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自己効力感を高める

自己効力感の心理的影響!メンタルへルスが安定③

コラム②では、自己効力感の意味や定義について解説していきました。意味を誤解なく理解することで、努力の方向性を間違えることが無くなるのでしっかりと把握しておきましょう。

今回は、自己効力感の心理学的研究について見ていきます。

自己効力感を高めるコツ「スモールステップ」について解説しています

抑うつとの関係

自己効力感が低いと、どんな問題があるのでしょう?自己効力感が「自分は○○できる」という考えだとすると、自己効力感が低い人は「自分は○○できる気がしない」と考えてしまうことになりますね。バンデューラによると、

自己効力感が低いときは
・無気力
・無感情
・無関心
になり、あきらめが早く、失望・落胆し、自己卑下や劣等感を抱きやすくなり、抑うつ状態に陥ってしまいやすいといいます。

一般的に、抑うつ状態に陥った人は、自分を過小評価する、自分には能力がないと感じる、意欲がわかない、無気力になってしまう、こんな特徴が出やすいと言われています。これは、先ほど挙げた自己効力感が低い人の特徴と一致しますね。他にも、抑うつ症状と自己効力感の関係を指摘する論文はたくさんあります。自己効力感が低い問題について解説

臨床心理学者の坂野(1989)は、約1年にわたり、うつ病の症状変化にともなう自己効力感の変化を調査しました。その結果、うつ病患者は、通院・入院中は自己効力感が低く、症状の回復や通院終了・退院とともに自己効力感が高まることが明らかになりました。

自己効力感が低いと必ずうつ病になるわけではありません。しかし自己効力感が低いと「何をやってもうまくいかない」とやる気がなくなり、「自分はダメな人間だ」などと考えてしまいがちになります。そういった考えは気分をより落ち込ませ、抑うつ症状につながる可能性もあるため注意が必要です。

自己効力感とメンタル

心理学の研究では、自己効力感のことをGSE(Generalizad Self-Efficacy:人格特性的自己効力感)という言葉を使って表すことがあります。三好(2007)はこのGSEと精神的健康、基本的信頼感との関連を調査・研究しました。

基本的信頼感とは、世の中全般に対する、性善説のようなものです。この世の中はとても良い世界で、信じられる方がたくさんいるという感覚です。研究結果は以下の図です。

まず、抑うつから見ていきましょう。高GSE、つまり自己効力感が高い人の方が、抑うつ傾向が低いことが分かります。これは感覚的にも理解しやすいかと思いますが、統計的な調査でも裏付けられております。

活動的快とは、活気のある状態のことを意味します。こちらも自己効力感が高い方のグラフが伸びていますね。自己効力感が高いと、精神が安定してはつらつとした状態を保てると考えることができそうです。

最後に自己効力感と敵意はどのように関連するでしょうか?上図を見て分かる通り、高GSEの人は敵意が低いことがわかります。自己効力感が高い人は、基本的信頼感が高く、敵意を向けない傾向にあるのですね。

それでは自己効力感はどうすれば向上するのでしょうか?まずはヒントとなる研究をいくつか紹介します。

①「努力」をほめてもらう

ほめられた経験が多いほど、「自分はできる!」という感覚が強くなっていきます。ただ、自分のどの部分をほめられるかによって、自己効力感の高まり方が変わってきます。浅沼ら(2018)の研究では、大学生249名を対象にほめられ経験の種類が自己効力感に与える影響を調べました。

その結果、上図のように「能力」よりも「努力」をほめられた方が自己効力感が増すことが分かったのです。能力をほめるとは、「期待していた」「やれば出来ると思っていた」など成功したことに対して肯定することを言います。一方で、努力をほめるとは、「よく頑張っている」「積極的に取り組んでいる」など結果ではなく、それまでの過程を肯定します。

日々の努力を積極的にほめられることで、自信が身に付き、さらなる努力へと促進すると示唆されています。ただ、能力をほめられる経験がマイナスに影響するというわけではなく、あくまでも「努力」をほめられた方が効果は高いという結果になります。

いずれにしても、「ほめられる」という経験は自己効力感を高めてくれるのです。

②ネガティブ反すうを抑える

「ネガティブな考えを繰り返し考えてしまう」「一度嫌なことを考えると何度も考え事してしまう」このような癖は、自尊心を下げると考えられています(森津,2007)繰り返し嫌なことを考えてしまう思考は、「ネガティブな反すう」と呼ばれており、ネガティブなこと思考するほど、自己効力感がなくなり自尊心も下がってしまいます。(図1)。

もし自己効力感が低いと感じる場合は、自分のダメ出しをしすぎる癖を改めて、自分を応援する癖をつけることが大事になりそうですね。

自己効力感の影響を理解!

今回は自己効力感が心理に与える影響を見ていきました。自分はできる!という気持ちが少ないとうつ病になりやすく、相手に敵意を向けやすくなってしまいます。

適度に自己効力感を高めてメンタルへルスの悪化を予防していきましょう。次回は、自己効力感を高める方法の1つ目「フロー心理学」についてご紹介します。次回もお楽しみに。

★自己効力感は「うつ病」や「敵意」と関係!

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目次

①自己効力感高める方法-概観
②意味・定義を分かりやすく解説
③心理的影響!メンタルへルスが安定
④自己効力感と「フロー心理学」とは
⑤高める方法を解説「スモールステップ」
⑥「小さないいね→自信変換法」とは
⑦自己効力感の上げ方「社会的サポート」
⑧自己効力感診断とチェック

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
坂野雄二 1989 一般性セルフ・エフィカシー尺度の妥当性の検討 早稲田大学人間科学研究, 2, 91-98.
三好 昭子 2007 人格特性的自己効力感と精神的健康との関連 ―漸成発達理論における基本的信頼感からの検討― 青年心理学研究 19, 21-31.
森津誠(2007),「学生のネガティブな反すうと劣等感および自尊心との関係―『やる気』理解のための一考察―」,国際研究論叢,20(2),p63-70.