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神経質な性格は「認知療法」で改善を目指そう

神経質


神経質な性格を「認知療法」で改善しよう②

コラム①では、神経質になる3つの原因、「完全主義的」「ひとつのことに執着しすぎ」「恐怖心が強い」を取り上げましたね。

今回は原因の一つ目「完全主義的」を解決するためのコラムです。神経質からくる完全主義とうまく付き合うための3つの質問・例題を交えながらご紹介していきます。

神経質にも有効な認知療法とは?

認知療法とは、1960年代にアメリカで発展した、様々な精神疾患などの治療に用いられる精神療法です。認知とは、ものの受け取り方や捉え方のことを指し、この認知に働きかけて症状の改善をはかるのが認知療法です。

認知療法では、下の図のように、ある出来事に対する認知によって、気分や行動が変わると考えます。同じ出来事でも、認知(ものの捉え方)によって、気分が落ち込んだり、逆に安心したりもするのです。

出来ごと、認知、気分の流れの図

例えば、

テストで60点を取った時で考えてみましょう。

・60点しか取れなかった
・60点も取れたと考えるのか

どちらの考え方をするかで、感じる気分が変わってきます。

認知の例

 

同じ「60点を取った」という出来事でも、落胆する一方で安心するなど、認知によって気分や行動が変わってしまいます。特に完全主義の人は「60点しか取れなかった」と認知する人が多い傾向にあります。

こうした、完全主義の認知を修正する方法として、「認知行動療法」というのがあります。認知行動療法によって完全主義を改善した例を1つ紹介していきたいと思います。

認知行動療法で完全主義を改善

ここで、認知行動療法による完全主義の改善効果について見てみましょう。

Rileyら(2007)は、行き過ぎた完全主義のために日常生活支障が出ている20人を対象にして、認知行動療法を施しました。完全主義の度合いは、臨床的完全主義検査(The Clinical Perfectionism Examination)などを行って測定しました。下の図をご覧ください。

認知療法による治療前後の違い

この図は、認知行動療法を行う前と行った後の臨床的完全主義得点(20名の平均値)を比較したものです。得点が高いほど、完全主義傾向が強いことを示します。治療前後で得点が下がっているのが分かりますね。

治療前:48.85点
治療後:26.25点

この差は統計学的にも意味があることが示されており、20名のうち15名に臨床的完全主義の改善が見られたそうです。

このように、日常生活に支障をきたすほどの完全主義も、認知行動療法で改善が可能であると考えられるのです。

完全主義を改善する3ステップ

ここからは、認知療法を使って、完全主義をゆるめるには何をすればよいのか見てみましょう。分かりやすく、3ステップで考えてみましょう。

ステップ1:「出来事」「認知」を分ける
認知療法は、出来事と認知とを分けて考えることから始まります。

もし今落ち込みやイライラなどのネガティブな気分に陥っているなら、きっかけとなった出来事は何だったのか思い出してみてください。そして、そのきっかけに対して、自分はどのように捉えているかを整理しましょう。

ステップ2:認知をチェックする
きっかけとなった出来事に対する自分の認知が完全主義になっていませんか。見分けるポイントは、

~すべきだ(べき思考)
~なら、〇〇に違いない(決めつけ)

といった思考パターンです。このように、こうあるべきと”べき思考”に偏っていたり、一つの事に決めつけていると思ったら注意が必要です。

ステップ3:合理的な思考に切り替える
完全主義に陥っている場合は、合理的な思考に切り替えましょう。例えば、
世の中の出来事は完璧にできていない
他の可能性もあるかもしれない

などと考えてみるのです。

認知療法で神経質を改善しよう

例題で完全主義に対処する

ここでは、例題を通して完全主義をゆるめる練習をしてみましょう。

例題
トモミさんは、自分が神経質なうえ、完全主義的な傾向があると自覚しています。今日も、上司から頼まれた仕事を断れずに抱え込んでしまい、残業をしています。仕事の出来も完璧にこなして、上司からの評価が下がらないようにと神経質になっています。

特にトモミさんは、
・上司の仕事は断ってはいけない
・期待に応えなければ評価が下がる
・仕事は失敗をしてはいけない
と神経質に考えているようです。

この例題をもとに、3つのステップで考えてみましょう。

ステップ1:「出来事」「認知」を分ける
出来事
・上司から仕事を頼まれた
認 知
・上司の仕事は断ってはいけない
・期待に応えなければ評価が下がる
・仕事は失敗をしてはいけない

ステップ2:認知をチェックする
・上司の仕事は断ってはいけない ⇒ ~べき思考
・期待に応えなければ評価が下がる ⇒ ~に違いない
・仕事は失敗をしてはいけない ⇒ ~べき思考

ステップ3:合理的な思考に切り替える
・上司の仕事は断ってはいけない
→仕事を全部引き受けてできなかった時の方が良くない。上司と相談すればOK

・期待に応えなければ評価が下がる
→上司の期待に応えることだけが人間の価値を決める出来事ではない

・仕事は失敗をしてはいけない
→人間だから失敗もあるはずだ

3つのステップで考えてみたところ、トモミさんの考えは「~すべき」や「~に違いない」と、思考の癖に気がつきました。そして、完全主義的な考えにがんじがらめになっていること、上司の期待に応えることが自分の存在価値とほぼイコールになっていたことにも気づきました。

完全主義を合理的に捉えなおす練習を繰り返すことでゆるめていければ、神経質な性質とうまく付き合っていくことも可能になることでしょう。

考え方の修正で神経質を改善

例題はいかがでしたか。認知療法は、なるべく客観的、現実的に完全主義を捉え直すための方法です。ご紹介した3つのステップを踏むことで、完璧であろうと神経質になってしまうのを改善できます。

次回は、神経質と付き合う方法の2つ目「コラム法で視野を広げる」についてご紹介します。お楽しみに!

★3つのステップで完全主義を改善!合理的な考えで神経質を対処
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心理学講座

*出典・引用文献
C.Riley, M. Lee, Z. Cooper, C. Fairburn, and R. Shafan (2007) A randomized controlled trial of cognitive-behavior therapy for clinical perfectionism: A preliminary study. Behaviour Research and Therapy, 45, 2221-2231.



捉え方を変えて対処していこう