>
>
>

視線恐怖症の症例「急な解決を目指してしまう」-行動療法で克服しよう

視線恐怖症


視線恐怖症の症例を行動療法で克服④

視線恐怖症「急な解決を目指してしまう」の克服方法

コラム③では、視線恐怖症の「視線へのこだわり」への対処法として、森田療法でこだわりを軽減する方法を提案させていただきました。

今回は、視線恐怖症の解決策の1つ「系統的脱感作法」について解説します。なお、あるがまま療法はやや達観的なやり方で、東洋的な考え方がある程度入っています。

今回紹介する方法は、森田療法とは方向性が異なるので、肌に合う法をご自身の生活に取り入れてみてください。またやや高度な心理療法なので、重度の方は実施しないで、知識として覚えておく程度にしてみてください。

視線恐怖症を改善する考え方

視線恐怖症の改善方法とは

視線恐怖症の方は、「急な解決を目指してしまう」傾向があります。「初対面のときから、常に目を見る努力をしよう」「人に不快感を与えないよう、いつも笑顔でいよう」「人に慣れるために、無理して出かけて行こう」など急な解決を目指し、行動することがあります。

これらの問題を解決するには、精神科医ジョセフ・ウォルピが提唱した系統的脱感作法が有効です。これは強迫性障害や恐怖症に対する治療法で、スモールステップで着実に恐怖を和らげ治療法です。

系統的脱感作には逆制止という原理が背景にあります。逆制止とは、不安,恐怖を感じた際、反対の感情を同時に起こすことで、不安,恐怖は感じなくなるというものです。視線恐怖にはこの逆制止の原理を使った系統的脱感作が有効です。

視線恐怖症はリラックス法で改善

生月・田上(2003)の研究では、対人恐怖は、見られること=恐怖という習慣性の刷り込まれた状態であり、恐怖を軽減する反応(リラックスした状況)を引き起こす練習を繰り返せば、視線を感じても恐怖反応が起こらないようになってゆくと考えられる。とされています。

もっと簡単に言ってしまえば、

視線恐怖を軽くするために、リラックスしやすい心と身体を作ろう!

ということです。今回は、視線を感じることを軽減するために、この行動療法で使われる原理を利用していきます。視線恐怖症の症例について解説

視線恐怖症に適切な対処を

系統的脱感作法ではまずは不安階層表を作成するところからはじめます。不安階層表とは、不安や恐怖を感じる場面を具体的に想定し、それぞれの場面について、どの程度不安や恐怖を感じるか点数をつけ、順番に並べた表のことです。

最初に、最も恐怖を強く感じる場面を5点と設定し、それよりも不安の小さい場面を点数ごとに挙げて表にします。そして、恐怖の少ない順番に一つずつ挑戦し、克服していきます。このように階層表を作ると、自分の行動傾向がわかり、目標までのステップが明確化されます。

【不安階層表】

視線恐怖症の場面や恐怖レベルのチェック表

また、不安階層表を実践していく際には、リラックス状態を作ることが重要です。

 【リラクゼーション】

腹式呼吸でゆっくりと呼吸をしてみる(呼吸法)、身体をリラックスさせるため頭から足の先まで順番に力を抜いてゆく方法(弛緩訓練法)などがあります。

この不安階層表で恐怖場面に直面すると、一時的に強い不安を感じますが、リラックス状態をイメージし、慣れてゆくことにより、最終的には落ち着いてゆきます。一つずつ、イメージしていきましょう。
視線恐怖症の恐怖症状を緩和するリラックス法

例題で実践してみよう!

では、例題で考えてみましょう。

例題
「目を合わせると緊張するので異性に話しかけられない」場合
 スモールステップで、5段階にわけるとどうなるでしょう?

スモールステップ

1.
2.
3.
4.
5.

 

解答例
「目を合わせると緊張するので異性に話しかけられない」場合

スモールステップ

1:母の目を見て話をする。
2:姉の目を見て話をする。
3:近所のおばちゃんの目を見て話をする。
4:異性の若い店員さんの目を見て話す。
5:異性と視線を合わせ、話しかける。

出来ましたか?

恐怖心の少ない順番に、リラクゼーションのやり方のように、リラックスした状態をイメージしながら行っていくのがポイントです。

急な解決を目指すことが恐怖心を強める

このように、視線恐怖症を改善・克服してゆくには、急な解決を目指してしまうことが、逆に恐怖心を強めてしまうということがわかりましたね。

「視線」と「恐怖」が結びついた状態=視線恐怖を引き起こしていると考えられるため、それを改善するためには、一足飛びに急な解決を目指すのではなく、スモールステップとイメージトレーニングで慣らしてゆくことが重要です。急には難しいと思うので、ゆっくり丁寧に、リラックスを心掛けながら試してみてくださいね。

次回は、視線恐怖症コラムの最後です。これまで紹介してきた内容を一緒に確認していきましょう。

★「行動療法」を活用してゆっくり視線恐怖症の解決を目指そう!

次のコラムへ進むボタンはもう少し下にあります。その前にちょっとだけお知らせです・・・申し訳ありません。(^^;コラムだけでなく心理の専門家の講義を受けてみたい!という方は下のお知らせをクリックして頂けると幸いです。私たちが講義をしている講座となります。

心理学講座

 

*出典
生月 誠 田上 不二夫 視線恐怖の治療メカニズム
教育心理学研究,51:425-430,2003



不安段階法を活用してゆっくり改善を