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神経質を改善するなら「森田療法のあるがまま」

神経質


神経質を改善したいなら「森田療法」④

コラム③では、ひとつの事に執着しすぎるタイプの神経質な性格の対処法として「コラム法」をご紹介しました。お伝えした手順にそって、状況の捉え直して気分をプラスに向けていきましょうね。

今回は、神経質と上手に付き合う方法の3つ目「森田療法であるがまま」について解説します。

森田療法とは?

森田療法は日本人である森田正馬によって考案された精神療法です。森田自身、幼少の頃から神経症症状に苦しみ、大学生の時には神経衰弱と診断されて服薬もしていました。ある時、服薬をやめて一生懸命に勉強に励んだところ、苦しかった症状がなくなるという経験をします。これが森田療法につながったと言われています。

では、なぜ神経症の症状は生まれるのでしょうか。それは、お腹が痛い、心臓がどきどきする、緊張するなどの不快な症状に注意を向けることで症状が強まり、ますます注意が向く…という悪循環が起きるからです。

これを森田療法では、“精神交互作用”と言います。

精神交互作用の図

心身の不快な症状にばかり注意を向けると、自分で自分の悩みを大きくしてしまうのです。

例えば、

なかなか眠れない時で考えてみましょう。

眠れないことに注意を向けて焦ってしまうと、余計に眠れなくなりますね。

まずは、些細なきっかけに注意を向けすぎて、自ら症状を作り出す悪循環が起きていることに気づくことが大切です。そして、

悩みを取り除こうとせず「眠れないなら眠らなくてもよい」とあるがままの姿勢になりましょう。

このように、森田療法では、不安や恐怖心は消すのではなく、あって当然だと考えて、“あるがまま”に受容することを基本とします。

恐怖心を受容できると不安が減る?

ここで森田療法を基にした、質問紙調査で行った研究を見てみましょう。

杉浦・杉浦・丹野(2006)は、76名の大学生を対象に、自己と不安の質問紙に回答してもらいました。自己と不安の質問紙には、不安への態度や不安な自己への態度といった下位尺度があります。結果の一部が下の表です。

特性不安と不安への態度、不安な自己への態度との相関の図

表. 特性不安と不安への態度、不安な自己への態度との相関(杉浦・杉浦・丹野(2006)より一部抜粋)

これによると、“不安への態度”、つまり不安感を受容できるかどうかという傾向は、特性不安(その人が持っている不安になりやすい傾向)と負の相関(傾向)を示しています。つまり、不安感を受容できると特性不安は弱いという傾向があるのです。

また、“不安な自己への態度”は、不安になる自分に対して受容的になれる程度を示しており、特性不安と負の相関を示しています。つまり、不安になる自分を受容できると特性不安は弱いという傾向があるのです。

これらの結果を踏まえると、不安は受容したほうが軽減できるということです。

これは、森田療法の考え方、あるがままの態度に通じる結果ですね。神経質からくる不安や恐怖心にも活用ができます!

森田療法で神経質を緩和しよう

森田療法であるがまま

ここからは、森田療法の考え方を活かして、神経質とうまく付き合っていく3つの方法をご紹介します。

①よりよく生きたい欲望を引き出す
まずは質問です。

「もしも、治したいと思っている症状がなければ、あなたはどのようなことをしたいですか?」

これは、森田療法へ導入する際のはじめの一言です(伊藤(2016))。この質問により、人間に備わっている「生の欲望」を引き出すのです。

例えば、

・よりよく生きたい
・人から評価されたい
・より健康でありたい

これらの自己実現欲求に自ら気づき、具体的にして広げていくことで、よりよく生きようとする原動力を高めます。

②目的本位になる
神経質な人は、自分の不安を中心にして物事を考えがちです。例えば、会議で発言しても、人からどのように評価されているか不安が大きいために、なんとなく気分がスッキリしないことがあります。こうした状態は、自分の気分をもとに判断しているので、“気分本位”と呼ばれます。

それに対して、会議中に発言できた、自分の役割を果たした、などと目的を達成できて良かったと考えるのが“目的本位”です。森田療法では、気分本位より目的本位になることを重視します。

不安な気持ちがあることは取り除こうとせず、そのままにして、「今日できたこと」「やるべきことをやった」といった目的に対する達成感を重視してみましょう。できていることに注目できるようになると、良い気分は後からついてきます。

③とらわれを抜けてあるがままへ
人から良く見られたい、いい人だと思われたい、仕事を完璧にすべき、といった“とらわれ”が強いのが神経質な人の特徴です。しかしこのような状況では、思うように行動ができません。

そこで、今の自分を“あるがまま”に受け入れよう、というのが森田療法の考え方です。症状や不安を何とかしようとせず、そのままにしておきます。そして、何とかできるものは頑張る、何ともならないものは放っておくという心のゆとりを持つことが大切なのです。

神経質な性格を森田療法で緩和しよう

森田療法で恐怖心と付き合おう

森田療法は、不安や恐怖心をありのままに受け入れ、あるがままに生きることを重視します。3つの方法を元に、心にゆとりをもってくださいね。

森田療法には、入院治療や外来治療の方法があり、治療者が生の欲望を引き出したり、目的本位になることをサポートしたり、あるがままに生きるよう導いてくれます。このコラムでは、森田療法の考え方のエッセンスをお伝えしました!

次回は、神経質コラムの最終回です。これまで紹介してきた内容を一緒に確認してきましょう!

★あるがままの自分を受け入れて 神経質を改善しよう!

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心理学講座

*出典・引用文献
伊藤克人(2016)第56回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(東京) ワークショップ:心身医療における森田療法の臨床実践 森田療法への導入の実際. 心身医学, 56, 341-346.杉浦義典・杉浦知子・丹野義彦(2006)神経質傾向と不安への態度―森田療法の鍵概念の測定. 信州大学 人間科学論集 人間情報科学編, 40, 33-46.
*参考図書
北西憲二(2007)健康ライブラリー イラスト版 森田療法のすべてがわかる本. 講談社.
中村敬(2018)こころのクスリBOOKS よくわかる森田療法 心の自然治癒力を高める. 主婦の友社.



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