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レジリエンスを高めるABC理論で精神的回復力を鍛える

レジリエンス


レジリエンスを高めるABC理論!精神的回復力を鍛えよう②

コラム①では、レジリエンスとは?レジリエンスが発揮できない原因や高める方法についてご紹介しました。レジリエンスを高める方法は「①論理療法のABC理論」「②正のストローク」「③ソーシャルサポート」の3つでしたね。今回は、レジリエンスを高める方法の1つ目「論理療法のABC理論」についてご紹介します。

レジリエンスを発揮するために、基礎となるのが、「心のコントロール力」です。レジリエンスとは、辛いこと、苦しいことがあったときに、そこから柔軟に回復する力を意味していました。そのためには、自分の心を客観的に把握し、環境に適応するように整えていく必要があるのです。ここで役に立つのが論理療法のABC理論です。この理論を知ると、困難に立ち向かう力を養うことができます。

イラスト:倫理療法のABC論を知って、困難に立ち向かう人

論理療法のABC理論とは?

ABC理論とは、アルバート・エリスによって提唱されました。出来事をどのように捉えるかで、落ち込むのか、不安になるのか、平常心のままでいられるのかが変わってくる、ということを解いています。ABCの具体的な意味は次の通りです。

A=Activating event 出来事
B=Belief system 信念(捉え方)
C=Consequence 結果(沸き起こる感情)

例を挙げてみましょう
A出来事 :付き合っていた異性とお別れした
B信念  :2度と彼(彼女)のような人と絶対出会うことはない
     もう恋愛を2度とすることはない
C感情  :異性への興味がなくなる

イラッショナルビリーフ

ABC理論では人間の心理はこのような段階を踏んでいくと考えます。ここで、Bの信念のうち、不安や落ち込みにつながるような信念をイラショナル・ビリーフ(Irrational Beliefs)と呼びます。上記の例ですと、異性への興味が減退しています。絶対~ない・・・と言い切っているような極端な言い回しはイラッショナルビリーフとして考えていきます。

ラッショナルビリーフ
逆に、現実的で前向きな考え方、逆境を成長の糧にするような考え方をラショナルビリーフと言います。「彼(彼女)はとても魅力的だったが、これからまた会う異性には別の魅力があるはずだ。この経験に感謝して、新しい出会いを探そう!」と考えたらどうなるでしょうか。C:異性への興味は持続しそうですね。このように、自分自身の心をマイナスにするのではなく、充実したものにする考え方を大事にします。

レジリエンスを高めるABC理論

ここで、ABC理論では、イラショナル・ビリーフをいかにラショナル・ビリーフに書き換えることができるかを重視します。レジリエンスの獲得にとても重要なポイントだと言えます。

ここでよくあるイラショナルビリーフについて確認していきましょう。

①“絶対~なければならない”
例えば、「絶対に成功しなければならない」などの信念を持っていると、少しの失敗であっても大きなピンチのように感じられてしまいます。このような極端な言い回しはイラショナル・ビリーフにつながりやすいのです。できれば「~であるに越したことはない」「~もいいが~もいい」といった言い回しを使うとレジリエンスが高まるでしょう。

②破滅と考えない
思い通りにいかないことがあった時、誰でもいやな気持ちになるものです。だからと言って、もうおしまいだ、のように破滅的な考え方に陥ると気分はもっと暗く重たくなってしまいます。無理にポジティブに考える必要はありません。「今は最悪だが、これから先もう少しましなことも起こるだろう」といった具合に考えるとレジリエンスを高める事ができるでしょう。

③白黒思考
白黒とつけたがるような極端な言い回しはイラショナル・ビリーフにつながりやすいので注意が必要です。「絶対嫌われた」「不可能」「必ず印象よく見られなくてはならない」このように白黒つけるような極端な言い回しには気を付けましょう。

イラスト:イラッショナルビリーフからラッショナルビリーフの見方に変身した人

実践!レジリエンスのトレーニング

それではここでABC理論を使いながらレジリエンスを高める心理トレーニングに取り組んでみましょう。

練習問題1(難易度★☆☆)
A(出来事)
ナオキさんは大学4年生です。趣味のサークル活動でサッカーをしていたところ、足を骨折してしまいました。全治は3か月で、大学での出席があきらかに足りない状態でした。就職活動、卒業は難しそうです。

B(信念)もしナオキさんが「イラショナルビリーフ」をするとどのような考えるでしょうか?

C(結果)その結果どのような感情が沸き起こりそうでしょうか?

 

解答例
B(信念)
⇒留年するなんて一生の汚点だ。取り返しがつかない。(破滅思考、白黒)
C(結果)
⇒焦りや不安が増大する。

 

練習問題2(難易度★★☆)
練習問題1のナオキさんの信念は、このままだと苦しいままです。ラショナル・ビリーフを使って逆境を成長の糧にするように言い換えましょう。



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解答例
・1年間、資格の勉強する時間ができたと考えて自分を磨こう
・英語力が足りなかったのでこの時間を大事にして英会話教室に通おう
・動けない苦しみがわかった。医療関係が面白いかもしれない。
などが挙げられます

ここでこの解答例は多ければ多いほど、レジリエンスは高いと言えます。1つか2つしか考えることができない方は要注意です。10個ぐらい挙げてもOKです笑!

練習問題3(難易度★★★)
それではもう1問チャレンジしてみましょう。次の文章はラショナル・ビリーフでしょうか、イラショナル・ビリーフでしょうか。
レジリエンスを鍛えるトレーニング

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解答例
レジリエンスのトレーニングの解答1) イラショナル・ビリーフ
誰からも好かれなければならないというのは非現実的です。
2) ラショナル・ビリーフ
大変であっても乗り越えようとする力が湧いてくるビリーフです。
3) ラショナル・ビリーフ
人からの評価だけでなく、自分で自分を肯定することが大切です。
4) イラショナル・ビリーフ
悩みがあっても、今楽しめることを楽しむようにするのが現実的です。

ABC理論でレジリエンスを高めよう

練習問題はいかがでしたか。ABC理論は、適応的で現実的な視点で状況を整理するのに役立ちます。極端な言い回しを避け、どんなに強く願っても幸福につながるものの見方をすることがポイントです。

このように状況を客観的に把握できると、レジリエンスが高まり困難や問題が起きても、今できることは何だろう、次にできそうな解決策は何だろうと一歩前に進んでいくことができるのです。

次回は、レジリエンスを高める方法の2つ目「正のストローク」について解説します。

★ABC理論で整理!ラショナル・ビリーフに書き換えてレジリエンスを高めよう

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*出典・引用文献
木村真人 2004 論理療法のABC理論による対人不安の検討. 東京成徳大学研究紀要, 11,51-60.

*出典・参考文献
橋口英俊編著 1973 新臨床心理学入門 建帛社



トレーニングで高めていこう