>
>
>
心理学の歴史・心理療法の種類・効果を活かすポイント

心理学の歴史・心理療法の種類・効果を活かすポイント

みなさん、はじめまして!私は臨床心理士として、現在悩みを抱えた人や心の病気を抱えた人へのカウンセリングや、心理学の視点からコンサルテーションを行っています。

今回は心理学のさまざまな種類の技法の中から「心理療法」について、心理学の歴史、効果を活かすポイントを交えながら解説します。心理学がより身近になり日常生活や仕事、学習でいかしていただけたらうれしいです。目次はこちらです。

  • 心理学の歴史
  • 三大心理療法とは?
  • 心の全体図を示す精神分析
  • 行動療法と4種類の用語
  • 来談者中心療法とは
  • 日本における心理学の歴史
  • 3種類の日本発祥の技法
  • 学び方・活かし方

しっかりと解説していきたいため、全部で8分程度かかりますが、ぜひお付き合いください。

心理学の歴史。はじまりと三大心理療法

心理学の始まりは16世紀半ばころと言われています。心理学の考え方ができるまでは、心の病気については、医学や物理学、自然科学、哲学などの学問が用いられていたため、心理学の考え方が始まったとされる16世紀半ばころは、哲学的な思考が強かったようです。

心理学の基礎をつくったのは、ドイツの医師 フランツ・アントン・メスメルです。メスメルは、カウンセラーとクライエント(患者)の間に「信頼関係」を築く、暗示療法という催眠術を開発するなど、新しい概念をつくったことで、その後の理論に大きな影響を与えます。

そして19世紀にはいると、ドイツの心理学者のヴントが世界で初めて大学に実験室を創り、心理学という学問が成立し発展していきます。

三大心理療法とは?

心理学では「心をどのように捉えているか」という考え方の違いから、さまざまな種類の分野、理論に分かれます。現在は400種類以上あるといわれていますが、大きくは4種類に分けることができます。

1:精神分析的アプローチ
2:(認知)行動的アプローチ
3:人間性アプローチ
4:システムアプローチ

そしてこれらの中でも、こちらの3種類の理論については心理学の世界で「三大心理療法」「三大勢力」と呼ばれます。

1:精神分析療法
2:行動療法
3:来談者中心療法

代表的な3種類の理論にはどのような歴史があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう!

1:精神分析療法の歴史・用語の種類

精神分析とは、ドイツの神経科医ジークムント・フロイトが創始した「心の内面を理解するための全体図を示した」理論で、その後の心理学に大きな影響を与えました。

フロイトは、人間は発達・成長していく過程で心の中に変化が起こると考えました。人間は、もともと持っている本能が満たされると、成長とともに理性的に変化するというものです。フロイトはこの内面を次のように呼びました。

本能⇒「イド(エス)」(~したい)
理性⇒「超自我」(~してはいけない)

本能「イド(エス)」と
理性「超自我」が対立する中で、
2つをコントロールする機能⇒「自我

このように心の内面を用語や考え方でまとめ、全体図に示しめすのが精神分析です。

自我とは?

ここで精神分析について、日常生活で考えてみましょう。

実は私、甘いお菓子が大好きなのです。

ケーキもお饅頭も、クッキーもスナック菓子もなんでも好きです。好きだからといって、食べたいだけ食べてしまったら、どうなるでしょうか…?

心理学の歴史や種類を解説

そうですね。
太ってしまいます。もしかしたら病気になってしまうケースもありますね。

この時の心の状態を考えてみましょう。

「食べたいよぉ…」と思う、
本能が⇒イド(エス)
「食べすぎは体に悪い」という、
理性が⇒超自我

この、対立した気持ちと考えについて、心はどうしているのでしょうか?

「今日はこのくらいでやめておこう!」と、
本能と理性のバランスをとります。
これが「自我」と、精神分析では呼びます。

無意識・抑圧とは?

