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レジリエンスの心理的な影響と論文研究③

レジリエンスの心理的な影響と論文研究③

レジリエンスという言葉は聞いたことがある方も多いですが、実際にどのような影響があるのかまで理解している方は少ないでしょう。実は、心理学では立ち直り力が高いほど心身ともに健康になることが分かっています。今回は論文研究を基に、レジリエンスが与える影響について解説していきます。

さみしい気持ちは交流を増やして対処しよう

レジリエンスが弱いと抑うつ的?

レジリエンスの高さは心理的にどのような影響があるのでしょうか?藤澤(2015)は思春期158名を対象として、いくつかの質問紙を組み合わせて、レジリエンスの強さ、抑うつの程度、PTG(逆境での成長力)の有無などを調べました。その結果、以下のような結果になりました。

心理学的には0.5前後の相関があると、お互いが中程度、影響しあうと考えます。レジリエンスがある人は、逆境での成長力があり、逆にない方は、抑うつ的になりやすいことがわかります。

ここで言う逆境での成長力(Posttraumatic Growth)とは、地震などの災害や事故、病気、大切な人や家族の死を乗り越えて成長できる力を意味します。レジリエンスが高い方は、苦しい時ほどその持ち味を発揮して、成長への原動力とする力があるのです。

また長内(2004)は女子大生110名に対して、質問紙を用いてレジリエンスと心の安定について調査しています。レジリエンスを測定する尺度として、Reivich&Shatte(2002)によるThe Resilience Quotientの原文を日本語訳して使用しました。(以下RQ尺度日本語版とする)その結果が以下の図です。

レジリエンス

このように、3つの要素すべてにおいてマイナスの相関を表しています。つまり、レジリエンスが高いほど、不安や不眠になりにくく、社会的な障害も少ない、さらにはうつ傾向も低くなることが言えるでしょう。

・災害や危機とレジリエンス

レジリエンス研究は幅広く、災害から立ち直る研究なども盛んです。バーバラ(2003)はアメリカで起きた9.11のテロの前後で抑うつ症状について調査を行いました。

その結果、レジリエンスが強い人ほど、抑うつ症状が少なく、レジリエンスが弱い人は、抑うつが高まる傾向があったのです。抑うつ以外にも、レジリエンスが弱いと、生活する上で不都合なことが起こってきます。

・ストレスやプレッシャーに弱い
・変化や新しいこと避ける
・諦めやすい
・イライラしやすい
・精神的な傷から中々立ち直れない

などが考えられます。このような状態が慢性化すると、逆境を体験した後の精神的な成長が少なくなり、精神疾患に罹患するリスクが高くなるので、注意が必要なのです。

★レジリエンスが高いと心身ともに健康に!

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目次

①心理学の視点から解説
②レジリエンスの意味とは何か
③心理的な影響と論文研究
④鍛える「ABC理論とは?」
③高める3つの方法とは!
⑥「コミュニティへの所属」
⑦立ち直り力をチェックしよう

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
・長内ら(2004)レジリエンスと日常的ネガティブライフイベントとの関連 Annual bulletin of Institute of Psychological Studies, Showa Women’s University 7, 28-38, 2005-03-31
・藤澤隆史 小島雅彦 2015 逆境経験からの精神的成長を規定する要因の発達学的検討. 発達研究, 29, 95-108.
・Barbara, L. F. et al. 2003 What good are positive emotions in crises? A prospective study of resilience and emotions following the terrorist attacks on the United States on September 11th, 2011. Journal of Personality and Social Psychology, 84 (2), 365-376.