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「悲しい」気持ちを、ポジティブな記憶で対処!乗り越えるコツをご紹介

悲しい


悲しい気持ちにはポジティブな記憶で対処!乗り越える3つのコツ③

悲しい気持ちに対処しよう

コラム②では、「悲しい」気持ちが生じる原因の1つ目「感情のメカニズム」について解説しました。感情のメカニズムから2つの対処法がみえてきましたね。普段から意識することで対処してくださいね。

今回は「悲しい」気持ちが生じる原因の2つ目「喪失体験」についてご説明します。大切なものを失う体験を喪失体験と言い、悲しみを感じる原因のひとつです。これを解決するためにはポジティブな記憶を思い出すことが重要です。今回はそのコツをご紹介します。

 

ポジティブな記憶にアクセスする

悲しい気持ちの対処法悲しいことがあると、そのことばかり思い出してしまう場合があります。そうすると、余計に悲しい気持ちが強くなってしまいます。こうした時に十分悲しむことは大切です。しかし、もしいつまでも悲しい気持ちが癒えないのならば、ポジティブな記憶にアクセスして回復に努めましょう。

ポジティブな記憶にアクセスすると本当に効果があるのでしょうか。それを確かめた研究があります。榊(2005)は健常な大学生を対象にポジティブな記憶を思い出させたところ、気分がポジティブに変化したことを報告しています。

自分の強さを再確認した例

ミキさんは大切にしていたペットのチロを老衰で亡くしました。ミキさんはペットロスに陥り、なかなか悲しい気持ちから抜け出すことができませんでした。1ヶ月経った頃には、何事も前向きに取り組めなくなっていました。

ミキさんに
「今の悲しみを乗り越えるためには、自分に何が必要だと思いますか。」
「自分にあったら良い性格はどんなものですか。…たとえば、強気、明るさ、活発さなどです。」
と声をかけました。

ミキさんは、チロがいなくても
「大丈夫だと思える強さ」
と答えました。

その答えをもとに、さらに「今までの自分に強さを感じた経験はありませんでしたか」「強さを持っている、ミキさんのお手本になるような人はいますか」と聞くとミキさんは、部活で頑張ったこと自分の母親がお手本になることを語りました。

こうした会話をして行くうち、ミキさんはだんだんと「自分は大丈夫」だと思うようになりました。その後、チロを亡くした悲しみから解放されていき、元々の元気を取り戻しました。

このように、ミキさんは自分の中にあるポジティブな部分を思い出して、悲しみを乗り越えていきました。

 

ポジティブな記憶を思い出すポイント

ここで、ポジティブな記憶を思い出しやすくなる3つのポイントをご紹介します。

脳の中の様々な記憶のネットワークに働きかけて、ポジティブな記憶と自分の中にあるポジティブな特性を見つけ出すのが目的です。

①今足りない性格や特性を考える
今の悲しい気持ちを乗り越えるために必要な性格や特性、能力は何かを想像してみてください。

それが悲しみに対処する足がかりになってくれます。シンプルに強さ、忍耐力、潔さなどの単語でもいいですし、悲しい気持ちを吹っ切りたい、のように文章でも構いません。

②過去に持っていた特性を思い出す
今必要だと思う性格や特性が過去の自分にはあったでしょうか。今は悲しい気持ちが強くてすぐには思い出せないかもしれません。それでも、少しはその性格や特性を発揮できていた瞬間がなかったか、よく思い出してみてください。

③お手本になるような人を探す
今必要だと思う性格や特性を持っている人が身近にいないか探しましょう。憧れの人、家族、学校や職場の人…どのような人でも構いません。そしてその特徴が最もよく表れている場面も想像してみてください。

練習問題で習得しよう!

悲しい気持ちを乗り越える練習問題先ほど紹介した3つのポイントを踏まえながら、ワークを進めていきましょう。

ワーク1
今、具体的にどのようなことに悲しみを感じていますか。紙に書いてみてください。

今悲しいのは…
「             」

 

解答例
今悲しいのは…
「ペットが亡くなったから」

 

ワーク2
ワーク1の悲しい気持ちを乗り越えるためには、自分に何が必要だと思いますか。自分にもう少しこういうところがあったら、というような性格的なことで、何かありますか。たとえば、強気、明るさ、活発さなどです。紙に書いてみてください。

悲しみを乗り越えるために必要なのは…
「             」

 

解答例
悲しみを乗り越える為に必要なのは…
「ペットがいなくても生きる前向きさ」

 

練習問題3
ワーク2で書いた特徴が過去の自分にあったか探してください。具体的に、「あの時の自分には~という特徴があった」と紙に書いてください。

いつ頃…
「             」
私には…
「             」
という特徴があった

解答例
「中学3年生の夏、大会に向けて部活の練習を頑張った。あの時の私には、前向きさという特徴があった」

 

ワーク4
ワーク2で書いた特徴を持っている、お手本のような人が身近にいますか。具体的に誰か、紙に書いてください。また、その特徴がよく表われているのはどのような場面か紙に書いてください。

特徴をもったお手本のような人は…
「             」

特徴がよく表れているのは…
「             」

 

解答例
「前向きさという特徴を持ったお手本のような人は…お母さんだ。前向きさという特徴がよく表れているのは、ペットは私たちの胸にいつまでも生き続けているよと励ましてくれた時だ」

 

「悲しい」時にはポジティブな記憶を

ワークはいかがでしたか。ポジティブな記憶を思い起こすと、悲しい気持ちが少しずつポジティブになってくるものです。ご紹介したワークを通して悲しい気持ちに対処していくことで、心地よい気分を取り戻すことができます。

次のコラムでは、「悲しい」気持ちが生じる原因の3つ目「原因帰属が内に向きすぎる」の対策についてご紹介します。

★喪失後の 悲しい気持ちには ポジティブな記憶で対処

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コミュニケーション講座

*出典・引用文献
榊美智子 2005 感情抑制を促進する自伝的記憶の性質. 心理学研究,76,169-175.
*出典・参考文献
市井雅哉 2015 図説 臨床心理学特別講義 認知的行動療法、EMDRでストレスとトラウマに対処する. 岩崎学術出版社.



3つのコツで悲しみを乗り越える