ここで、フロイトの有名な理論「無意識」と「抑圧」についてみていきましょう。

フロイトは、人間の心には意識的な心と無意識的の心から成り立っていると考えました。

・意識的な心
 私たちが感じることのできる心の内面
・無意識的な心
 私たちが気づかない心の内面のさらに奥底

フロイトはこの2つを「心の氷山」とたとえて、海から見える氷山の部分を「意識」、隠れている大部分を「無意識」と捉えています。

そしてフロイトは無意識の葛藤が(昔で言われた)神経症を引き起こすことに気づき、神経症の治療に無意識」が大変重要な役割を持つことを発見しました。

無意識とは?

無意識と言う言葉から、どんな状況が思い出されますか?

たとえば、
「ぼーとしたせいか、コーヒーに砂糖を入れるつもりが塩を入れてしまった」

このような状況も無意識のひとつです。しかし、精神分析での、無意識はさらに心の奥底の事を意味します。

なぜ、塩をいれたのか…?
「うっかりしていた」
「別の事を考えていた」

塩をいれた理由は、さまざま出てくると思います。この「なぜ?」と質問してみるとわかるようでわからない…この人間のわからない「なぜ?」の裏側を分析するのが精神分析です。そして精神分析では、このわかるようで、わからないことを「抑圧と呼びます。

ネガティブな「抑圧」⇒心の病気

抑圧とは「意識的にわからなくするために、心の奥底の無意識に押し込めている状態」のことで、抑圧された気持ちの多くは、

・欲求
・受け入れにくいネガティブな感情
・幼い頃の記憶体験
がもとになっていると考えられています。

この「無意識」に「抑圧」された気持ちが昔の神経症や心の病気を引き起こすとフロイトは考えました。

ドイツから世界へ発展

心の全体図を示したことで、精神分析は心理学、神経・精神医学界でたいへん有名になりました。そしてフロイトにはたくさんの弟子がつき、新しい心理療法の理論が世界中に広がっていきます。

しかしフロイトの理論は、当時のドイツではタブーとされた、性的な内容を含む衝撃的な内容であったため、多くの批判も受けました。そのため弟子たちはフロイトの理論に、自分の理論を付け加え改良した形で世界へ広めていく形となりました。

2:行動療法の歴史・用語の種類

つづいては、「行動療法」について見ていきましょう。

行動療法は1950年代アメリカでつくられた心理療法で、心と人の行動に注目をした「行動主義心理学」が土台になっています。アメリカでは、ドイツで始まった心理療法が発展し、さまざまな種類の治療理論が作られますが、その中でも行動療法は知名度が高く、ハンス・アイゼンクが「行動療法と神経症」という本を出版し、心の病気が科学的に証明できる治療法として有名になりました。

行動療法は「精神分析」とはまったく反対の考え方のため、精神分析の「無意識」という考え方を、目に見えない曖昧なものだと言い批判しています。

行動療法では、「心を客観的に捉えよう」ということに重きを置きます。心の病気は、行動の習慣が引き起こすと考えに基づくため、心の病気を引き起こす行動を消去し、新しい行動を再び学習すればよいという、「学習理論(=S‐R理論)」が土台になる心理論です。

「学習理論」とは?4種類の用語

学習理論では、「身体や心が反応する刺激に対し人がどのような反応や行動を起こすのか」を分析します。そして問題となる行動を、正しい行動に修正するのです。

日常生活の中から考えてみましょう。生活の中に変えたいけど、なかなか変えられない…そんな習慣はありませんか?

