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レジリエンスをABC理論を応用して鍛えていこう

レジリエンス


レジリエンスを高めるABC理論②

レジリエンスを専門家が解説します

当コラムは「レジリエンス」をテーマに、臨床心理士である森が解説しています。心理テストを使って、その人の人となりを描き出す、いわゆる心理アセスメントの仕事をしています。このコラムでは、簡単にはへこたれなくなるコツを解説します。

全部で5コラムあります。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

状況把握がレジリエンスを高めるカギ

コラム①では、レジリエンスをうまく発揮できない3つの要因を挙げました。それは「①置かれている状況を客観的に把握できない」「②ポジティブな面に気づけない」「③人に頼ろうとしない」でしたね。

今回のレジリエンスコラムでは、レジリエンスをうまく発揮できない3つの要因の1つ「①置かれている状況を客観的に把握できない」を解決していきます。レジリエンスを発揮するためには、客観的に状況を見る力が必要です。そこで役に立つのが論理療法のABC理論です。この理論を知ると、「事実」と「自分の考え」を分ける力を養えるためレジリエンスを高めることができます。簡単にABC理論について説明します。

論理療法のABC理論とは?

ABC理論とはABC理論とは、アルバート・エリスによって提唱されました。出来事をどのように捉えるかで、落ち込むのか、不安になるのか、平常心のままでいられるのかが変わってくる、ということを解いています。ABCの具体的な意味は次の通りです。

A=Activating event 出来事
B=Belief system 信念(捉え方)
C=Consequence 結果

Bの信念のうち、不安や落ち込みにつながるような信念をイラショナル・ビリーフ(Irrational Beliefs)と呼びます。

木村(2004)の研究によると、自分の能力に期待しすぎるイラショナル・ビリーフを強く持つと、「自分や他人が気になる」などの悩みが多いことが認められました。自分に注目しすぎることで、周囲の状況を冷静に見渡せず、敏感になってしまうと考えられます。論理療法の詳しい説明はこちらをご覧ください。

レジリエンスを高めるABC理論

ここで、ABC理論に沿って状況を整理するコツをご紹介します。それには、イラショナル・ビリーフをいかにラショナル(理性的)・ビリーフに書き換えることができるかが大切です。

①“絶対~なければならない”という言い回しは使わない
例えば、「絶対に成功しなければならない」などの信念を持っていると、少しの失敗であっても大きなピンチのように感じられてしまいます。このような極端な言い回しはイラショナル・ビリーフにつながりやすいのです。
できれば、「~であるに越したことはない」「~もいいが~もいい」といった言い回しを使うとレジリエンスが高まるでしょう。

②うまくいかないことがあっても破滅だと考えない
思い通りにいかないことがあった時、誰でもいやな気持ちになるものです。だからと言って、もうおしまいだ、のように破滅的な考え方に陥ると気分はもっと暗く重たくなってしまいます。
無理にポジティブに考える必要はありません。「今は最悪だが、これから先もう少しましなことも起こるだろう」といった具合に考えるとレジリエンスを高める事ができるでしょう。

③どんなに強く思い込んでも幸福につながる考え方をする
極端な言い回しはイラショナル・ビリーフにつながりやすいですが、「100%怖いことなどない」のように不安や恐れを打ち消す考え方をすることはレジリエンスが高まるためおすすめです。
何事も、やればうまくいくかもしれない、という前向きな心持になれるからです。他にも、「今まで何があったかに関係なく、私は幸福になれる」といった考えは、強く思い込んでも問題のないビリーフです。

 

ご紹介した3つのコツを活用して状況を整理しレジリエンスを高めていきましょう。

練習問題でレジリエンスを高めよう!

それではここで状況整理をしレジリエンスを高めるために練習問題に取り組んでみましょう。

練習問題①(難易度★☆☆)
以下の文章を読み、A(出来事)、B(信念)、C(結果)に分けてみましょう。

レジリエンスを高める問題ナオキさんは大学3年生です。趣味のサークル活動でサッカーをしていたところ、足を骨折してしまいました。ちょうど、就職活動に向けてのセミナーなどが始まる時期でした。重いギプスをはめて、松葉杖で歩くのは思っていたよりも大変で、みんなよりも出遅れてしまう、取り返しがつかないと考えています。大事なセミナーの日、お腹が痛くなって遅刻してしまいました。

A(出来事)=

 

B(信念)=

 

C(結果)=

 

解答例
A(出来事)
=骨折してしまい移動が大変になった。
B(信念)
=みんなより出遅れてしまう、取り返しがつかない。
C(結果)
=焦り。大事なセミナーの日、お腹が痛くなって遅刻した。

 

練習問題②(難易度★★☆)
練習問題①のナオキさんの信念は、このままだと不適応(腹痛など)につながるようです。ラショナル・ビリーフになるように言い換えましょう。



・            

 

 

解答例
・解決策は必ずあるはずだ。
・そこまでひどい状況ではない。
・これが後に良い経験になる。
など

 

練習問題③(難易度★★★)
次の文章はラショナル・ビリーフでしょうか、イラショナル・ビリーフでしょうか。

1) 私は人に好かれなければならない
2) 今は大変な状況だけどひどくはない
3) 自分で自分を尊重するべきだ
4) 悩みなんて無くなったらいいのに

レジリエンスを鍛える練習問題

 

解答例
レジリエンス練習問題の解答1) イラショナル・ビリーフ
誰からも好かれなければならないというのは非現実的です。
2) ラショナル・ビリーフ
大変であっても乗り越えようとする力が湧いてくるビリーフです。
3) ラショナル・ビリーフ
人からの評価だけでなく、自分で自分を肯定することが大切です。
4) イラショナル・ビリーフ
悩みがあっても、今楽しめることを楽しむようにするのが現実的です。

状況整理でレジリエンスを高めよう

練習問題はいかがでしたか。ABC理論は、適応的で現実的な視点で状況を整理するのに役立ちます。極端な言い回しを避け、どんなに強く願っても幸福につながるものの見方をすることがポイントです。

このように状況を客観的に把握できると、レジリエンスが高まり困難や問題が起きても、今できることは何だろう、次にできそうな解決策は何だろうと一歩前に進んでいくことができるのです。

次のレジリエンスコラムでは、レジリエンスをうまく発揮できない要因「ポジティブな面に気づけない」について解説します。

★ABC理論で状況を整理。ラショナル・ビリーフに書き換えてレジリエンスを高めよう

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*引用文献)
木村真人 2004 論理療法のABC理論による対人不安の検討. 東京成徳大学研究紀要, 11,51-60.
*参考文献)
橋口英俊編著 1973 新臨床心理学入門 建帛社

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