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視線恐怖症の症例「人の評価が気になる」を認知療法で克服

視線恐怖症


視線恐怖症の症例「人の評価が気になる」-認知療法で克服②

視線恐怖症「人の評価が気になる」の克服方法

コラム①では視線恐怖症の症状と、その原因として3つの解決策を提案させていただきました。視線恐怖症は、周りの人からの視線を過敏に感じ恐れるという対人恐怖の一種で、特に思春期・青年期に非常に多く見られるということでしたね。また、日本独特の恐怖症であるともされていましたね。

では、今回は視線恐怖症の解決策の1つ「考え方を修正する」について紹介します。

認知療法で視線恐怖症を改善

人の評価が気になる事で視線恐怖症の症状が出ている場合、認知療法が有効な解決策となります。

人の評価が気になる場合、ほとんどが自分をネガティブに捉えていることが多く、認知(個々人の出来事の捉え方)の仕方によって、受け取り方を変えられるからです。

視線恐怖症に効果あり!認知療法とは?

認知療法とは、1960年代にアーロン・ベックが提唱した心理療法です。認知療法は、事実沸き起こるものを、考え・感情・行動に分け、 “自分の受け止め方のクセ”(考えの歪み)を知り、その考え(認知)を修正することで症状が改善されるという心理療法です。

人には個人個人の認知フィルターがあり、そのフィルターを通して、考えたり、感じたり、行動します。その認知フィルターが歪んでいる場合、否定的な考えに陥ったり悲観的な感情が沸き起こってしまいます。

例えば、
ある時、あなたが近所の人に挨拶したが、知らんぷりされてしまった。このような時、あなたはどう感じるでしょうか?

「私、嫌われているのだろうか?」
「挨拶しないなんて最低」

など、様々な受け取り方があります。その時に頭に浮かんだ考えを自動思考と言います。この自動思考は、認知の歪みとして、偏った考え方に陥ってしまいがちです。

この例でいうと…

「私、嫌われているのだろうか?」 ⇒マイナス思考
「挨拶されないなんて私は嫌われ者だ」 ⇒感情的決めつけ

など、“マイナス思考”や“感情的決めつけ”など、アンバランスな考え方は「認知の歪み」として捉えられます。

人の評価が気になるときには、マイナス思考や感情的決めつけなどの認知の歪みによって偏った考え方に陥っている可能性が高いです。こうした認知の歪みを修正してゆくことは視線恐怖症の人にも有効です。

例えば相澤(2004)の研究では、対人恐怖は、対人場面において直接的な感情や内面的な思い込みで判断し、それと他者の意図を合一的に体験すると言っています。

つまり、直接的な感情や内面的な思い込みといった歪んだ認知を修正する認知療法が、対人恐怖および視線恐怖には有効であると言えるのです。認知療法で視線恐怖症のネガティブな捉え方を修正する

認知療法について知ろう

実際に認知療法を実施する過程は、

①事実から沸き起こるものを「考え」「感情」「行動」に分ける
②認知の歪みを知る
③認知を修正する

という流れで行います。
認知の歪みを修正して視線恐怖症を改善しよう

練習!視線恐怖症の考え方を修正してみよう

では、実際に事例を通して具体的に考えてみましょう。

事実
新入社員のゆきこさんは、上司に重要な会議の司会進行を初めて任されました。

考え
①司会進行では絶対に失敗をしてはならない  ⇒ すべき思考
②失敗すると評価がガタ落ちになるに違いない ⇒ 感情的決めつけ
感情
・失敗をしていないか、周りの視線を恐怖に感じる。
行動
①頭が真っ白、足が震えて動けない。
②見られていると思うだけで、倒れそうになる。

では、認知療法を取り入れるとどうなるか考えてみましょう。

 

解答例
認知の修正ポイント①

「司会進行では絶対に失敗してはならない」=【すべき思考】

認知を修正
「失敗しても最善を尽くそう」
感情
「皆に見られるのは怖いけれど、できるだけやってみよう」
行動
「練習を繰り返して、司会に臨もう」

事例では「絶対に失敗してはならない」と考えていたものが、失敗しても良いと認知が修正されました。また、「皆に見られるのは怖いけれど、できるだけやってみよう」と、前向きな気持ちになり、練習を繰り返し司会に挑む行動を取るようになりました。

 

認知の修正ポイント②
「失敗すると、評価がガタ落ちになる」=【感情的決めつけ】

認知を修正
「必ず失敗をするとは限らない」「評価ガタ落ちになるとは限らない」
感情
「皆に見られるのは怖いけれど、できるだけやってみよう」
行動
「視線を感じても、大きな声を出してやろう」

事例では、失敗すると評価がガタ落ちすると決めつけて考えていたものが、「評価がガタ落ちするとは限らない」と認知が修正されました。すると、「見られるのは怖いけれど、できるだけやってみよう」という感情になり、視線を感じても大きな声でやろうと行動を取るようになりました。

人の評価にふりまわされないために

このように視線恐怖症の場合、マイナス思考や感情的決めつけなど思考の歪みから悲観的な感情が沸き起こり、望ましくない行動に至る事がわかりました。自分を過度に否定的に考えるばかりだと、自信がついてきませんね。また、自分には“人が怖い気持ちがあるのだ”ということを認めることも大切なことです。

視線恐怖症の考え方を修正しよう

認知療法で思考を修正することで、感情や行動が変わり視線を怖がることなく人前に出てゆけるようなりますよ。認知療法の考え方を試してみてくださいね。

次回は、視線恐怖症の解決策2つめ「あるがままを大切にする」についてご紹介します。お楽しみに!

★認知の歪みを修正して、視線恐怖症を改善しよう

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心理学講座



*出典
相澤 直樹 対人恐怖における認知の偏りの内容特定性について:敵意帰属との関連から
神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要,8(1):103-106



人の評価が気になる時の克服方法を知ろう