>
>
>
赤面症と薬物療法,薬,漢方でどこまで改善?⑦

赤面症と薬物療法,薬について解説

赤面症の治療には大きくわけて、「認知行動療法」と「薬物療法」があります。近年、認知行動療法が注目されていますが、薬物療法よりも効き目があるというわけではなく、症状によって併用していくことが大切です。

対象となるお悩み
・薬物療法について全くわからない
・心療内科にいけばいいかわからない
・副作用などが怖い

  • 入門①赤面症と誤解,基礎知識
  • 入門②思考の偏りを改善
  • 入門③私的自己意識を増やす
  • 入門④とらわれからあるがまま
  • 発展簡易診断とチェック
  • 発展逃げ癖を改善する方法
  • 発展薬物療法,漢方
  • 発展手術の概要と川島の主観
  • 助け合い掲示板

薬物療法は社交不安障害が重たい方にとって重要です。まずは基本的な知識を押さえておきましょう。

赤面症の薬物治療

薬物療法の歴史

薬物療法は、1952年のフランスの精神科医 Delayと Deniker が初めて抗精神病薬を発見したことがスタートになります。この1950年代には抗うつ薬が発見されたり、リチウムの抗躁作用も確認されました。

以来、半世紀に渡り研究が進み、比較的副作用が少ない薬物が誕生し、臨床に用いられるようになりました。赤面症の治療でも活用されることがあります。

治療の中心は薬物療法

赤面症の治療には、クリニックや精神科病院での治療があります。それぞれの医療機関では、主に3つの要因を中心に治療が進められています。

1.生物学的要因
薬物療法、電気療法など

2.心理的要因
⇒カウンセリング、精神療法など


3.社会的要因
⇒社会復帰プログラム、SSTなど

その中でも、薬物療法はベースとなる治療法であり、社交不安障害でも、薬物療法を行いながらカウンセリングを進めたり、社会復帰のプログラムに参加したりと、それぞれを併用しながら治療を進めていくことが多いです。

SSRIとSNRI

まず、もっとも一般的に赤面症で処方されるのが、以下の2つになります。

1.SSRI
正式名称「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」

2.SNRI
正式名称「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」

少しSSRIの仕組みについて解説をします。

①シナプスとセロトニンの仕組み

まずは下図をご覧ください。


神経の末端部には
「シナプス小胞」

という化学物質が貯まっている袋があります。そこから
セロトニン

という神経伝達物質が放出されます。セロトニンは次の神経細胞に届き
「セロトニン受容体」

という所に作用します。このとき、分泌されたセロトニンは前の神経細胞にある
「セロトニントランスポーター」

に再取り込みされて、リサイクルされます。普通の人では、セロトニンの量が十分に出ているので、再取り込みされても変調をきたすことはありません。

しかし、うつ病や不安が強い人はセロトニンの量が少ないので、再取り込みされてしまうと、十分に後の神経細胞にある「セロトニン受容体」に作用がされません。そのため、うつや不安が強い人はセロトニンがリサイクルされないことが大事になってきます。

②SSRIの働き

次にSSRIの働きを見ていきます。まずは下図の青字の部分をご覧ください。

SSRIは
「セロトニントランスポーター」

に蓋をして、リサイクルされないように働きます。リサイクルされないで残ったセロトニンは、シナプスの間に残ることになり結果的にセロトニンの濃度が高く維持されるようになります。セロトニンの濃度が高くなることで、うつや不安などの症状が抑えられていきます。

効果

・不安を和らげる
・抑うつ緩和

SSRIはセロトニンという精神を安定させる神経伝達物質を増やすことで、症状の緩和をする薬です。SNRIはセロトニンとノルアドレナリンという意欲に関する神経伝達物質を増やすことで症状の緩和をしていきます。

副作用

精神神経系症状
めまいやふらつき、頭痛、眠気、不随意運動などの症状があらわれる場合があります。
運転などの危険をともなう機械作業は控えましょう。

セロトニン症候群
不安、いらいらする、混乱するなどの症状があらわれる場合が稀にあります。

消化器症状
便秘、下痢、食欲不振、口渇、吐き気、嘔吐などの症状があらわれる場合がある
上記の症状は服用初期にあらわれることが多いが、2〜3週間前後で治まる傾向にあります。

性機能障害
勃起障害、射精障害などの性機能異常も微小な確率ですが、考えられます。

注意点

保険適応はSSRIの「エスシタロプラム、パロキセチン、フルボキサミン」のみでそれ以外は保険対象外ですので、精神科を受診する際は確認しておきましょう。

ベンゾジアゼピン系の精神安定剤

次に、対人不安や赤面症で用いられるのは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬と呼ばれる薬です。

効果

この薬には、「GABA」と呼ばれるリラックス効果を高める物質の働きが関わっています。GABAに直接作用して、増強する働きがあるため、不安を鎮めを精神の安定につながるのです。

副作用

強い眠気
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は脳内の活動を低下させる薬なので、日中に強い眠気に襲われたりと、人によっては強い副作用が表れることもあります。

依存性
薬の種類やどれだけの頻度で服用するかなどによって変わりますが、数週間以上、毎日服用していると、薬に対する依存が形成される恐れがあります。例えば、用量を今までより多く服用しないと、これまで得られていた薬の効果が感じられなくなります。

注意点

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は高い依存性に注意が必要です。特に常用量を長期にわたって服用すると、依存性が高くなるといわれています。服用はできるだけ短期間にとどめることが重要になります。

赤面症 治療 薬

赤面症の薬物療法「インデラル」

赤面症は、体が火照ったり手足の震えなどの症状も現れます。こうした神経の高ぶりによって起こる身体的な症状にも対処する薬物もあります。それが、インデラル(βブロッカー)という薬物です。

