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自己嫌悪の心理学的な意味・定義②

自己嫌悪の心理学的な意味・定義②

コラム①では、自己嫌悪について概念していきました。重要な要素としては、「①自分で自分をいやだと思うという定義」「②他人も嫌いになってしまう」「③問題意識が持てる」でしたね。

今回は、①自分のことをいやだと思う定義ついて解説していきます。

イラスト:自分の悪いところばかり探してしまい自己嫌悪に陥る人

自己嫌悪とは?

自己嫌悪は一般的には、自分が嫌いであることという印象が強いですが、心理学的にはどのような意味があるのでしょうか。いくつか見ていきましょう。

定義①水間(1996)
“客観的事実はどうであれ,否定的な感情や事象が
自分自身に由来するとし,自分が自分自身のことをいやだと
感じること”

定義②佐藤(1994)
”自分が、自分で、今の自分がいやだと感じること”

このように、自分が自分のことを「いやだ」と感じることという定義が多く見られます。

 

イラスト:リフレーミングで大ヒットした「落ちないリンゴ」

理想と現実のギャップ

小平(2002)は自己嫌悪感と「こうなりたい」自分との関連を調査する研究を行いました。かなり簡略化して図で表すとこのような感じです。なりたい自分と自己嫌悪感の相関図

結果は、「こうなりたい」という理想があるが現実的にはそれがかなっていない状況と、自己嫌悪に正の相関があると示されています。正の相関とは、片方が増加すると、他方も増加する関係のことを意味します。(※相関について深く知りたい方はこちらを参照ください。)

正の相関があるとは、「こうなりたい」自分と現実の自分とにギャップがあるほど、自己嫌悪感が高いということですね。例えば、もう少し収入をふやしたい・・・かわいくなりたい・・・いう感覚と現実とのギャップが当てはまります。

また少し異なりますが
・「こうならなきゃと思っている自分」
・「実際の現実」
にギャップがある場合も同じような結果が出ています。

こうならなきゃいけない自分と自己嫌悪の相関図

具体的に「自分がこうならなきゃいけない自分」とは、「親に求められた職業につけない」とか「社会的に20歳になったのだから、これくらいできる人にならなきゃ」といったような想いのことです。

私たちは時々そういう気持ちを持つことがありますね。つまり理想とする自分と現実が異なることが、自己嫌悪感を持ちやすいという結果を示しています。

自己嫌悪は変化する

佐藤(1999)は、自己嫌悪の気持ちが年齢とともにどのように変化していくかという発達的変化を調べています。中学生・高校生・大学生を対象に質問紙調査を行いました。その結果、大学生と高校生に、自己嫌悪に対する感情状態に違いがあることがわかりました。

自己嫌悪の中でも2つの状態について考察がされています。それぞれ見ていきましょう。

①『自己再生願望』
自己再生願望とは、自分をリセットしたいと思う傾向を意味します。

例えば、

「最初に戻ってやり直したい」
「新しい自分になりたい」

などと、自己嫌悪になったときに過去を消去したいと思う状態です。以下の図は、自己再生願望の高さを比較したものになります。

その結果、高校生の方が自己再生願望が高く、自己嫌悪に陥ったときに自分をリセットしたい気持ちが強いということを表しています。現実には、自分をリセットするというのは不可能なので、高校生の方が非現実的な傾向が強いということを表しています

②『自己弁護』
自己弁護とは、自分をかばい守ろうとする気持ちのことです。

人は自己嫌悪に陥ると、自分を否定する気持ちが強くなってしまいがちです。しかし、一方で現実を認めたくない心理も働き、

「本当の自分はもっと良いはずなのに」
「本当の自分はこんなはずではない」

と自分の評価を高めようと、自分を弁護する傾向が強まります。以下の図は、自己弁護の高さについて比較したものになります。

このように、大学生の方が自己弁護が高く、自分を守る傾向が強いことがわかりました。高校生よりも、大学生の方が人生経験が長いため自分を弁護できる傾向が強いと考えられています。

*興味がある方は、佐藤(1999)の論文を参照ください。

意味や定義を理解

今回は「自己嫌悪」とは?について解説していきました。自己嫌悪は、理想と現実のギャップが大きいほど強くなる傾向があります。自分を受け入れられない・・・という方はぜひ、当コラムを読み進めてみてください。

次回は、自己嫌悪のデメリットについて解説していきます

★自己嫌悪は自分が自分をいやだと思う気持ち!

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目次

①自己嫌悪-概観
②心理学的な意味・定義
③相手も嫌いになってしまう
④問題意識が芽生える
⑤リフレーミングとは
⑥やりたいことに集中
⑦褒め褒め君を探そう
⑧自己嫌悪診断でチェック!

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
長谷川啓三・若島孔文編(2002)事例で学ぶ家族療法・短期療法・物語療法 金子書房
水間玲子(1996)自己嫌悪感尺度の作成 教育心理学研 究,44, 296-302.
佐藤有耕(1999)青年期における自己嫌悪感の感情状態の発達的変化 青年心理学研究 11 1-18
佐藤(1994)青年期にお ける自己嫌悪感の発達的変化 Japanese Journal of Educational Psychology, 1994, 42,253-260