たとえば私の場合、
リビングでテレビを見ながら寝てしまう…。明日こそは布団で寝るぞ!と思うのですが、なかなか変えられない…。

これをもとに「学習理論」を考えてみましょう。

学習理論を元に心理学の歴史や療法の種類を解説

テレビをつけると、光や音が流れます。
この音や光などを⇒「刺激(S)
そして、テレビを見ていてだんだん眠くなる…。この状態を⇒「反応(R)
そして、とうとうソファの上で寝てしまう…。この状態を⇒「行動
そして、もしかしたらリビングで眠っている私に、毛布をかけてくれるパートナーがいるかもしれませんね。このような行動を強めてしまう要素を「強化子」と呼びます。

私たち人間は、刺激と反応による行動を積み重ねていくうちに学習し、習慣化します。直したい!と思う行動については「刺激・反応・強化子・行動」を分析することで、問題となる行動を修正することができます。

取り上げた内容は、日常の何気ない習慣ですが、学習した行動が心の病気の引き金になることもあります。行動療法はそのような場合に利用する心理療法です。

3:来談者中心療法の歴史・用語の種類

3つ目の「来客者中心療法」もアメリカで生まれた理論です。

来談者中心療法は、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャースが提唱した理論で日本には1940年代ごろ導入されました。この理論は、行動療法が発展したおよそ10年後、1960年に登場する「人間性心理学」という理論の基礎となっています。

ロジャースは、アメリカで発展した行動療法や医学の要素が入っていた精神分析を批判しており、心の病気を抱えた対象者を「患者」ではなく「クライエント(依頼人)」と称した初めての人物でもあります。

自己理解で悩みを解決

来談者中心療法では、人は「成長・自律・独立等」に向かうという考えがあります。そのため来談者中心療法では、カウンセラーはクライエントの話をじっと聴く「傾聴」が重視され、クライエントの話をじっくり聴くことで、クライエントの気持ちに共感的に理解をします。その結果、クライエントは自らの力で立ち直ることができると考えられています。

また来談者中心療法では、「理想の自分(自己)と現在の自分(体験された自己)のずれが大きいと心の病気が引き起こされる」という考えがあります。これはロジャースが提唱した自己理論という考え方で、理想の自分を見つめなおしていくことで自己理論での悩みを解決できるとしています。

日本の心理学の歴史・3種類の療法と効果

ここまでは心理学のはじまりとして、海外で発展した3種類の心理療法をご紹介してきした。ここからは日本での心理学の歴史、療法の種類などを見ていきましょう。

日本に心理学が上陸したのは、19世紀 明治時代初期の頃です。1889年には、現在の東京大学に日本で初めての心理学実験室がつくられました。

日本での心理学のはじまりは、ドイツやアメリカとそれほど遅れをとってはいませんでしたが、当時は欧米の新しい文化を取り入れることが推進されていたため、日本からドイツへの留学が多くありました。

そして20世紀にはいり、ドイツで発展した心理学の理論や治療技術の知識は、日本国内にどんどんと広がり、第一次世界大戦後もつづきます。当時から現在に至るまで、医学の世界ではドイツ文化が重宝されています。

第二次世界大戦後の日本は、アメリカの文化に影響を受けました。そのため、行動療法などアメリカで発展した方法が日本に広まります。

日本で生まれた3種類の理論

心理学の療法では、ドイツやアメリカの影響を受けてきましたが、日本で生まれた心理療法もさまざまな種類があります。ここでは代表的な心理療法を3種類見ていきましょう。

森田療法
森田療法とは、1919年 精神科医の森田正馬(もりたまさたけ)によって創始された心理療法です。

気分に左右されずにやるべきことに集中するという態度が重視されており、「あるがまま」や「恐怖突入」といった言葉が有名です。森田療法は、仏教の「禅」の思想を取り入れて作られています。

内観療法
内観療法とは、僧侶でもある吉本伊信(よしもと いしん)によって創始された心理療法です。この治療法にも、森田療法と同じく仏教の考え方が取り入れられています。

内観療法の基礎ができたのは1940年代で、1960年代以降には精神医療現場や教育の現場や企業にも広まったといわれています。内観療法は森田療法とともに、「東洋的心理療法」と呼ばれることもあります。