効果

・手足の震えを抑える
・動悸を抑える

インデラルは、交感神経の1つであるβ受容体を遮断する働きがあります。β受容体にフタをすることで、神経の興奮を抑え震えや動悸を静めていきます。

※β受容体…交感神経の受容体。ノルアドレナリンと結合することで、心拍数・血液量を上昇させ、体を緊張状態にする。

副作用

主に徐脈、めまい、発疹、蕁麻疹、視力異常、霧視、涙液分泌減少などが報告されています。こうした症状が現れたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。

注意点

インデラルは保険適応外なため、精神科を受診する際はどれだけ費用を充分に確認しておきましょう。

ここまで、赤面症治療における3つの薬物をご紹介しましたが、もっと学術的な効果がしりたい!という方は以下の記事がグラフ付きで詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

社会恐怖の薬物療法

*監修の川島(精神保健福祉士)が動画でも解説しています。
 チャンネル登録くださると励みになります!

赤面症と漢方

以下赤面症と漢方についても解説をしました。興味がある方は参考にしてみてください。

精神疾患には、考え方を修正したり、薬物による治療が必要なのですが、抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。ここで「漢方」について紹介させて頂きます。

精神不安を改善する漢方薬も多く存在し、赤面症を治療にも漢方が用いられることがあります。そこで、今回はどんな漢方が赤面症に効くのか、またどれだけ効果があるのかを解説してきます。

赤面症と漢方

薬物療法での「漢方」の役割

日本の医療は明治以降まで、おもに漢方医学によって支えられていました。明治以降になると、日本に本格的に西洋医学が持ち込まれます。

漢方医学では、精神と体の症状は「つながっている」と考えています。体に不調が出たり、身体機能のバランスが崩れていれば、様々な精神の症状も出てくると考えられています。赤面症もそのうちの1つです。

そのため、昔の漢方の本には、発熱や便秘、下痢、動悸、呼吸が浅い、発汗などの体の症状とともに、緊張している、元気がない、驚きやすい、睡眠不足、うわごと話す、などといった精神症状が書かれています。

こうした心と体の症状の組み合わせに対して、どのような処方が効果的なのかを見ていきます。

また、心身の症状の他にも、脈の緊張、舌の付着物をみる、腹部の緊張をみるといった漢方特有の診察方法があり、適切な処方を行います。赤面症の影響で体に何らかの異常が起きてないか調べるわけです。

それでは、どのような漢方が精神疾患に有効なのでしょうか。赤面症は心理学では、社会不安障害と呼ばれることがあるため、ここから社会不安障害に効果的な漢方薬を見ていきましょう。

赤面症と漢方①:「甘麦大棗湯」

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)は心の興奮や体の緊張を鎮めて、不安を改善させる効果があります。漢方では、心(しん)・肝・脾・肺・腎という5つの臓器を「五臓(ごぞう)」と呼びます。

そのなかで心に意識を向け続ける続けると、精神を安定させると言われています。この働きが衰えると、イライラや不安、不眠などが症状が表れるとされています。甘麦大棗湯はそうした「心」の失調状態のときに用いられる処方です。そのため、赤面症にも有効であると考えられます。

奥平ら(2013)では、赤面症に近い社交不安障害の20歳代前半の女性に「甘麦大棗湯」を処方した症例が報告されています。

対象女性は、大学入学後より、授業中の「不安や緊張、恐怖感、頭痛、不眠」を抱えていました。翌年の春からこれらの症状が増大し、登校することも難しい状況に。そこで、甘麦大棗湯エキスを1日 7.5g処方し経過を見たのです。

結果、服用開始から2か月後には気分が落ち着く様子が見られました。恐怖感が軽減し、登校して授業に出席できるようになり、頭痛や不眠も目立たなくなりました。3か月後には、授業に休まずに出席し行事にも参加できるまでに回復したのです。

これは、あくまでの1例ですが、3か月間の服用で社会不安障害の1つである赤面症の改善も期待できるかもしれません。

どんな副作用がある?
偽アルドステロン症:低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加などの偽アルドステロン症があらわれることがあります。また、体からカリウムが不足することで、脱力感、四肢痙攣・麻痺などの副作用が起こる可能性があります。異変を感じたら、担当の医師または薬剤師に相談するようにしましょう。

漢方の効果

赤面症と漢方②:「六味丸」

六味丸(ろくみがん)は疲れやすくて、尿の量の減少または多尿で、ときに口渇があるものの排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみなどに効果的とされる薬ですが、最近では不安や緊張にも効果があることが分かっています。石川(2013)の研究では、六味丸が赤面症と近い概念である不安や緊張などを引き起こす「神経症」に効果があった7つの症例をまとめています。その結果が、以下の図です。

赤面症漢方

このように7つの症例の内2つは「社会恐怖」で、緊張や動悸、手の震えが改善されたことが分かります。さらに、六味丸によって適応障害による動悸、不安、恐怖、焦りも改善されると言われています。こうした対人不安は、赤面症においても重要な要因とされているため、赤面症の治療にも効果が期待できるかもしれません。

どんな副作用がある?
これまでに食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢などが報告されています。こうした症状が表れた場合、すぐに担当の医師または薬剤師に相談するようにしましょう。

薬物療法まとめ

赤面症は基本的には心理療法で充分対処が可能ですが、社会生活が困難になっている場合は、薬物療法との併用も選択肢の1つになってきます。人が怖くて外出できない、人と接すると過度の緊張で汗が止まらないというような症状がある方は、検討してみてください。

助け合い掲示板

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

・第7回 日本胸腔鏡下交感神経遮断研究会 日本 ペインクリニ ック学会誌 VoL9 No.1, 2002