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赤面症の原因、対人恐怖心性の関係とは③

赤面症の原因、対人恐怖心性の関係とは③

赤面症の方は自分の顔が赤くなっていることに対して強くこだわってしまうところがあります。顔が赤くならなければ、周りから変だと思われないと考えています。しかし、実際には、赤面症の原因は「顔が赤くなる」ことではなく、赤面をどのように「捉えるか」が大きくかかわっています。

赤面症の原因「対人恐怖心性」

問題となるのは「赤面を恐れる」という症状です。顔が赤くなることを極度に恐れるあまり、対人場面を回避したり、顔が赤くなるこに恐怖心を持つ症状で、「対人恐怖」の1つである(心理学辞典,1999)とされています。赤面が問題なのではなく、その根底にある対人恐怖心性が問題なのです。

世界的には赤面症は「社交不安症(ASD)」の一種として研究されています。DSM-5によると「社交不安症」とは、

他者の注視を浴びる可能性のある社交場面に対する、著しい恐怖または不安を特徴とし、否定的な評価を受けることを恐れる病態

とされています。赤面症は、こうした否定的な評価を恐れる心の在り方が最大の問題であり、それ自体が問題ではないことをまずは抑えておきましょう。

赤面症 原因

10代からの発症がほとんど

赤面症は「社交不安症」の1つとしてカテゴライズされることがあります。この社交不安症を発症した人の約75%が15歳以下で発症していることが分かっています。(図1)。

赤面症 症状 心理

社会不安障害の特徴の1つに、発症した時期と専門家へのもとに訪れた年齢に違いがあることが挙げられます。ある研究では、発症年齢と10年以上離れた、30代半ばで医療機関やカウンセリングを行っている機関を訪れる傾向が見られることが報告されています。

こうした治療の遅れが赤面症を悪化させる原因にもなるでしょう。もしこのコラムを読んでいる方がいたら恥ずかしがらずに、スクールカウンセラーさんや身近な方に相談するようにしましょう。

重症化と他の精神疾患

心理学の研究では、「社交不安症」が先行して発症し、他の精神障害が併存してくると自殺企図の危険性が高まることなども指摘されています(Stein,2001)。その中でも、「社交不安症」は統合失調症の発症の危険度を高める因子であることも指摘されています(Johnstone,2005)。

以上のことから、精神障害が併存してくる前に早期に介入して解決していくことは予防という観点からも重要と考えられます。

赤面症の原因と研究

赤面症はなぜ起こるのでしょうか?ここからは関連する研究をいくつか紹介したいと思います。

研究①100年前、森田正馬

関連する研究は比較的古くから日本で研究されてきました。森田正馬という心理療法家は最初の対人恐怖の治療家と言われています。昔から
「人に迷惑をかけてはいけない」
「恥をかいてはいけない」
といった日本人の感覚は赤面恐怖や対人不安を招きやすいと考えられてきました。

もう100年近く前のことで世界的に見てもめずらしい研究でした。100年以上も前から日本人は対人恐怖や赤面症で悩んできたのですね。森田正馬は症状を抑え込もうとすればするほど悪化するという精神交互作用という用語を創ったことでとても有名です。精神交互作用については後ほど詳しく解説します。

顔が赤くなる恐怖心

研究②根本にあるのは対人恐怖心性

堀井(2014)は大学生4461人を対象として対人恐怖心性について調査を行いました。その結果、対人恐怖心性は、様々な恐怖感情と結び付いていることがわかります。

対人恐怖症

上記の図では「赤面恐怖」の研究はないですが、「自己視線恐怖」が(.82**)と書いてあります。「.82」という数字は非常に大きく、視線恐怖と対人恐怖はほぼ同時に起こると言って良いでしょう。また赤面恐怖は視線恐怖に先行するという主張もあり、視線恐怖であれ、赤面恐怖であれ、大本は対人恐怖心性が関連していると言えるのです。

研究③対人恐怖心性の6つの特徴

堀井・小川(1996)の研究によると対人恐怖心性とは以下の6つの特徴があることが分かっています。

・自分や他人が気になる
・集団に溶け込めない
・社会的場面で当惑する
・目が気になる
・自分を統制できない
・生きることへ疲れている

周りの人から注目され、自分の顔が赤くなり、その赤面を他者に軽蔑され、不快な思いをさせたりするのではないかと過剰に恐れることがあります。その結果、対人場面を回避してしまい、さらに悪化していくのです。赤面症の原因は回避

簡単に表現すると、

①人の目を気にする
  ↓
②顔が赤くなる
  ↓
③赤面状態を見られたくない
  ↓
④対人場面を避けてしまう。
  ↓
⑤不安が大きくなり症状が強くなる

というように、悪循環となってしまいます。このように、①から⑤が繰り返され、悪い循環が続いていってしまいます。

次のコラムでは赤面症について簡易診断ができます。興味がある方は次のコラムに進んでいきましょう。

赤面症の問題は「赤面を恐れる」こと!

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目次

①治し方,原因や症状
②赤面症と体の仕組み
③原因は心の問題が大きい
④診断でチェックしよう
⑤「思考の偏り」を改善
⑥治す方法「不安階層」
⑦「あるがまま」森田療法で克服
⑧治療と精神科での薬物療法
⑨赤面症と漢方の効果とは
⑩手術は効果的?副作用や費用
⑪筆者の主張ー手術は30代から

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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日本精神神経学会 監修 (2014) DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル
Johnstone, E. C., Ebmeier, K. P., Miller, P., Owens, D. G., & Lawrie, S. M.  2005 Predicting schizophrenia: Finding from the Edinburgh High-Risk Study. British Journal of Psychiatry, 186, 18–25.
Stein, M. B., Fuetsch, M., Muller, N., Hofler, M., & Wittchen, H. U. 2001  Social anxiety disorder and the risk of depression: A prospective community study of adolescents and young adults. Archives of General Psychiatry, 58, 251–256.
堀井(2014)大学生の不登校傾向と対人恐怖心性との関連 横浜国立大学教育人間科学部紀要. 1, 教育科学 = Journal of the College of Education and Human Sciences Yokohama National University. 横浜国立大学教育人間科学部 編 16, 135-143, 2014-02
堀井・小川(1996)対人恐怖心性尺度の作成 上智大学心理学年報 (20), 55-65, 1996