, 415-424.
NCS調査(National Comorbidity Survey) 1990-92、2001-02
貝谷 1997 「パニック障害」 頻度と特徴
後山ら(2002)婦人心療外来で治療したパニック障害の発症状況と臨床像の調査 2002 年 7 巻 1 号 p. 76-80