臨床動作法
臨床動作法とは、1960年代後 臨床心理学者の成瀬吾策(なるせごさく)によって創始された心理療法です。

この療法はもともと、脳性まひなどの子どもの肢体不自由の訓練のために開発されましたが、現在ではスポーツ選手のトレーニングなどにも応用されています。

日本の心理学の歴史・3種類の療法外国の理論は文化的な違いや、翻訳の段階でニュアンスが異なることがありますが、日本の理論は文化的な違いはありません。この点で、ご紹介した3種類をはじめ日本生まれのさまざまな療法は、日本人になじみやすいというメリットがあります。

さまざまな種類に対応!学び方・活かし方

心理学の考え方は、カウンセリングなど支援者になるためだけのものではありません。毎日の生活に役立てたい、これからもっと詳しく知りたいという方にも心理学は勉強する価値は十分あります。

ここで心理学の学習を進める上でのポイントをご紹介します。

1:「気づき」や「治癒する力」を支援
人には、自分で自分を治す「治癒力」が備わっています。この治癒力を手助けするのが、心理療法です。そして、治癒する力があることを悩んでいる人本人も気づき、理解する必要があります。心理学の療法では、治癒するためのプロセスや考え方、自分の心の内面などを、悩んでいる人はカウンセラーとともに「気づく」ことが必要です。

2:心の病気についての理解
心理療法は、昔から精神病などの心の病気の治療に使われており、現在でも多くの心の病気に使われています。もっと詳しく知りたい場合は、精神病などの精神医学・精神症状について学ぶと理解が深まります。性格検査や知能検査などの「心理検査」について知ってみるとより専門的な勉強ができます。

3:考え方の理解をふかめよう
心理療法を学ぶと、「これを使ったらどんな効果が出るだろう…」など技術を試したくなります。もちろん、技術について理解を深めることも大切です。しかしまずは、心理学の歴史や概念について、疑問をもち理解することで、本当に効果のある技法として身につけることができます。

それぞれの療法については、心理療法一覧でご覧いただくこともできます。いずれもわかりやすく、専門的な立場から書かれていますので、ぜひ読んでみてくださいね!

心理学の考え方を活かそう!

心理学の療法や考え方は、治療目的だけでなく、日常の悩みについても活かすことができます。

1:困った時に解決策を探すことができる
困ったことが起きたときや悩みを抱いたときに「どんな対処をすればいいのかわからない…」こんなときに、心理療法の考え方はとても役に立ちます。

心理療法を使えば、何を・いつ・どんなふうに自分が悩んでいるのか整理することができ、何を・どうやって解決すればよいか順を追って考えることができるようになります。

2:困った時に落ち込みすぎないでいられる
困ったとき、悩んでいるとき、失敗したとき…人は落ち込んだり反省したりします。しかし、落ち込みすぎて自分を責めすぎてしまうと、メンタルヘルスが崩れ心の病気になってしまう可能性もあります。心理療法の考え方を学ぶことで、心の安定を保つことが期待できます。

3:悩んでいる人へ手助けができる
周囲の人からの相談に「どんな言葉をかけたらいいのかな?」「解決策を見つけたいが…」と考えることがあると思います。

心理療法を学ぶと、上手に話を聴くことができるようになり、相手が話しやすい雰囲気も作ることができます。そして、「もしかして〇〇っていうことで悩んでるのかな?」と相手の話をまとめたり、代弁したりすることもできるようになり、さまざまな場面で活かせるスキルになります。

心理学の歴史やさまざまな種類の療法を解説なお、心理学の療法はむやみに行うと、悩んでいる相手の心に負担をかけてしまったり、自分の心も辛くなってしまったりすることがあります。悩みが重く解決することが難しい場合にはカウンセラーなどの専門家に相談するようにしましょう。

専門家の講義を受けたい方へ

さいごに、心理学コラムにお付き合いしていただき、ありがとうございました!みなさんの生活にご活用頂けるととてもうれしいです。もしコラムを読んで、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち臨床心理士・精神保健福祉士が開催している、心理療法講座へのご参加をオススメしています。

詳しくは下記看板をクリックして頂けると幸いです。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!お待ちしています(^^)

心理学講座

コメント

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→