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視線恐怖症と心理的傾向③

視線恐怖症と心理的傾向③

コラム①では、視線恐怖症について概観していきました。重要な要素としては、「①発症年齢」「②心理的特徴」「③視線恐怖症診断」の3つでしたね。

今回は①心理的特徴について解説していきます。

認知療法で視線恐怖症のネガティブな捉え方を修正する

研究①対人恐怖心性

ここからは心理面の研究を2つ紹介します。視線恐怖症は周りの人からの視線を過敏に感じるという対人恐怖症の一種で、特に思春期・青年期に非常に多くみられると言われています。

堀井(2014)は大学生4461人を対象として対人恐怖心性について調査を行いました。その結果、対人恐怖心性は、様々な恐怖感情と結び付いていることがわかります。

例えば上記の図では「自己視線恐怖」が(.82**)と書いてあります。。82という数字は非常に大きく、視線恐怖と対人恐怖は強い関連があると言って良いでしょう。

このように視線恐怖の大本をたどると、対人恐怖心性が根本にあると解釈することができそうです。堀井・小川(1996)の研究によると対人恐怖心性とは以下の6つの特徴があることが分かっています。

・自分や他人が気になる
・集団に溶け込めない
・社会的場面で当惑する
・目が気になる
・自分を統制できない
・生きることへ疲れている

これらの心の状態を改善していくことが視線恐怖を軽減するヒントになりそうです。対策は後のコラムで詳しく説明します。

研究②公的自己意識

一般的には人からどう見られるかを気にする傾向を「自意識過剰」と表現することがあります。ただ、この自意識には、心理学的に2つの種類があります。

「公的自己意識」・・・他人の目を気にする
「私的自己意識」・・・自分がどうありたいかを大切にする

この2つのうち視線恐怖症の方は、公的自己意識に偏りすぎていると考えられます。他人の目を気にするあまり、相手と目を合わせるのが怖くなってしまうのです。

堀井(2001)の研究では、公的自己意識・私的自己意識と、対人恐怖との関連が調べられています。実験では、高校生256名、大学生271名、計527名の青年を対象に質問紙を用いて、調査を行いました。その結果が以下の図になります。

視線恐怖症

まずは男子から見ていきましょう。特に「公的自己意識」に大きな影響を与えているのは、「自分や他人が気になる心性」であることが分かります。一方で、どの心性も私的自己意識にはほぼ影響がないと言えます。

人の目が気になる

次に女子はどうでしょうか。男子に比べて公的自己意識への影響が大きいことが分かります。女子の周囲からの評価を気にする傾向にあるのですね。しかし、私的自己意識では、若干の負の相関があるものの、ほぼ影響ない程度です。

研究③不安コントロール⇩

社交不安障害(SAD)をはじめとする不安障害の方は、否定的な感情や緊張などの感情をコントロールできず、混乱しやすいと考えられています。

城月健太郎(2013)は、社交不安障害(SAD)患者14名と大学生251名に対し、不安のコントロール感に関する研究を行いました。結果が下図となります。

大学生の方が点数が高く、SAD患者のグラフが低くくなっていますね。これは健康的な大学生は不安を和らげられる感覚があり、SAD患者は不安をコントロールをできる感覚が少ないことを示しています。こうした状態が長続きすると、社交不安障害が深刻化するリスクがあるため注意が必要です。

視線恐怖症 心理学

研究④身体の変化に過敏

筑波大学の八重澤・吉田(1981)らは「他者接近に対する生理・認知反応―生理指標・心理評定の多次元解析―」という論文の中で視線と人間の心理について実験しました。

実験参加者は18~30歳の女子大生38名で、25歳の男子学生をモデルとしました。実験参加者の性格検査を照らし合わせたところ、神経質傾向が高い人は、自分の心(認知反応)と、身体(生理反応)の結びつきがあることがわかりました。

つまり、
身体は緊張していないのに
心は過敏に不安や緊張を感じている

と言えます。わかりやすく表現すると、は大して緊張していないに、は「緊張している!どうにかしなきゃ!」と神経質になっていると言えます。視線恐怖の人は、自分の体の小さな変化を必要以上に大げさに捉えていると解釈できるかもしれません。

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★視線恐怖症は不安を強める!デメリットを把握しよう

目次

①症状の改善方法を解説
②分類と発症年齢
③視線恐怖症と対人恐怖心性
④アイコンタクト力をチェック
⑤「非現実的思考を改善」
⑥公的・私的自己意識のバランス
⑦「不安階層表」で克服
⑧「あるがまま」とは
⑨アイコンタクトのコツ3つ
⑩薬物療法でどこまで改善する

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・引用文献
堀井(2001)青年期における自己意識と対人恐怖心性との関係 山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science 12(4), 85(453)-100(468), 2001-02-15
小川 捷之 いわゆる対人恐怖症における「悩み」の構造に関する研究
横浜国立大学教育紀要,14:1-33,1974